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幕間21 ラブリーラビットエンジェルの大冒険③

竜太「やあみんな、4日振り。土方竜太だ」

バーン「やあみんな、本っ当に久しぶり。火竜のバーンだ」

竜太「ところでバーンとゾフィはどうやって知り合ったんだ?」

バーン「俺達、実は幼馴染みなんだ。俺達火竜はエルム大森林から東の海にあるユグ二島っていう火山だらけの大きな島で暮らしているんだけど、」

竜太「うんうん」

リズリィ「ねぇ、お父さんとお母さんのノロケ話はいいからさ、」

ドラグ「僕達にスタート言わせてよ?」

竜太「いいよ。バッチリ決めてくれ」

リズ・ドラ「「それでは『救国の魔法修行者』スタート!う〜、がお!」」


竜太「え〜と、君達は火を吹くのが得意なフレンズなんだね」


私とユリィとベッキィお姉さまの三人はキャストン侯爵領の領都キャストンに到着した。


到着したら、まず最初に冒険者ギルドを訪れて私とユリィの冒険者登録をしなくちゃいけないんだけど、


「うわぁ、凄い人混みですね、お姉さま!」


「いろんな種族がいますね、お姉さま!」


領都の門を潜った私とユリィが目にしたのは、生まれ育った郷とは比べようもない大きな煉瓦造りの街並みと様々な種族、様々な職業の人、人、人の人混みだった。


私とユリィはその光景と喧騒にお上りさんよろしくキョロキョロと辺りを見回し、感嘆の声をあげてしまったんだ。


「ちょ、ちょっと二人とも、田舎者みたいだから!恥ずかしいからやめて!」


私とユリィは山出し感丸出しの様をベッキィお姉さまからすぐさま注意されてしまった。


「二人の気持ちはわかるけど(私だってそうだったし…)、でもこんな通りでいかにも田舎から出てきましたって感じ出したら、すぐ良からぬ輩に目をつけられて騙されてたり、酷い目に遭っちゃうんだからね」


「「ごんなさい」」


「キャストンには三ヶ月くらい滞在する予定だから、その間に二人とも慣れればいいから。それにサラクーダ市はもっと大きいからね」


「「ほえ〜」」


このキャストン領の領都よりも大きく賑やかって、サラクーダ市ってどんなんだろう?非常に興味が湧くわ。



北の精霊樹から更に西へ向えば、そこにキャストン侯爵家が治める領都キャストンがある。


北の外輪山と中央山地から流れる大小の河川は、その間にある幅の広い窪地に流れ込み、後にレマレード湖と呼ばれる大きな湖を作り出した。そのレマレード湖に突き出した岩山の岬、その上に城が築かれたのが領都キャストンの興りと言われている。


やがて城の周りに町が作られ、隣接する湖の魚を獲る漁村が港となる。レマレード湖と湖から流れるノービス川の水運によってキャストンはサラクーダ市とも結ばれ、キャストンは栄えるようになる。そして、領都キャストンは湖の沖から眺めるとまるで湖上に浮いて見える事から、今では湖上の都とも言われているそう。


四方を湖と城下町を巡る水濠に囲まれた岩山の上に築かれた難攻不落の山城。この地に城を築いたキャストン侯爵家の先祖の慧眼には恐れ入るばかりだ。



「つまり、エルム大森林の北半分に暮らす者は安全に、早く、確実にサラクーダ市に行くにはキャストン侯爵家の領都を必ず通らなければならないの。だからここには人も物もお金も集まるし、様々な情報も集まるって訳。ケリィとユリィにはこの三ヶ月間の滞在中に冒険者として活動しながら情報収集の練習をして貰うからね」


場所は冒険者ギルド近くの宿屋「三月の兎亭」。


冒険者ギルドで冒険者登録を済ませた私とユリィ。 キャストンでの宿と決めたこの「三月の兎亭」の一室で、私達は早速ベッキィお姉さまからキャストンでの今後の活躍方針の説明を受けている。


「三月の兎亭」は冒険者ギルドで狐獣人の受付お姉さんから紹介して貰った。「いい宿なんだけど兎獣人さん達に紹介するのは無神経だから」と別の宿も紹介されたけど、「三月の兎亭」は女性向けの宿で、しかもお風呂があるんだ。宿の名前なんてちっとも気にならない。郷じゃお風呂なんて贅沢は年に何度も無いし、水浴びかタライのお湯で体を拭くのが精々なんだから。それに私達兎獣人と兎は違うしね。


私とユリィの領都キャストンでの冒険者活動は困難無く順調そのものだった。まぁ、そもそも魔物討伐なんて郷でずっとやってた事だしね。冒険者ギルドで聞き耳立てて他の冒険者と情報交換したり、町で買い物しながらお喋りして話を聞き出したりと、情報収集も自然に出来るようになったんだ。


だけど、酒場での情報収集は全然ダメ。私とユリィみたいな美しい若い娘が酒場に行けば、男の酔っ払い客共は既に出来上がっていて、私達が兎獣人と見るや性欲丸出しで絡んで来るんだ。あしらうもやっとで、そんな連中から話を聞き出すなんて出来っこないよ。


一般に兎獣人の女性は性欲が強くって、男を取っ替え引っ換えしている男好きだと思われている。勿論そんな訳なくて、例の戦兎族の女性の生態と戦兎族の婚姻文化による誤解、もしくは悪意の曲解によるものなんだ。


三ヶ月に及ぶキャストン滞在における最後の情報収集訓練。私とユリィは夜を待って港町の酒場へと足を運んだ。するといきなりスキンヘッドの大柄なおっさんに


「兎の姐ちゃん、なんだ男漁りに来たのか?俺が相手してやるぞ?」


と言われて右手首を掴まれたんだ。


私はすぐさま掴まれた右手首を捻っておっさんが私を掴む左腕の上へ回し、下へ向けて垂直に振り降ろして掴まれた右手首の拘束を解いた。


「俺達全員で朝まで可愛がってやるぜ?」


「「「「ガッハッハッハ」」」」


このスキンヘッドの下品極まりないヒト族のおっさん共は船乗りのようだ。船乗りは港に着いた夜はこうして岡に上がって飲む、打つ、買うで大盛り上がりなのだけど、こんな風に絡まれるのは初めてだった。なんとも嫌な感じがする連中だ。


「お呼びじゃないんだよ、おっさん!誰がお前等の相手なんかするかってぇの。部屋でてめぇでしごいてな!」


「まぁ、お下品ですわ。せめて"おしごきになって"くらいにしなきゃ」


別に煽るつもりは無かったのだけど、結果的に私とユリィはおっさんどもを煽りまくってしまったようだった。


「なんだと、この穢らしい獣人の小娘が!」


あ〜、そんな事をここで言っちゃう?どうも、こいつらはエルム大森林じゃない、別の国から来たみたい。しかもヒト族至上主義が蔓延る国なんじゃないかな?


「ここはその獣人がいーっぱいのエルム大森林なんだけど?ヒト族さん?」


更に激昂したおっさんは手下?部下?に何やら怒鳴って命令する。


「うるせえ!おい、お前達。こいつらをふんじばって部屋に連れてけ」


「「「「ヒャッホーイ!」」」」


馬鹿な連中…


女に何を言われたって、激昂しないで上手く冗談で流しておけば痛い思いをしなくて済むのにね。


「お客さん、店内で物騒なマネはやめてください」


酒場の店主が止めに入るものの、この事態を面白がっている他の酔客に羽交い締めにされてしまった。


スキンヘッドのおっさんから私達を拉致して部屋へ連れ込めと命じられた手下どもは何を考えてか、まぁわかるけど、歓声を上げて襲いかかって来る。


「「身体強化」」


私とユリィは同時に身体強化の魔法をかけて連中を迎え撃つ。このおっさんらは私達を逃すつもりは無いようだから、折角なんでこんなゴロツキの女の敵どもにはきっついお仕置きをくれてあげる事にしよう。


ユリィには三人のゴロツキが襲いかかる。だけどユリィは余裕で一人目の掴みかかる腕を捌いては投げ飛ばし、二人目の内懐に入り込むと鳩尾に強烈な膝蹴りを入れて悶絶させた。そして、瞬く間に仲間二人が無力化された残りは、怯んだ隙に背後からユリィに腕で首を絞められてあっという間に意識を消失した。


「さあ、どうする?謝るんなら今の内よ?」


私とユリィに迫られたスキンヘッドのおっさんと残った手下はぐぬぬとなるや、ベルトのホルダーからタガーを抜いた。


「おっさん、それ抜いちゃ洒落にならないよ?」


「う、うるせえ!どうせお前らなんざ魔王に殺されるんだ。早いか遅いかの違いしかねえ!」


「?」


スキンヘッドのおっさんが発した謎の言葉に私は一瞬気を取られてしまい、その隙を突いて襲いかかるおっさんに対処が遅れてしまった。だけど、私に突き出されたおっさんのタガーはユリィの回し蹴りで呆気なく飛ばされて壁に突き刺さった。


「「ひぃ〜」」


壁際で見物していた酔客が飛んで来たタガーに悲鳴を上げる。


「ケリィ、何やってんのよ!貸しだからね」


私はユリィに「わかってるよ!」と言いながら床を蹴って飛び上がると、スキンヘッドおっさんの後頸部に左回し蹴りをお見舞いして(勿論手加減はしてる)その意識を刈り取った。


さて、残りは手下君が一名。


「さぁて、私達をふんじばって部屋に連れ込むんでしたっけ?」


ユリィが指を鳴らず真似をしながら手下君を追い詰めるように迫りながら尋ねると、手下君は尻餅をつくように倒れ込み、周りをキョロキョロと見回すながら後ずさる。


「すっ、すみません。親方に言われてしかたなかったんだ。許してけれ。いえ、許して下さい」


あ〜、憐みを誘う見事な三下の対応だね。でも生憎と私達はそうした時の対応も仕込まれてんだ。


「ねえ、じゃあこれから訊く事に答えたら、あなたへの対応は考えるね?」


「わ、わかった。知ってる事はなんでも答える」


「では、さっきあのスキンヘッドおっさんが言っていた"魔王国軍に殺される"ってどうゆう事なの?」


「そ、それは」


「「それは?」」


「おっと、それ以上はこちらの領分だ。お嬢さん方にはお引取り願おう」


その声に振り向くと、そこには領都騎士団の制服を来た背の高い竜人族の男が立っていた。とても渋いハンサムな竜人(ひと)で、私達に気配すら感じさせずに後ろに回るなんて大した実力者である事がわかる。


と、同時に彼の部下と思しき領都騎士団員達が酒場に雪崩れ込んで来て、忽ちスキンヘッドおっさんどもを連行して行った。


喧嘩の当事者なら私達も任意で事情を聞かれたりするのだけど、私達に何のお咎めも無いところかスルーされ、酒場の店内は酔いも覚めたのか酔客達が率先して後片付けを始めていた。


私達はそのまま「三月の兎亭」に戻り、宿で待機していたベッキィお姉さまに一部始終を報告して、しこたま怒られてしまった。


でも、まあ、キャストンでの最後で情報収集訓練で貴重な情報のカケラを拾う事が出来たので、キャストンの三ヶ月に及ぶ任務は無事達成としよう!










いつも『救国の魔法修行者』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話「ラブリーラビットエンジェルの大冒険④」にご期待ください。


ハルヒ「 無いんだったら自分で作ればいいのよ!|」

        『涼宮ハルヒの憂鬱』より

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