第98話 狼なんか恐くない①
竜太「やあみんな、2日振り、土方竜太だ」
女神「やあみんな、狼の女神よ」
竜太「えぇっ?!」
女神「何よ、私が出ちゃ悪いのかしら?」
竜太「いえ、そんな事ありませんです」
女神「でしょ?だって全然私の出番無くって。忘れられたら嫌じゃない?」
竜太「俺はいつも心の中で想ってますよ?」
女神「本当?もう、竜太さん口が上手いから。このハーレムキング!という訳で『救国の魔法修行者』スタートよ!」
竜太(…女神様にまでハーレムキングって言われた)
人狼とは魔族の一種族だ。彼等は魔力はあるものの、魔法の発現は得意ではなく、だがしかし、元来優れた身体能力の持主であるところを、更に身体強化に特化した魔法が底上げして凄まじい腕力と持久力、速力を発揮する。
狼だけに群を形成し、リーダーの統率下に結束しての行動も得意だ。単体でも強く、更に群で襲い掛かられたら逃れようも無いのだという。
そして、人狼には人狼を人狼たらしめている能力がある。それは言わずと知れた変身能力だ。彼等は人の姿になる事が出来るだけでなく、狼の姿で直立歩行して人と同じ動作が可能るお馴染みの姿、四つ足の狼の姿、と三つの形態に変身可能。
彼等は人であり狼である。魔法が苦手なだけで人としても、狼としても、狼の能力を出せる人(人狼)としても戦え、単体としても強くてチームプレーも得意。と、そんな連中に俺達は正に今、追いかけられて包囲されている訳なんだけど、さて、どうしたものか…
因みに、この世界の伝説では人狼は満月の夜に変身するとか、銀の武器でのみ殺傷可能とかあるが、異世界の人狼は全くそんな事は無いそう。何時でも何処でも変身可能、銀なんか何の効果も無いそうで、武器は何ででも、自己修復力が強いものの致命傷を与えれば普通に死ぬそうだ。
こうしている間にも、俺達は人狼による包囲に気付かない振りをしたまま国道を広瀬湖に向かっている。俺はこの事態の落とし所について考えている。このまま連中が見逃してくれれば、それが一番良いのだが、それは望み薄そうだ。
次に人狼が俺達に仕掛けて来た場合。広瀬湖に到ればバーン一家やサバール村のエルフ達が出張ってくるかもしれない。バーンとゾフィは俺達に力を貸してくれるだろう。しかし、サバール村のエルフ達はどうかとうえば、いくらエーリカがいるとはいえ、あのエルフ達が俺達のために戦ってくれるかといえば甚だ疑問だ。
そして俺達と人狼達の小競り合いから双方が応援を要請した場合、これが、最悪のパターンだ。魔王国軍の本隊が現れれば、こちらもアースラ諸族連合警備隊もこれに応じて動き出し、両者の戦闘ともなれば国防軍の知るところとなって何かと理由を付けての介入もあり得よう。そうなれば小規模な遭遇戦からの兵力逐次投入、戦闘の拡大というノモンハンやガダルカナルの悪夢再びともなりかねない。
それでは人狼達とどうにか接触を持ってここは引いてくれるよう交渉するか、若しくは、いっその事強威力魔法で周りの環境ごと皆殺しにしてしまうか。
皆殺しにする場合、強い魔力が放出されるので、甲府盆地のどこかに駐屯する魔王国軍本隊の知るところとなろう。また、皆殺しきれなかった場合、執念深い人狼達の恨みを買い、この先報復される可能性が出る。犬科は忠誠心が強い反面、とても執念深くもあるのだ。
と、その時、包囲する人狼達に動きがあった。俺達の前方に山中の森から多数の矢が射掛けられた。直ちに風魔法が使える者達で飛来する矢が防がれると、僅かな時間差を置いて後方からも矢が射掛けられる。後方からの矢は飛来して来る前に空中で俺が全て火魔法で燃やし尽くしたが、この時間差の攻撃に対処した隙に乗じ、俺の右側の森から黒い影が、俺に向かって凄まじい殺気と共に一気に迫って来た。
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それじゃあ、次話も最初から最後までクライマックスだぜ!




