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第94話 嵐の予感に戦いて

竜太「やあみんな、二日ぶり。土方竜太だ。」

アル「俺は、アルベルト・ネル・キャストンだ!」

竜太「えっと、アルベルトさん。黒い眼帯してるけど、ものもらいですか?」

アル「男なら危険を顧みず、死ぬとわかっていても行動しなければならない時がある…」

竜太 (すっかり宇宙海賊にハマってるな〜)

アル「俺の旗の元で、俺は自由に生きる!」

竜太「…という訳で、『救国の魔法修行者』スタートです!」

アル「…友よ」

竜太「もういいですから」

害獣出現特別封鎖地区、略して害特封地。


それは三年前のあの日、世界中にモンスターが現れた中、日本国内で唯一魔物(=モンスター)が現れた地域だ。長野県・山梨県のほぼ全域と埼玉県の秩父地方が該当する。この害特封地では突然現れた夥しい数の魔物によって多数の住民が襲われており、死者と行方不明者を合わせて約60万人以上が犠牲となっている。


国の総力を挙げての住民救出活動により、自身の意志で残留を希望する者を除き、害特封地からの住民の救出活動は終了している。そして今では害特封地内には数多くの魔物がそのまま居着いて蔓延り、そのため害特封地内外を結ぶ道路や河川には魔物の封地外への流出拡散防止のため要塞と呼ばれる軍事拠点が築かれて厳重な監視下に置かれている。


しかし、現在では日本国と転移者達(エルフなど妖精種、ヒト族、獣人族などの異世界住民)は友好関係を築いていて、彼等が居住する事となった埼玉県秩父地方はほぼ彼等の手により魔物が殲滅された状態となっている。


と、まあ、これがモンスターアタックから三年経った害特封地の現状だ。この説明の中に俺達の存在は一切出てこない。それから魔王国軍の存在も公表されていない。勿論俺は政府に魔王国軍について報告しているし、俺が以前倒した赤鬼族戦士の遺体も引き渡しているから魔王国軍の存在についても知っている。ただでさえモンスターアタックによって世界中が大混乱に陥っている最中に、実は更に凄い(かもしれない)黒幕が控えてますとなればパニックは必定。政府が魔王国軍の存在を公表しないのも妥当な判断というところか。


そして、現在の秩父以外の害特封地はどうなっているのかというと、新たに魔物が異世界から送り込まれてはいないようではある。しかし、魔物はそのまま居着いて繁殖してしまっていて、封地内はあたかも野生の王国ならぬ、魔物の王国と化している。


また、封地内に人は居ないのかというと、実はこれが結構いたりするのだ。それは避難を拒み残留した住民、避難したものの危険を承知で戻った元住民、そして物好き、いや、義憤に燃えて魔物と戦うため封地に進入した武装民間人達だ。彼等は魔物から身を守るため山間部にコロニーを作って住み、或いは砦を築いて魔物と戦っている。


封地外では避難民や害特封鎖地出身者達が中心となり、その他宗教団体、政治結社、企業など様々な法人、団体、集団、個人が絡んで魔物の殲滅と害特封地奪還を目的としたNPO団体「神州解放戦線」が設立された。この団体が国内で寄付を募り、害特封地内の住民や戦闘員と呼ばれる武装民間人達を物心両面でサポートしているらしい。



そして魔法研修。研修の締めくくりには修得した魔法と課題研究成果の効果確認のため半月程度の期間で長距離偵察に出る事となっている。秩父地方はアースラ諸族連合警備隊によって魔物はあらかた殲滅されているので、ここでの長距離偵察は単なる山登りとキャンプになってしまうため除外。そのため未だ魔物がうじゃうじゃいる甲府盆地を目指している。長距離偵察は魔物討伐も兼ねているからね。


今までの研修では、この長距離偵察には俺と助教の大沢軍曹は当然行くとして、サキとアーニャも「秘書ですから」「だって、連絡官だし」との事で必ず着いて来る。アーニャが来れば配下の三人猫娘達も来る訳で、後はガーライルも配下の狼三人衆を連れて同行し、訓練支援でラミッドとアミッドが同行する。エーリカは都合が良ければ来てくれるが、女性陣は草深い山の中が苦手なようで来ないのが基本だ。御眷属様の三郎丸も研修生がいるので、やはり来ないのが基本で、長距離偵察の前後は機嫌が悪い。


ところが、今回は前述した馴染みのメンバーだけではなく、俺の周りの者達が全員一緒に長距離偵察に行くと言うのだ。まあ、来るものは拒まずの方針なので構いはしないが、一体どうしたのだろうか?




☆ユーリカ視点ー


いきなりだけど、何とも嫌な予感がしていた。何に対してかと言えば今回の魔法研修における長距離偵察に関して。今までには感じた事の無い予感で、具体的にはわからないけど、きっと大変な事が起こるはずだ。


実は、エーリカお姉ちゃんと私は稀な二つ属性持ちで、更に私は「能力持ち」なのだ。私の能力は「予知」。そんなに強力な能力じゃないから大した予知は出来ないけど、今まで随分とちょっとした予知で危ない目を回避していて、家族からも一目置かれている。


そんな私でも、流石に異世界にお姉ちゃんと転移してしまうとは思わなかった。エルム大森林の大精霊様と別の世界の神々の遣り取りなどは私の手には負えない想像の上を行く事象だ。


ただ、異世界に転移して、タケとリュータに出会った時はすぐにこの二人といれば絶対に私達は大丈夫だとわかった。


自分で言うのも照れるけど、タケは私に一目惚れだったみたい。それくらいは予知以前に女子ならわかろうというもの。リュータもカッコいいけど、私はどちらかというとタケの方が好み。あの一見知的でクールな美男子が私にだけデレる様は何とも言えないものがあるよ。


それにタケにも予知の能力があって、そうしたところも私達は相性が良いみたい。だから私とタケはお互いに自然と惹かれ合って恋人になった。お姉ちゃんとリュータも両想いなのは見ていてすぐわかるのになかなか進展しなくて、見ていて歯痒いものがあったから背中を押してあげた。その甲斐あってあの二人も恋人同士になって一安心。


話はちょっと逸れちゃったけど、そう、魔法研修の事。


今回の魔法研修の最後に行われる長距離偵察についてお姉ちゃんから聞いた時、私が咄嗟に思ったのは、リュータをこのまま行かせちゃダメだって事だった。きっとこれからリュータは自分の宿命と向き合う事となる。だけどリュータだけだと、今のままではその前に潰されてしまう。一人で行かせては絶対ダメ。


これは私だけの予知じゃなくて、タケもそう感じたみたいだった。


じゃあ、その長距離偵察自体を中止したり延期にすれば良いのではない?と思ったけど、でもそれは出来ないとタケは言った。まだ何も起こっていないし、リュータの危険を予知したという曖昧な理由で公的な研修内容を恣意的に、一方的に中止や延期には出来ないのだそう。それにこれも予知したのだけど、例え長距離偵察を中止にしたり延期にしたとしても、遅かれ早かれ長距離偵察は実施されて、「リュータを一人で行かせてはダメ」な事態には遭遇してしまうのだ。


リュータは失う事は出来ない。実はリュータはこの世界の人達がモンスターアタックと呼ぶ現象の中心にいる。そして、二つの世界を巻き込んでいるこの事態を終わらせる事が出来る鍵のような存在で、それが彼の宿命。今だからわかるけど、リュータの周りにいる私達はそんなリュータを支えるための存在。そのために二つの世界から集められている。だから、二つの世界の未来のためにもここは絶対にリュータを守らなくてはならない。


宿命は避ける事も変える事も出来ない。だけど、宿命自体を変えられないのならば、宿命に飛び込んで中から干渉する事は出来るはず。それが出来るのは未来を少しだけであっても予知出来る私とタケだけだ。


私とタケはリュータを守るため、まずお姉ちゃんにこの事を知らせ、お姉ちゃん達で結成した「リュータを守る会」に長距離偵察への同行を促すと全員二つ返事で賛同した。これで私とタケとアックスが同行すれば大丈夫。


ところがこれを知った思わぬ人物から足を引っ張られてしまった。弟のビクトルだ。この子が自分も行くと言い出してきかず、結局私が残ってビクトルの我儘を抑える事となった。一人欠けるのは良くないけど、弟にこれ以上事態を引っ掻き回される訳にはいかない。どうも弟の最近の言動には違和感がある。私達の行動を妨害するかのようで、もし誰かに操られているのなら、誰かビクトルと接触したのか?それが"敵"ならば弟といえども対処を考えなければならない。











いつも『救国の魔法修行者』をお読み頂きまして、誠に有難う御座います。宜しければブクマ登録、評価、感想など宜しくお願いします。


それでは、次話も絶対読むナリよ〜

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