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第111話 斯くして豹は斯く語りき①

竜太「やあみんな、昨日振り。土方竜太だ。今回も読者さんからの相談にお答えしたいと思う。ペンネームギャランドゥさんの相談だ」


「初めまして、僕は高2の男子です。僕の友達には彼女がいる奴が多くて、僕も彼女が欲しいのですがなかなか出来ません。先日、ちょいワル親父な叔父に相談したら叔父が「女を抱け!いい女で男は磨かれる」としか言ってくれません。僕はどうしたら良いでしょうか?」


竜太「まあ、強ちその叔父さんの言う事も間違いではないと思うが、それが出来れば苦労は無いよって話だよな。努力して誇れる物が出来れば自信が着いて心にも余裕が出来る。女の子達のギャランドゥ君への見方も良い方へ変わるはずだ。頑張ってくれ。それでは『救国の魔法修行者』スタートです!」

その宿場町に正式名称は無く、地名からパレンナ宿場街と呼ばれている。中央山地、そして更にエルム大森林の東部からオッピス街道を使ってサラクーダ市へ向かうキャラバンや旅人が旅塵を落とし、体裁を整え等市内に入る下準備をしたり、事前に情報を入手したりと、多目的に滞在、利用するために作られたという。一応、サラクーダ市の市政下にあるそうだが、街の実力者達によるパレンナ宿場街商業管理組合が仕切っているらしい。まあ、その実力者ってのがどんな"実力"なのかが気になるところだが。


宿場町の規模は横浜中華街くらいで結構大規模だ。街の中央にはオッピス街道が通り、その街道沿いには健全な宿屋や飲食店、商業施設が軒を並べている。街には街道に並行するように左右それぞれに小路があり、表の街道沿いに比べるとちとレベルが下がる宿屋や飲食店等と、裏町ならではの悪所があってガラの悪い連中も多かったとか。


その辺りは何処の国でも世界でも事情は同じだろう。水清くして魚棲まずという言葉があるように、そうした社会の枠からはみ出したアウトローは何時でも何処でも必ず出るものだし、彼等の受け皿としての裏社会も必要とされているのだ。かく言う俺自身も大学生の頃、バイト先の先輩に紹介された新宿や六本木、時には横浜のヤクザが経営する賭博目的の地下格闘技場で試合してファイトマネーを稼いでいたので偉そうな事は言えた義理ではないのだが。


当然の事、パレンナ宿場街も魔王国軍の侵攻により無人となっていた。しかし、建物群は農村ほど痛んでおらず、昨晩は久々に屋根の下でベッドで眠り、快適な一夜を過ごさせて頂きました。「このまま3〜4日くらい居続けたいね」なんて女の子達は話していたな。


そして、サラクーダ市のアンデット軍団と一戦交えた俺達は、もう一夜の宿を求めて再びパレンナ宿場街に戻って来たという訳だった。



「さて、では昼間に引き続いて色々と話を聞かせて欲しいのですが?」


ここは宿場街でも最大の宿にある広い食堂。俺達はサラクーダ市から逃げて来たザック達より聞き取り調査をするべく、彼等と夕食の後も食堂に残っている。そして、この場はプロの情報将校である真琴が仕切っている。


また、俺達は彼等からしてみれば得体の知れない異世界のヒト族だから、黒狼族のギュンターとバールにも同席させた。因みに彼等に俺達の事情についてはアーニャから説明済みである。


アーニャから話を聞いたザック達は驚くかと思いきや、魔王が異世界に魔物や兵を送って侵略している事は既にこの世界では知られているようで、へぇそうなんだくらいでそんなに驚いてはいなかった。


「その前に礼を言わせて欲しい。我々を助けてくれありがとう。お陰で無事に逃げ切る事が出来た」


逃げ切れたかどうかは、まだ微妙なところだが。一応俺がこの集団のリーダーだから、ザックの感謝を受け入れた。



「俺はサラクーダ市自衛軍の歩兵中隊長だったんだ」


そして、幾つかの遣り取りの後、真琴がザックにサラクーダ市からの脱走について動機について尋ねると、ザック3年以上前の出来事から話し始めた。


「こんな事態になっているのは、あの日、一隻の魔王国海軍の大型帆船がルシタリウス港に入港した事から始まった」


「別に魔王国から船が来るのは珍しい事じゃない。貿易にしろ外交使節にしろ、開港以来良くある事だからな。だが、魔王国は周辺国と戦争をおっぱじめていたし、その船は魔王国海軍でも数少ない大型の軍艦で、中立の立場だったサラクーダ市へ何の予告も無しの入港だった。港の警備に当たっていた俺は部下を率いて警戒のため出動したんだが、市長からその船には臨検など一切手出しするなという市長令が出たんだ」


中隊長のザックは承服し難いものがあったが市長令という事で渋々現場を引き揚げたという。


「暫くして奇妙な噂を聞くようになった。市立大学などの近くに吸血鬼が出たというものだった。同僚からの申し送りにもあったが警備隊との会議では議題に上がらなかったばかりか、市の防衛局長からは暗にその噂には触れるなと圧力をかけられた」


それから更に数ヶ月して遂に魔王国軍がエルム大森林への侵攻を始めた。魔王国軍と交戦している周辺国の敗残兵がエルム大森林へ逃げ込んだ事を口実にしたものだった。


「すると、あっという間に現場の俺達には何の情報も無くエルム大森林の他の都市や自治領、村や部族の集落などとの間に対魔王国軍の有志連合軍が出来た。そして市長から有志連合からの避難民や有志連合軍の将兵を無制限に受け入れろという命令が出されたんだ。何を馬鹿な事を言い出すんだと俺は思った。サラクーダ市にはそんな余裕なんて無い。そんな事したら市が備蓄している食糧なんてあっという間に底を突いちまう。エルム大森林が魔王国軍の侵略を受けている今、何処からも食糧を仕入れる当てなんて無い。避難民諸共自滅するつもりなのかと」


この辺りからザックは当時の事を思い出したのか、次第に語り口がヒートアップしていった。





いつも『救国の魔法修行者』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは次話「斯くして豹は斯く語りき②」をお楽しみに。


驚く桃の木山椒の木、ブリキに狸に洗濯機、やって来い来い大巨神!

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