第124話 サラクーダ攻防戦①
竜太「やあみんな。土方竜太だ」
アーニャ「やっと本編が再開されたわね」
ソラ「本当、長かった」
リエ「ウサギばっかり、ズルくない?」
アイ「オマケにあの狼連中も張り切っちゃってさ」
竜太「そっちのアイドル活動はどうなの?」
ソラ「よくぞ訊いてくれました」
リエ「私達のグループ名は」
ソラ・リエ・アイ「「「CATニャルコーシスで〜す!」」」
竜太「CO2ナルコーシスに掛けたのかな?(チラッ)」
アーニャ「リュータ、私は入ってないからね?ああ、もう、『救国の魔法修行者』スタート!」
ソラ「そんなに否定しなくても」
リエ「お嬢の態度酷くない?」
アイ「もう入れてあげないよ?」
アーニャ「その、ゴメン」
早朝、野営地とした丘の上で全員が簡単に朝食を済ませると、神聖パレンナ同盟軍は一路オッピス街道をサラクーダ市へと進軍を開始する。
野営地の丘からサラクーダ市までは3時間程、俺達は遂にサラクーダ市を再び目前に目前に収め、攻撃の布陣を敷いた。
神聖パレンナ同盟軍の布陣は、最初に強威力魔法攻撃で城壁を破壊して水濠を埋め立てるため、俺達満峰集団が先頭に立ち、埋め立てた水濠を渡り破壊した城門から市内へ突入しる各勢力の歩兵が俺達の後方に控える、という単純なものだ。
本来なら城攻めというと、攻め手は守り手の3倍以上の戦力を必要とし、更にアンドリューが指摘したような攻城兵器が欠かせない。そして、野戦と比べて兵力(人命)、労力、時間、武器、食糧、水、その他必要な物資が際限なく費やされる。
俺達の世界の歴史では、オスマン帝国が大砲を用いて行ったビザンチン帝国のコンスタンチノープル攻城戦によりその様相は一変し、それまでの城塞が時代遅れな防御施設と化した。
まぁ、その後は攻城砲による攻撃に耐え得る要塞が出現し、また、対要塞用の大口径強威力長射程な攻城砲が開発されと、まさに城と大砲も盾と矛の関係からは逃れられない定めと理解されるに至る。
今、ここで俺達は大砲の代わりに強威力魔法を用い、攻城戦としてはこの世界でも最少兵力でサラクーダ市という城塞都市を落とそう、という訳である。
「リュータ、私達の準備は完了よ?」
「リュータ様、黒狼族の布陣整いました。お下知があり次第いつでも突入出来ます」
「大将、俺達もいつでも行ける」
「神使様、有志連合軍、突入準備完了しました」
「リュータ、戦兎族も準備完了したから」
エーリカ、ギュンター、ガーライルが突入準備完了を告げ、後に有志連合軍の伝令が、戦兎族のユリィがそれらに続いた。
因みに、いつの間にか戦兎族のケリィとユリィは俺の事を名前で呼ぶようになっていた。まぁ、別にいいんだけど。
サラクーダ市側の動きは無く、駐留する魔王国軍の迎撃は無い。俺は魔法攻撃を開始する前に、少し離れた位置にいる豹獣人のザックに視線を向ける。俺の視線を受けたザックはそれに小さく頷いてみせた。
それは昨夜の事。俺と斉藤はザック達サラクーダ市からの脱出組を訪ねた。それはサラクーダ市攻撃に際し、最終的に市を完膚無きまで破壊してしまう可能性が高いと告げるためだった。それを聞いたザック達は、押し黙ってしまたったが、暫く待つとザックが徐に口を開いた。
「守るべき市民達の多くは既にいません。市民のいない街は単なる虚しい入れ物に過ぎず、仮に街を取り戻せたとしてもそこに人が戻る事は決して無いでしょう。サラクーダ市は死んだのです。ならば、せめてまだ生きている市民達を救い出し、街の最後を看取る事に自分達の存在意義を見出したい、そう皆で話し合いました。街はご存分に、それでどうか一人でも多くの市民達を助けてください」
ザックを始めとする脱出した市民達は悲しみと怒り、悔しさ諦めが入り混じった表情をしていた。だが、ザック達は生まれ育った街への想いを自ら断ち、街のけじめをやはり自らの手で着けようとしていた。ならば、結果的でもそれを彼等に強いた俺が感情に浸っている場合ではない。
「わかったよ。約束する」
「…はい」
そして、ザック達は先陣の切り込み隊に志願した。
俺は視線を戻し、
(死に急ぐなよ)
内心そう思いながら意識を前方に集中した。
攻撃は水濠の外にある貧民街を焼き払う事から始める。降伏勧告?そんなものはしない。どうせ降伏なんてする訳無いだろうからな。
ただ、まだ貧民街に住民が居る可能性も捨てきれないから、いきなり焼き払うなんて真似はしないが。幸い、貧民街は水濠の外にあるので、住民が残っていれば周りから徐々に火が回る事で如何様にも逃げられるだろう。
「目標は貧民街、火球撃て!」
幾筋もの火球を満峰集団の皆が上空に放つと、やがて放物線を描いて貧民街に落下していった。
貧民街は粗末な木材などが建材に使われた木造建築物が密集している。落下した火球はすぐに建物に着火し、貧民街からは忽ち黒煙が立ち昇った。
火勢は徐々に強くなるが、貧民街から逃げ出す人影は確認出来ない。
「貧民街にはやっぱり誰も居なかったみたいね。どうする?」
燃え上がる貧民街を見ながら、真琴が俺に尋ねる。
「誰もいないのなら一気に残りも焼き払ってしまおう。タケ、頼む」
「わかった。小規模な火炎旋風にするぞ?」
斉藤は風魔法で貧民街に三つの竜巻を起こすと、三つの竜巻は火災の炎を巻き込んで火炎旋風となり貧民街を完全に焼き尽くした。
貧民街が焼き払われ、その全貌が良く見えるようになったサラクーダ市。水濠を渡す城壁の跳ね橋は揚げられており、水濠が俺達の前進を阻む。
それでは城攻めの第二段階に進む事にしよう。
第二段階、それは水濠の埋め立てだ。生憎と土魔法を使える者がここにはいない。それでは何で埋め立てるのかと言えば、城壁を破壊してその瓦礫を使う。
だが、どこから産出したのか知らないが、見た感じ安山岩を切り出して築かれた強固な城壁だ。火球や風刃、光の矢くらいではちょっとした焦げ目と擦り傷くらいしかつけられないだろう。そこで、炎龍の加護を持つ俺の強威力魔法の出番となる。
斉藤はまだあちこちで燻る貧民街を水濠の水を竜巻で巻き上げ消火した。俺は火が消えても熱気と建材が燃えた臭いが尚も残る貧民街を更に前進する。
湯気の立つ街路を歩けば、じんわりと靴底から熱が伝わって来た。
これから放つ魔法の余波を受けないよう、みんなには後方に下がって貰う。俺は吸気術で大気中の気を目一杯吸収すると、魔力操作で気を魔力に変換。俺の体内には膨大な量の魔力蓄積され、俺の身体から魔力が溢れる様を後方の皆は見ている筈だ。
まずは城門辺りを狙う。これから使う魔法は斉藤と舞と3人で開発したものだが、今回のように高出力で用いるのは初めてになる。加減がいまいち掴めていないし、ぶっつけ本番になるが、大丈夫だろう。多分。
精神を集中し、俺の前方には高熱原体の球体が現れ、俺が魔力を込めるほどに大きなっていく。
球体はやがて周囲に蒼白い光を放ち、直径3m程となった。そろそろ頃合いだろう。
「熱線一触!」
俺が技の名を唱えるや、蒼白い熱源の球体は同色の熱線となって発射され、城壁を横一文字に薙ぎ払った。
蒼白い熱線により薙ぎ払われた城壁は、見る間に直撃した部分を中心に赤く焼け爛れると、次の瞬間には横一文字の裂孔から閃光を放って大爆発を起こした。
息を飲み、言葉も無く、大爆発を起こして爆炎に包まれた城壁を見つめる神聖パレンナ同盟軍の面々。暫くして爆煙が晴れると、基底から根こそぎ爆砕されて失われたサラクーダ市の城壁がそこにはあった。
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それでは次話「サラクーダ攻防戦②」をお楽しみに。
「やはりあの委員長は、何でも知っているらしい」
『化物語(上)』より




