第123話 サラクーダ市ってどんなとこ?②
竜太「やあみんな、土方竜太だ。という訳で今回も作者がいます」
仁井「どうも、仁井義文です」
舞「あの、作者さんはヒロインの中で誰がお気に入りですか?」
仁井「それはサk」
舞「あ?」
仁井「ま、舞ちゃんです」
舞「え〜、先輩、作者さんこんな事言ってますよ?」
仁井「…」
竜太「と、作者が二度とここに来たくないと思ったところで、『救国の魔法修行者』スタート!」
仁井「女は魔物だ(田村正和風に)」
「そんなの魔王国に決まってるじゃない」
戦兎族のユリィはそう断定する。俺が「そうなのか?」とアーニャを見ると、「そうかも」と頷いた。
ユリィによれば、この世界で魔王国は魔族の国として恐れられ、敬遠される傾向にあったのだと言う。そのためこの世界の国々には魔王国との外交関係を望まない国も多々あり、しかし魔王国は特に鎖国しているという訳ではないので諸外国との通商を必要としていた。
だが、そもそもアースラ大陸の最北部にある魔王国と陸続きの国は少なく、貿易量も限られた物だった。また、外交関係のある国であっても海流や航続距離などの危険を冒してまで直接魔王国へ船を遣す国や商人は少ない。
しかし、海路で結ばれる国々と魔王国との間にあって両者間の中継貿易が出来るばかりか、エルム大森林の希少な物産も入手出来るサラクーダ市が建設された事によって、魔王国のそうした状況は激変した。
魔王国はサラクーダ市を中継する事により必要な諸外国の情報や物産が手に入り、諸外国も魔王国と国交を結ばなくても魔王国との貿易が可能となった。サラクーダ市が建設された事により、魔王国は無理をせずにこの世界の国際関係に入る事が出来たのだ。
「確かにそう考えるとサラクーダ市が出来た事によって最も利益を得ているのは魔王国と言えるな。でも、ユリィはサラクーダ市の内実に詳しいな」
「それはあたし達二人が女王様のご命令で冒険者としてサラクーダ市で活動しながら情報収集していたからだよ」
と、これはユリィではなくケリィが答える。
「もう!何であんたが言うのよ。ここは私がバッチリ決めるところなのに!」
「ユリィの考えなんてお見通しだよ」
「ケリィの意地悪!」
「別にいいよ〜だ」
ケリィとユリィが例によって騒ぎ出したので、何となくそれを切っ掛けにお開きとなった。
それが先程の出来事だった。
そして今、俺はサキと丘の上から闇に溶け込んだようなサラクーダ市を見下ろしている。
と、背後からこちらへ近づいて来る人の気配を感じた。
「こちらにいらっしゃると伺いまして。お邪魔でしたか?」
その凛とした気配、しっとりとした声音、上品でとても良い香り。グレンダ女王で間違いはない。
「そんな事はありません。サキには少し考え事に付き合って貰っていましたから」
「ならば良いのですが。先程神使様にお伝え出来なかった事がありましたのでこちらへまかり越しました」
「どういった事でしょう?」
俺の問いかけに女王は答えず、チラリとサキを見る。あぁ、そういう事か。
「サキは口が固く、信頼出来る娘だから大丈夫です」
俺がそう言うと女王は承知したという感じで一瞬目蓋を伏せると、再びこちらを見据えた。
わざわざ女王自らここまで足を運ぶという事は、皆がいる所では口外出来ない内容という事だよな。また面倒事じゃなければ良いが。
「サラクーダ市の事です。先程の皆様の推論はほぼ的を得ていると言って良いでしょう。あの街は魔王の命令で魔王国によって建設されたものです。そのため私共戦兎族は今まであの街との接触は避けてきました。ですので、この度の有志連合にも形ばかり参加して、行動は共にしておりません。それは私共だけではなく、私共と同じようにあの街との接触を避けていた幾つかの部族は有志連合には参加せず、北の大精霊様のお告げに基づいて独自に動いています。おそらく、神使様も北の精霊樹で彼等と会い見える事でしょう」
なるほど、有志連合に参加し、有志連合軍の戦力となっているはずの戦兎族が有志連合軍サラクーダ派遣隊とは行動を別にしていたのはそうした理由があった訳か。
「サラクーダ市は魔族の街、魔族の城。サラクーダ市は存在するだけで魔王に利します。神使様におかれましては、思うがまま、ご存分になされますよう」
「それは、俺があの街を破壊しても構わない、という事ですか?」
「はい、と私から言うのも変ですが。あの街はエルム大森林に突き刺さった魔王の杭です。あの街が多くの森の民の命を奪いました。大精霊様もお怒りです」
どうやら戦兎族は、多分他の部族もだろうが、政祭一致であり王は預言者でもあるのだ。グレンダ女王はまだ何かを知っている。北の大精霊のお告げは他にもある。
「今は教えて頂けないのですか?」
「はい。今はその時ではありません」
そしてグレンダ女王は「明日のご活躍を期待してますね」と言って供回りの者と共に引き揚げて行った。
「リュータ、さん…」
サキが俺の手をギュッと握り、心配そうに見つめている。
サキはあの激しいファーストキスを体験してから俺をリュータと呼びたそうにしていて、まだ恥ずかしいのか遠慮があるのか、上手く呼べないでいる。恋人なんだから俺はサキから呼び捨てされても一向に構わないのだが。
まぁ、サキのそうした垣根を取っ払えればいいのだが、次から次へと事態が動いてそんな余裕も持てなくて申し訳なく思っている。
なので、俺はサキの腰と大腿に腕を回して一気に抱え上げ、お姫様抱っこにする。いきなりの事に驚き「キャッ」と悲鳴を上げてサキは俺の頭にしがみついた。
「ウオォ、ウッホッホ!」
「何ですか、それ。フフフッ」
俺がお姫様抱っこにしたサキを軽く上下に揺らしてゴリラ真似をすると、サキは面白がって更にギュッと俺の頭を抱く腕に力を込めた。
「サキ」
「はい」
「俺の事、リュータって呼んでいいんだぞ」
「…はい、リュ、リュータ!」
明日はいよいよサラクーダ市を攻める。
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それでは次話をお楽しみに!
放たれた矢は、標的を射るか。地に落ちるか。




