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信孝なんかに『本能寺の変』のとばっちりで殺されていられません~信澄公転生記~   作者: 柳庵


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97話 混合比、黄金比

ども、坊丸です。

包丁頭の井上殿と、焼酎の献上でただいま相談中です。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「井上殿、伯父上は、味醂を嗜まれることがあるんですよね?そして、在庫もある、と」


「先程申しあげたとおり、味醂を酒として呑まれますな」


「伯父上の酒の好みを考えると、焼酎は、あまり好まれないと自分も思います。

粕取り焼酎は、強い酒で、少しだけ清酒に近い香りが残っていますが、旨味、甘味、酸味などはかなり少なくすっきりしています。

なので、味醂を少し足して、甘味とコクを焼酎に加えたいと思います。

清須城にある味醂を少し分けていただきたいのですが、よろしいですか?」


「まぁ、少しだけならば…」


「井上殿にも味見していただいて、一緒に焼酎と味醂を合わせた酒、柳蔭を作り上げたく。手柄は、井上殿にお譲り申し上げますので」


「まぁ、そういうことならば、その柳蔭というものを作ってみましょう」


「まずは一対一の同量を混ぜたものを試したく存じます」


井上殿の配下の人から、小さい盃を二つもらい、片方に粕とり焼酎を、片方に味醂を注ぎ、一合枡に両方を注ぎ入れました。


うんうん、日本酒らしい香りが少し残る焼酎と甘味のある味醂をまぜたので、また違う風味になったはず。


信長伯父さんの酒の好みを考えると、これが正解だと思うんだよね。


信長伯父さんの酒の好みは、五味のうち、渋味、苦味、酸味が好きじゃないんじゃないかと思うのよ。


甘味は、ある程度あってもいいけど、あまり強く感じるのは好みじゃないって感じ。


アルコールに由来する辛味は、すこしは許容してくれると思うけど、焼酎の原酒クラスのきついのはたぶん好みじゃないんじゃないかな。


焼酎と味醂を混ぜて、日本酒の香りは残しつつ、アルコール濃度は下げて、ある程度甘味とコクを感じられる柳蔭は、信長伯父さんの好みに合うと思うんだよね。きっと、たぶん。


「井上殿、とりあえず、味見をせんか?坊丸は子供だからな、儂が代わりに味見をしてやるからな、な」


まったく、酒飲みだなぁ、柴田の親父殿は。


「親父殿、よろしくお願いいたしますね」


すこし、硬い感じで、ニカリとわらってちょっとイラッとしているのを表現したんですが、酒が飲めるうれしさで気が付かない、柴田の親父殿。やれやれだぜ。


で、先ほどの小さい盃を水洗いして、一号枡から、試作初号の柳蔭を呑む、柴田の親父殿と井上殿。


「すこし甘いな。生の焼酎より飲みやすいが、なんというか、その、甘いな」


「焼酎だけよりは、ピリピリした感じがなく、甘みもあり、呑みやすいですな」


うんうん、井上殿の酒リポ、わかりやすくて良いですね。

柴田の親父殿は、酒が絡むと、ね。

まぁ、こんなもんでしょう。


「焼酎を2、味醂を1の割合にしてはいかがか?」

柴田の親父殿が、提案してくれたので、さっそく試作。


試作二号です。く、これは呑んでみたい。でも体は子供だからね、ぐっと我慢して、柴田の親父殿と井上殿に勧めます。


「お、これはいいな。甘味が抑えられて、焼酎の強い感じが引き立つ」


「う~ん、柴田様はお好みのようですし、それがしもそれほど嫌いではありませんが、信長様の好みを考えると、すこし酒の強さ、辛さが立つような気がしますな」


「ふむ、そんなものか」


柴田の親父殿?自分の趣味に合った柳蔭の配合バランスを見つけるために、やってるんではないんですよ?


信長伯父さんの好みに合うような配合のほうが大切ですからね?

そこんとこ、わかってます?

全く、やれやれ、だぜ。


「では、焼酎1に味醂を2では、どうでしょうか?」


「では、次は、その組み合わせで作ってみましょうか、坊丸様」


「うむ、甘味が勝つな。儂はあまり好みではないぞ」


「そうですね、思ったよりも味醂の甘味、コクが勝ちましたな。焼酎の辛さも少しはありますが、これは信長様の好みよりは甘いかもしれませんな。帰蝶様等、女性には、これくらいがいいかもしれませんな」


柴田の親父殿の食リポは、置いておいておきましょう。井上殿の食リポ、女性向けのアイデア、あとで使わせてもらうかも。


「さて、三つ試しましたが、伯父上に献上、提案するのはどれがいいと思いますか、井上殿」


「正直にもうさば、一番初めのものですな。しかし、この焼酎と味醂を混ぜた酒、柳蔭とやらは、同じ名前でも混ぜる割合でいろいろ変わるのですな」


「いや儂は、二番目が…」


うん、カクテルってレシピ決まってるけど、お店によって味付け変えたりするしね。

柳蔭って、転生前に一回呑んだだけだから、正解わからないし。

そして、自分の味の好みをまだ強調しますか、柴田の親父殿。


「では、生の焼酎と最初のものの割合の柳蔭を献上させていただきます。井上殿も同席をお願いいたします」


「わかり申した。では、信長様に取次の連絡を入れ申す」


柳蔭の手柄を井上殿に譲るって言ったからね。井上殿も同席してもらわないとね。


「それがしが、焼酎を献上いたしますので、井上殿、柳蔭をお持ちください。あと、今の時期、柑橘は何かあります?」


「柑橘類ですか?今の時期ですと、スダチがございますな。しかし、いきなり柑橘類などといかがいたしました、坊丸様?」


「柳蔭の口直しに使いたいと思いますので、輪切りのスダチも準備お願いいたします」


ふふふ、柳蔭は、和風のカクテルですからね。

最後に、スダチを一絞りして、味変させてもらいますかね。

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