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第105話 弁慶と牛若丸?

竜太「やあみんな、3日振り。土方竜太だ」

雪枝「やあみんな、久しぶり。土方雪枝です」

舞「やあみんな、北川舞です」 

雪枝「ところでお二人さんにとっての埼玉銘菓といえば何かな?」

竜太「そりゃあ、十万石まんじゅうだよ」

舞「えっ、先輩、いも恋ですよ?」

竜太「十万石!」

舞「いも恋!これは先輩でも譲れません!」

雪枝「白熱したバトルの最中ですが、ここはべにあかくん派の私が進めたいと思います。それでは『救国の魔法修行者』スタートです!」


竜太「十万石!」

舞「いも恋!」


斉藤「…彩果の宝石」

オッピス街道を行く事4日。そろそろエルム大森林地帯の北西端、サラクーダ市に至る頃だ。


ここに至るまでに幾つかの村の存在を確認出来たものの、どこも最初の村同様無人であり、戦闘や掠奪の形跡も見られなかった。そうした村々で物資を徴発している俺達こそが略奪者と言えるのかもしれないが。


因みに、最初の無人となった村で入手した地図によると、アースラ大陸は俺達の世界で言うところのユーラシア大陸に相当する大陸のようだ。もっとも、ユーラシア大陸ほど大きくはなく、半分くらいの大きさだろうか。


詳細はわからないが、アースラ大陸の東には別の大陸があり、南にも大陸がある。イメージとしては、ユーラシア大陸を半分に切った西側がアースラ大陸で、ユーラシア大陸の東側(アジア)が別の大陸として存在。ユーラシア大陸の南側、即ちインド亜大陸が切り離されて単独の大陸になっていると言えば分かりやすいだろうか?更に西の海の向こうにも大陸があって、という感じで地図は描かれていた。


そして、エルム大森林はというと、ユーラシア大陸で言えば西ヨーロッパの辺りになる。その地形は周囲を外輪山に囲まれた円形で、中央は山地となっており、西側の外輪山が海蝕されて外海と繋がり、海水が入り込んで湾となっている。


つまり、驚くべき事にエルム大森林は巨大なクレーターという事になるのだ。それが隕石の衝突によるものか、火山の爆発によるものかは不明だが、それは恐竜絶滅どころじゃない、ファーストだかセカンドだかクラスのインパクトをこの惑星を与えた事だろう。


オッピスには一里塚のように一定間隔毎に距離標があり、分岐には道標も設置されていた。この世界の距離単位はわからないが、アーニャによれば現地点からサラクーダ市まで約30オリャーグなのだという。


「1オリャーグって、地球でいうところの1Kmくらいですね」


舞は既に元の世界にいた頃から転移者達から様々な聞き取り調査をしていたので、こうした知識を持っている。実に有難い。


「1オリャーグが1Kmくらいって、何だかご都合主義というか、お約束って感じだな」


俺がそんな感想を口に出すと、舞と斉藤から忽ち反論を食らった。


「そんな事無いですよ、先輩。この世界の1日は地球と同じ約24時間でした。という事は、この惑星もほぼ地球と同じ大きさで、同じように自転をして、同じような軌道で太陽を公転していると言えます。そうすると、1mが地球の北極点から赤道までの子午線弧の1000分の1ですから、ある程度の文明を築いた種族なら地球と同じような距離単位をそこから導き出す可能性は高いと思います」


「収斂進化といってだな、地球と同じような状況下なら元々の種族が違っても同じような知的生命体に進化するという説がある。ならば、腕の長さだろうが北極点から赤道までの距離だろが同じような距離単独が出来ても不思議じゃない」


まあ、そうなんだろうけどさ、狼の女神様も似たような世界がそれぞれ近くにあるって言っていたしな。


「リュウ、ちゃんと人の話を聞いているのか?」


聞いているよ、全くうるさい奴め!



サラクーダ市へ向かって街道を進む中、結局俺達は誰とも出会う事も、すれ違う事もなかった。サラクーダ市へ続く街道はこのオッピス街道だけではない。サラクーダ市から北へ向かうセレイオス街道、南へ向かうポンペイウス街道と計3本の街道が存在する。しかし、その中でオッピス街道だけが全く使われず、他の2本の街道はその限りでは無い、なんて事は考えにくい。


サラクーダ市が魔王国に寝返っていようがいまいが、市民達は常に食糧、その他の生活物資を必要としているはずだ。市内に備蓄分はあるにしても、元々の市民に加えて数多くの避難民も抱えているのならば、そんな備蓄分などは忽ち消費されてしまうだろう。


では、エルム大森林各地から陸路での物資調達が途絶えたなら、魔王国の本国や他の占領地から海路で調達している可能性は?と考えたならば、その答えは残念ながら「それは無理!」らしい。アーニャとギュンターによれば、魔王国の位置はエルム大森林の東側でアースラ大陸の北端にあり、領土内に海岸線を有するものの港と呼べるものは一つしか無く、元々が内陸国だった事から海に出る事に積極的ではなかった。そのため海運業はほぼ他国の海運業者にお任せで、渡海能力自体がおそ松、いや、お粗末なのだそう。


一体、サラクーダ市内では市民や避難民達はどのような生活を送っているのだろうか?そして、駐屯している魔王国軍の兵站は?


そんな謎に満ちたサラクーダ市だが、これだけ近付いたとなると、流石に俺達も人目を気にしなければなるまい。ましてや、魔王国軍に俺達が発見されたとなれば、「あれ、異世界に送ったはずの黒狼族の部隊が何でここに?」となる事は必定だ。


「という訳で、黒狼族のみんなにはそろそろ人の姿になって貰いたいのだが」


幸い人狼は人の姿になる事が出来る。人化していればいきなり正体がバレるという事は無いはず、多分。


「…わかりました。リュータ様がそう望まれるのならば」


ギュンターは何故か嫌そうな素振りだったが、ならば黒狼族だけここら辺で待機という事になるが、


「嫌なのか?だったら無理強いはしないが」


「そ、そうではありません」


「?」


ギュンター、どうしたのだろうか。黙って俯いてしまったのでバールに説明を求めようとしたらエーリカが口を挟む。


「ああ、人化したら服や装備がぶかぶかになって裸になっちゃうとか?」


「なりません!こんな事もあろうかとヒト族の服や靴も持参してます!」


エーリカに突っ込むギュンター。理由があるなら言って欲しいのだが。


ギュンターはハァと一つ溜め息を吐くと、黒狼族全員に人化するよう命じた。すると、それまで黒い獣毛に覆われていた人狼達がみるみる人の姿になっていった。


人の姿になると、黒狼族は意外な事に皆十代後半から二十代前半の若者層で構成されていて、男女比は2:3と女性が多かった。皆、黒狼族だけに髪は黒く、顔立ちは日本人と白人のハーフといった感じだ。


人化してもバールは大柄で、濃い黒髪を総髪にした眉毛も太い野性味ある青年。そして、ギュンターはというと、


「キャー!可愛い!」


ヒト、獣人、エルフ、人狼を問わず女の子達に黄色い声で可愛い可愛いと褒めそやされていた。そうなのだ。人化したギュンターは艶のある黒髪に細面、鼻筋通って目元涼やかな可愛いらしい美少年なのだ。


そんなギュンターとバールが並ぶと、主従はまるで弁慶と牛若丸のようだ。


「くっ」


それに対しギュンターは、屈辱を受けたかのように口惜しそうに下を向いてしまった。


ギュンターは人化した自らの姿にコンプレックスがあるのかも知れず、俺は事情も知らず(まあ、知る訳もないが)人化を強いてしまったようだった。なので、こういう時はキチンとフォローしておかなければなるまい。俺は俯くギュンターの両肩に手を置いて彼を励ました。


「ギュンター、人の姿のお前もとても綺麗でいいと思うぞ。それもお前の大事な個性の一つだ。それにお前は俺をたった一人で打ち果たそうとした剛の者だ。俺はそれを知っている。だこらもっと自分の全てに自信を持て」


「…リュータ様」


何か、ギュンターの俺を見つめる瞳が熱っぽいのが気になるが、そこは深く考えない。取り敢えず、ギュンターの機嫌が良くなった事を良しとしよう。


「若、御大将もあのように仰っておいでですぞ」


「うん。バール、僕は自信を持つぞ」


「そのいきです」


そうして黒狼族の人狼達が皆人化すると、集団の雰囲気もがらりと変わり、まるで大会か合宿にでも来た体育会系部活の学生集団のようになってしまった。さながら俺や斉藤やバールなどは引率する顧問の先生とか外部指導者といったところだろうか。


そして、俺達は更にサラクーダ市へ向けて歩みを進める、のだが、俺は何故か恋人達から責められるハメとなっていたのだった。解せない。


エーリカ「リュータ、ギュンターは男の子だからね、わかってる?」

真琴「まさか、可愛いからって、男の子にまで?」

舞「先輩とギュンター君、妄想的にはアリだけど、アリだけど…」

サキ「皆さん、私達でリュータさんを正しい道へ導きましょう」

アーニャ「…リュータ、男の子はダメだよ!」


雪枝 (ニヤニヤ)

いつも『救国の魔法修行者』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


次話も読むナリよ〜

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