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異世界で死に戻りしたからBadEndを回避したい  作者: くろぬこ


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13/23

【第13話】魔女ともう一人の誰か

 

 ヒーローは遅れてやってくると、聞いたことはあったけど。

 まさか自分が、それを経験する日がくるとはな……。

 

 貴族であるライザールが、足元に刺さった氷の槍を、不可解な面持ちで見下ろしていた。

 細長い氷の柄に、赤黒い液体が流れ落ちる。

 ナニが貫かれていたのかに気づいたライザールが、小さな悲鳴を漏らして後ずさった。

 胸元を氷の槍に貫かれ、力無く項垂れていたのは、ライザールを護衛していた男だ。

 

 人と氷を組み合わせたオブジェを作った人物が、氷のように冷たい銀色の瞳で、ライザールを静かに見下ろしている。

 お洒落に目覚めた町娘のように、袖口に銀色のラメ入り刺繍をした、可愛らしいワンピースを着た女性だ。

 風にスカートを揺らしながら、氷槍の細長い柄の先端に、片足だけを乗せて(・・・・・・・)器用に立つ美しい女性を、ライザールが呆け顔で見上げていた。

 

精霊族エルフ……。いや、魔女が……どうして、ここに?」

 

 横に細長い特徴的な耳と褐色の肌から、魔女とも呼ばれる闇精霊族ダークエルフと判断したのだろうか。

 

 戸惑う貴族の前で、エリスが伸ばした左腕を後ろに向ける。

 氷の槍で男を串刺しにしたエリスの後方には、女の子座りで地面にへたり込んだ、お嬢様の姿があった。

 お嬢様を人質に取っていた男は、首から先を無くした状態で、うつ伏せに地面へ倒れている。

 状況を理解できてない顔で、お嬢様が座り込んでおり、その前に転がっていた氷の剣が、空中にフワリと浮かぶ。

 

 青白いリング状の魔法円紋を二つ、左腕の周りに纏ったエリスが、手招くように指先を動かす。

 刃を空中で回転させながら、まるで吸い寄せられるように、エリスの手元に氷の剣が飛んでくる。


 氷の剣を手繰り寄せてる間に、エリスの右手には、新たな魔法陣が生成されていた。

 二つのリング状の外円を展開させた、第二紋の魔法陣の中から、新たな氷の槍が出現する。

 二つの外円を残して、青白い魔法陣が消失した。

 リング状の魔法円紋が二つ、エリスが伸ばした右腕の周りを纏う。


 己の手足のように、氷剣と氷槍を空中で操る、闇精霊族ダークエルフのエリス。

 そのダークエルフが、空中で一歩を踏み出した。

 

 緑色の淡い光の波紋が、エリスの足元に広がる。

 まるで空中に地面があるように、風の精霊による助力で、エリスが空を歩いていた。


 同時進行で、発動されてる魔法は三つ。

 第二紋の魔法を無詠唱で、しかも片手で一つずつ操り、散歩するように空を歩く女性は、それを平然とした顔で発動していた。

 この場に、魔術に精通する人間がいたら、裸足で逃げ出すような光景だ。

 

「ねえ。教えてよ、ニンゲン」


 魔女の名に相応しい、人外の魔術を披露するエリス。

 その瞳の奥に、怒りの火を灯しながら、貴族を再び見下ろす。


「トウマの目玉をくり抜いて、それからどうするの? 私にもっと詳しく、聞かせてくれないかしら?」

 

 今の彼女とまともに対峙できるのは、精霊族エルフくらいだろうと思う状況で、貴族のライザールはどう対応するのかと様子を見る。

 周りに味方が誰一人いなくなったライザールは、腰に提げた剣を抜いた。

 

「わ、私は、貴族だぞ! 貴族の私に、手をだ、ギャッ!?」

 

 貴族が突き出した剣の刃を、氷の剣が乱暴に叩いた。

 第二紋で作り出した魔法の剣は、第一紋の魔法よりもパワーが格段に上だ。

 痺れた手を抑えながら、強制的に剣を手放したライザールが、エリスを睨みながら後ずさる。

 

 貴族の威光を利用した恫喝のつもりだったのかもしれんが、エリスに対してそれは、悪手としか言えなかった……。

 目の前にいる闇精霊族ダークエルフに、貴族も平民も関係が無い。

 国の法律も、人間の常識も、全く通用しない。

 彼女にとって重要なことは、相手が自分の力で勝てるか、勝てないかのどちらかのみだ。

 

「目玉を、くり抜くって、言ったわよね?」

 

 魔女が、鋭く目を細める。

 浮遊する氷剣と氷槍が、刃の先端を貴族の顔に向けた。

 

「やめろ、エリス!」


 嫌な予感がして、即座に止めて正解だった。

 俺の声が届いたらしく、貴族の目から数センチの位置で、氷剣と氷槍の刃が静止していた。


「ヒッ!」

 

 数秒遅れで、身の危険が迫っていたことに気づいたライザールが、腰が抜けたようにへたり込む。

 目に見えて不満げな顔で、エリスが俺の方を見た。

 

「どうして止めるの? いまコイツを殺さないと、トウマが殺されるのよ?」

 

 エリスの言い分も分かる。

 俺もできることなら、今すぐその馬鹿貴族をぶっ飛ばしたい。

 

「エリスには、分からないかも知れないが……。平民の俺達が勝手に、貴族に手を出すことは駄目だ。そいつがどんなに悪人でもな……」

 

 やり場のない怒りに、震える拳を握り締めながら、心を鎮めようと努める。

 国の法を無視して、俺達が独断で貴族を私刑にすると、あとあと大変なことになる。

 下手をすると、エリスが私刑にしたことを見過ごした村の皆が、国の法で処罰される可能性もある。


 だから、この場で一番無難な選択は、俺達よりも偉い人に任せること……。

 その人に、悪事を働いた貴族を必ず裁いてくれと、頼み込むことくらいだ。

 俺は猿轡と腕を縛っていた紐を外し、お嬢様を拘束から解放する。

 お嬢様が礼を俺に言った後、俯き顔で地面をぼんやりと見つめるライザールに歩み寄った。


「恥を知れ、叔父上!」

 

 貴族のお嬢様が、顔を怒りの表情に染め、右手の拳を握り締めた。

 いきなり突き出した右手が、貴族の顔面に吸い込まれる。

 普段から殴り慣れてるのか、腰の入った右ストレートが、綺麗に決まった。

 鼻血を噴き出し、後方に仰け反ったライザールが、背中から地面へ派手に倒れる。

 

 不意を突かれたパンチを、ノーガードの顔面へ食らって、気を失ったのだろう。

 潰れた鼻から血を流し、白目を剥いたライザールの口の中に、折れた前歯が転がり落ちる。

 

「この者を拘束しなさい」

「しかし、お嬢様、その」

「今回の件は、わたくし。シャルロット・ロスマイアが、全ての責任を負います!」


 戸惑い顔で尋ねる村長の言葉を、最後まで言わせず、辺境伯のお嬢様がピシャリと言う。

 呆気に取られて立っていた俺の手元から、縄と猿轡を奪い取ると、それを気絶したライザールに投げつけた。

 フンスフンスと鼻息を荒くしながら、シャルロットお嬢様が立ち去って行く。

 素手で殴って、ちょっと痛かったのか、さり気なく手を擦っている。

 

「フフッ。あのニンゲン、気に入ったわ」

 

 俺の背後に立っていたエリスが、肩口から顔を覗かせてクスリと笑う。

 ホント絵に描いたような、お転婆姫様だな……。

 まあ、おかげさまで俺も、多少は溜飲が下がったけど。

 お嬢様の背を目で追いかけた時に、食堂前にいるナミタさん達が目に入り、そちらへ駆け寄る。

 

「シラヌイ、大丈夫か!」

 

 ナミタさんに支えられながら、弱々しくも身を起こしたシラヌイが、ダガーの刺さってない無傷な片腕を上げる。

 口から血を流して、辛そうな顔をしながらも、握り締めた拳の親指を立てた。

 やり遂げたようなドヤ顔で、白いギザギザの歯を見せて笑うシラヌイを見て、少し安堵する。

 まだ余裕がありそうだし、あの様子なら大丈夫だろう……。

 

「問題は、こっちだな……」


 血を吐いて倒れたままの白髪女を見下ろして、どうしたものかと頭を悩ませた。

 

 

 

 

 

   *   *   *

 

 

 

 

 

「おはよう、お兄ちゃん。パンだよ!」

「おはよう、ケティー。ありがとう」


 かご一杯に入った焼き立てのパンを受け取り、幼いケティーの両手に硬貨を落とす。

 小さな指で硬貨をめくりながら、うんうんと可愛らしい仕草で唸って、一枚一枚を丁寧に数えるケティーを見守る。

 

「ちょうどかな?」

「うん、ちょうど!」

「今日はケティーが、お使いしてるの?」

「うん。シャルロット様が、ご飯を食べに来てるの!」

 

 貴族のお嬢様をシャルロット様と呼ぶまでに、ケティーが仲良くなっていたことに少し驚く。

 硬貨を小銭袋に入れながら、ケティーが嬉しそうな笑みを浮かべた。

 

「食堂、人がいっぱいだから。私がお手伝いするの!」


 ナミタさんが蟻人のモンスターになってからは、食堂への客足は遠のいてたと、村長からは聞いている。

 村人の心情的に仕方が無いと思っていたが、今朝は忙し過ぎてケティーをお使いに出すくらい、以前の活気が戻ってるようだ。


 自分がモンスターになったことが知られて、たとえ人間に狩られることになったとしても。

 村の皆を助けることを一番にして、身を呈して戦ってくれたナミタさんを、嫌いになる人なんているわけがないよな……。


 パンが沢山盛られたカゴを持ちながら、俺は上機嫌に家へ入った。

 香ばしい朝食の匂いが、室内に立ちこめている。

 

「トウマ、皿を取って」

 

 朝から不機嫌顔のエリスが、料理鍋をスプーンでかき混ぜながら、テーブルを指差す。

 パンが入ったカゴを置いて、テーブルに並べられた小皿をエリスに渡した。

 

「それで。その女は、いつまでここに置いとく気なの?」

 

 エリスが機嫌を損ねる原因になったモノへ、俺は視線を移す。

 ――本当は捨てる予定だった――グレンさんのマットレスの上に、白髪の女が横たわっている。

 

「うーん……。うぅっ……」

 

 悪夢にうなされているのか、苦しそうな唸り声を漏らす。

 マットレスに寝かされた白髪の女が、左右に顔を動かしながら、身もだえていた。

 

「臭いのかしらね?」

「……え? そっち?」

「痛っ、いった……。またトんでる(・・・・)間に、限界まで使いやがったな? あの、クソ貴族め……」

 

 胸元を抑える仕草をしながら、眉間に皺を寄せた女性が、突然に身を起こす。

 

「やっと、起きたのね」

「は? 誰だ、お前……」

 

 こちらからは、仁王立ちしたエリスの背中しか見えないが、寝起き一番に白髪女が困惑しているのは察した。

 

「トウマが、あなたに聞きたいことがあるって。喋ること喋ったら、さっさと出て行ってくれない? そのゴミベッドも、あげるから」

「あん? 誰だよ、トウマって……」

「おはよう。俺が、トウマだ」

「ヒッ」

 

 エリスの横から顔を出したら、白髪女が悲鳴を漏らして、いきなり後ずさった。

 お化けが出たみたいな反応をされて、ちょっと傷ついた……。

 

「ご飯、食べれる? パンとスープがあるけど」

 

 部屋に充満する香りに釣られたのか、白髪女のお腹が盛大に鳴った。

 三人でテーブルを囲んで食事を始めたが、やたらと白髪女がチラチラと、俺に熱視線を送ってくる。

 パンを含めて五人前は用意したが、やせ細った身体のどこに入ってるかと疑いたくなるくらい、白髪女が残すことなく平らげた。

 

「それじゃあ、お互いに自己紹介といこうか。俺は、トウマ。こっちにいるのは、エリス。彼女は、闇精霊族ダークエルフだ」

闇精霊族ダークエルフ?」

「そうだ。知ってる?」

「ああ。それは、知ってるけど……」


 エリスには興味があまり無いようで、白髪女が俺の方をじっと見ている。

 

「リューネだ……。私と前に、会ったことは無いよな? トランゼの街とかで」

 

 リューネを名乗った女性が、傍目から見て分かるくらい、緊張した様子で尋ねてくる。

 トランゼの街は、この村から王都を挟んで、反対側にある大きな街だ。

 十六歳まで街に行ったことのない俺が、そんな場所に行けるわけがない。

 リューネの問いに、俺は首を横に振った。

 

「そう、だよな……」

 

 ショックを受けたというか、落胆したような感じみたいな、なんとも言えない複雑な表情を、リューネが浮かべる。

 

「リューネさん。あなたが、貴族に雇われて村を襲った理由を、聞いても良いか?」

「……私は、村を襲ったのか? モンスター以外で、誰かを殺したのか?」

 

 質問を質問で返されて、俺の隣りに座るエリスと、思わず目配せをしてしまった。

 昨日の件があったので、目覚めて大暴れした時のために、保険としてエリスに同席をお願いしたが……。

 今のところ、大丈夫そうねと言いたげな顔で、エリスが小首を傾げる。

 

 シラヌイを、人としてカウントするべきかを、ちょっと考えてみる。

 何回も殺されたけど、死んでは無いよな?


「人は殺してないけど……」


 俺の答えを聞いて、不安そうな顔をしていたリューネが、少しホッとした顔をする。

 なんか昨日までの印象と、だいぶ変わってきたな……。

 この人、わりとまともな人なのか?

 

「どうして、あの貴族と一緒にいたんだ?」

「……薬が、必要だったんだ」

「薬?」

「魔薬でしょ」

「マヤク?」

魔力マナを利用した、危ないクスリよ……。たぶんコレ、幻覚が見えるタイプじゃないかしら?」

 

 香水でも入ってそうな洒落た小瓶を、エリスが掌にのせて、俺達の前に差し出した。

 貴族が腰に提げていたポシェットの中にあった物で、蓋を開けて匂いを嗅いだエリスが、危険物だと言って回収していた物だ。

 リューネがすぐさま反応し、エリスが持つ小瓶へ手を伸ばそうとした。

 取られるのを防ぐように、エリスが素早く手を閉じて、手元に引っ込める。

 

「やっぱり、あなたのだったのね? 魔薬はね、エルフの森のみで採れる毒草を、混ぜて調合した毒薬なの。普通の毒草から作る危ないクスリの何倍も、気持ち良いくらいにトんじゃうって、聞いたことがあるけど……」

 

 ――見た目だけでも毒々しい――紫色の怪しげな液体が入った小瓶を、指先で摘まんだエリスが傾ける。

 

「手が震えてるのは、クスリの発作かしら?」

 

 頬杖をしたエリスに指摘されて、震える手を押さえつけるように、リューネが己の腕を握り締めた。

 顔から脂汗をかきながらも、リューネは俺から視線を外さない。

 リューネが意を決したような顔で、再び口を開いた。

 

「トウマって、言ったよな? ……本当に、クドウじゃないよな?」

 

 静かに目を細めた俺に、何かを察した顔で、リューネが立ち上がった。


「やっぱり、そうなんだな? どうやって、こんなところに――」


 前のめりになった彼女の視線を、遮るようにエリスが手を出す。

 

「さっきから、ワケの分からないことを言ってるけど。あなた、魔薬が抜けてないのかしら? トウマを、誰かと勘違いしてるみたいだけど。ここには、クドウなんていないわよ」

「そんなはずはない。お前からは、クドウと同じ魔力マナの臭いがしていた……。あの臭いを、私が間違えるはずがない」


 トリップする系のヤバイ薬の副作用で錯乱し、ワケの分からないことを喋り続ける女性。

 傍目から見たら、そう見えなくも無いが……。

 

魔力マナの臭いが、同じね……。まるでトウマが、二人いる(・・・・)みたいなことを言ってるわよ?」

「そうだよ。だから、おかしいんだよ。クドウは一人しかいない。あの時、私の前で死んだはずなのに……」

「あなたと話してると。こっちの頭が、おかしくなりそうだわ。トウマは、一人しかいないし。この村から、出てもいない……。トウマがエルフの森で、迷子になった日から。私が毎日・・見てたから……」


 盛大に溜め息を吐きながら、エリスが肩を落とす。


「……トウマ?」

 

 エリスが不思議そうな顔で、横から俺を覗き込む。

 

 ――だから私は、あなたから前世の記憶を奪い、この地に堕とした。

 

 なぜかこのタイミングで、アイツの言葉を思い出し、その意味を深く考える。

 俺しか知り得ない(・・・・・)名前を、何度も口にする女と、俺は無言で見つめ合った。


・【第10話ルートB】(BadEnd scene 10)


「仕えるべき主を間違え、誤った大義を信じた結果が、これなのか?」


 脇腹を深々と貫いた氷の刃を、男は肩を落としながら見おろす。

 足元に広がった赤黒い水溜りから、男は視線を外した。


 当初の目的である、お嬢様の身柄を抑えることには成功した。

 男以外は全滅と、多大な犠牲を支払ったが。


 貴族を護衛していた者も、金だけで雇われた傭兵も、蟻の下半身を持つモンスターに嬲り殺された。

 もしくは、魔女の放つ氷の刃に命を堕とした。


 お嬢様を乗せた貴族用馬車は、男を悪の道に誘った主と二人きりで、男が時間を稼いでいる間に、姿を消していた。


「死にぞこないも、もう限界か……」

 

 獲物を奪い合う、二匹の魔獣。

 いや、横たわる黒髪の少年を中心にして、魔女と魔獣ハンターが激しい戦いを繰り広げていた。

 大した時間も掛からず、決死の戦いは呆気なく終わる。

 

 魔力が切れた一瞬の隙を突いて、魔獣ハンターのふくらはぎを、氷の刃が貫く。

 蟲を張り付けにするように、魔女の氷槍が魔獣ハンターの腹を貫いた。

 

 地面に倒れた黒髪の少年へ、魔獣ハンターが涙を流しながら、震える手を伸ばす。

 しかし、氷剣を操る魔女が、それさえも許さぬとばかりに、女の腕を斬り飛ばした。


 どうやら、次は男の番らしい。

 男の逃げ道を塞ぐように周囲を取り囲んでいた蟻人達が、ジリジリと前に足を進めながら、徐々に包囲網を狭めて来る。

  

「魔薬に溺れて無い頃の君がいれば……。まだ俺達の生き残る可能性が、あったかもしれんな……」

 

 あったかもしれない未来を、脳裏に想い浮かべたのか、男が薄い笑みを浮かべた。

 最期の力を振り絞るように、両腕に浮かんだ青白い魔紋が輝く。

 男の背後に音も無く、氷の刃が死角から現れる。

 最期の足掻きを見せようとした男の首を、容赦なく斬り飛ばした。


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― 新着の感想 ―
[一言] 個人的に面白いので終わってほしくないですね
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