第108話 アナザーワールドウォーZ①
ソラ「やあみんな、初めまして。アーニャ様付き猫娘のソラです」
リエ「や、みんな。同じくリエよ」
アイ「ヤッホー、みんなぁ。アイでぇーす」
ソラ「い、いきなり私達がこんな大役任されていいのかな?」
リエ「いいんじゃない?あの狼達だってやったんだし」
アイ「私達3人だけなんてさ、作者の奴私達の事結構好きでしょ」
ソラ「じゃあ、そろそろオープニングの決め台詞といきますか?」
リエ「週のまん中、水曜日」
アイ「まん中もっこり」
ソラ・リエ・アイ「「「夕焼け、じゃないくて『救国の魔法修行者』スタート!」」」
竜太「君達さぁ、そんなネタ誰に仕込まれたの?」
ソラ「神社の畠山さんが絶対ウケるからって」
竜太「畠山さんの世代にはウケるだろうけど…」
サラクーダ市からの逃亡者達。彼等から聞き出したい事は山ほどある。だが、彼等を心ならずも保護した事で俺達の存在が魔王国軍に露見した。おそらく、もうじきサラクーダ市からの追撃部隊が攻めて来るだろう。彼等からゆっくりじっくりと根掘り葉掘り情報を聞き取っている時間はとても無い。
俺はこの逃亡劇を主導した豹獣人のザックにサラクーダ市に駐留する魔王国軍事の戦力や市の防衛体制について尋ねた。
「サラクーダ市にいる魔王国軍は多くない。俺達を追いかけて来たケンタウロスが外周を、市内はミノタウロスが警備している。だが、今のサラクーダ市は事実上魔王国から乗り込んで来た吸血鬼共とサラクーダ大学の魔術師共に支配されている。奴らは市民や招き入れた避難民達を次々とアンデットにしていったんだ。そいつらが最も危険だ。それに、もっと恐ろしい人体実験も行われている」
吸血鬼とその配下となったアンデットは要注意か。いや、待て。招き入れた避難民?どういう事だ?
「ねぇ、避難民が招き入れられたってどういう事?」
アーニャもその点に疑問を抱いたようでザックに詰め寄った。ザックは身長も高く、体格はゴツくもしなやかな筋肉質で俺から見ても手練れの戦士である事がわかる。そんなザックに詰め寄るアーニャだが、どうも質問大会は一時中断しなければならないようだ。
「土方中尉、サラクーダ市の方から何かわらわら湧いて出て来て、こっちに向かって来ます」
双眼鏡で武田少尉、山本少尉と共に見張をしていた大沢軍曹が異変を告げた。
「何が接近している?」
「人のようです。隊列を組んでいる訳でもなく、各人がバラバラに歩いて来る感じです」
双眼鏡ではそれ以上は見えないか。となると、フレデリカに頼もう。
「リッキー、千里眼で接近する敵の様子が見えないか?」
「はい、やってみます」
フレデリカはそう言うと、少し俯いて目を瞑った。そして待つ事暫し、フレデリカは目を開くと千里眼で見た敵の詳細を報告する。
「様々な種族がいますが、皆兵士ではありません。表情に生気が感じられませんね。服装は一般の市民や村人のようです。手には剣やナイフ、棍棒、手斧などを持っています。数は多いですね。ゾロゾロと次から次へと市の門から出て来ています」
やはりアンデットか。俺はフレデリカに礼を言って、全員に戦闘準備を命じる。
「遠距離魔法攻撃出来る者は全面に出てくれ。敵が視界に入り次第、俺の合図で一斉に攻撃を始める。
ガーライル達、アーニャ達、ラミッド、アミッド、ギュンター達黒狼族は近接戦闘に備えろ」
俺が指示を出すと、ザックと数人の獣人達が俺の元へ駆け寄って来た。
「なあ、あんた、リュータって言ったか。俺達も戦わせてくれないか?今はアンデットにされちまったがあいつらのなかにはは元市民だっているんだ。同じ市民として、せめて俺達の手で引導を渡してやりたいんだ」
「その気持ちはよくわかるが、今は君達が持っている情報が貴重だ。だから君達を危険に晒す訳にはいかない。申し訳ないが今は退がっていて欲しい」
これは襲い来る敵から自らを守る戦いであると同時に、貴重な情報源たる彼等を守る戦いでもある。そこを理解して貰いたいのだが。
「わかった。だが、俺達に出来る事があったら何でも言ってくれ」
俺はその時は頼むよと無難な返事をしてザック達に後方へ退がって貰った。
そんな遣り取りをしている間にもアンデット共はこちらに近付いている。
「土方中尉、現れました。先頭集団までの距離、約1km」
遠距離攻撃と言えど、流石に1kmでは遠すぎる。もう少し引き付ける必要がある。
ジリジリと、だが着実に近付くアンデットの群れ。全員が息を飲んで攻撃開始の命令を待っている。皆の緊張が伝わって来る。
魔物と比べて敵としてのアンデットはその脅威度は下がるものの、だだ数が多く、元々はヒトであり、獣人であり、エルフであり、魔族だった者達だ。要は、かつては自分達と同じ存在だった者達。そして生前と同じ姿形をしているのだ。対人戦闘に慣れている者ならまだしも、元とは言え同族を殺す(いや、もう死んでるのか)事に躊躇があって当然だ。
「アンデットはもう死んでいる。攻撃に躊躇するな。彼等は死して尚、あのような姿にされて利用されているのだ。俺達の攻撃で彼等をそのような呪縛から解き放つんだ」
はっきり言って何の根拠も無い。だが、これで皆の心の負担も多少が軽くなってくれればと思う。
アンデットといっても色々な種類があるかと思う。ゾンビ、グールを始め、吸血鬼なんかも広義ではそうだろう。アンデットにされた者達の魂はどうなってしまうのか。俺は死霊術には殆ど知識が無いので分からないが、どうせ碌な事にはなっていないのだろう。
そうした人の尊厳を踏みにじるような連中を俺は許す訳にはいかない。せめてその肉体を消滅させれば、せめて魂は呪縛から解き放なれる事になるのではないかと、僅かに期待する。
「土方中尉、アンデットの先頭集団、距離300mを切りました!」
頃合いだな。
「よし、遠距離魔法攻撃始め!ガーライルとギュンターは討ち漏らし掃討の指揮を執れ」
オッピス街道を俺達が構える丘へとひたすら登って来るアンデットの群れ。そいつらへ一斉に魔法攻撃が開始された。アンデットは次々と強力な火炎によって忽ち松明のように燃え上がり、無数の風刃によって全身を切り裂かれる。水刃はアンデットの体幹部を易々と分断し、光の矢が全身を撃ち抜き、氷の槍が地面に串刺しにして前進を阻んだ。
暫くそうした攻撃を続け、一旦俺は攻撃の中断を命じた。この間、時間にしたらどれくらいだったろうか。凡そ2〜3分といったところだろう。攻撃が止むと、街道とその周辺には様々な状態のアンデット共の屍が散らばり、陽射しに晒されていた。討ち漏らしは無かった模様。
「初戦は楽勝ね」
「まあ、私達の手にかかればこんなもの」
エーリカとアーニャが累々と重なるアンデットの屍を見ながら満足気に頷き合っている。
「リュータさん、伝えるのが遅くなりましたけど、
この世界では同族であってもアンデットになったら、それはひたすら自分達に仇成す存在なので、感傷とか無く全力で殲滅するんです」
「そうなの?俺、何か恥ずかしい事言っちゃったな」
「いいえ、私達が戸惑わないように言ってくれたんですよね。」
まあ、そうっちゃそうなんだが。
「じゃあ、もう遠慮は要らないな」
「はい」
サキが教えてくれた事によれば、この世界には災害の一つに村や町が突然現れたアンデットの群れに襲われるという"アンデット害"なるものがあるという。ゾンビになった家族や親類、友人に恋人の姿に躊躇してしていると、自分も忽ち襲われてゾンビになってしまうため、この世界は"見ゾンビ必殺"が常識なのだと。原因は明らかではないが、吸血鬼が関与しているらしい。そのため、この世界では魔族の中でも吸血鬼は特に忌み嫌われているという。
さて、アンデット襲撃の第一波を凌ぎ、少々時間が稼げたところで、保護した逃亡者達の情報聴取を再開させたかったのだが、敵さんも仕事に手を抜く気は無いようだった。
「土方中尉、敵の第二波来ます。第一波のアンデットとは動きが明らかに違います」
「了解した。総員、戦闘準備だ」
俺はそう下命してサラクーダ市を見据えると、
(面倒臭いなぁ、元の世界に帰らなくて良ければあんな町何か更地にしてやるのにな)
そんな事を考えていた。
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それでは次話「アナザーワールドウォーZ②」にジャスト・イン!
大の道を往き、総てを司る。




