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信孝なんかに『本能寺の変』のとばっちりで殺されていられません~信澄公転生記~   作者: 柳庵


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481話 金創医坊丸 執刀医頑張ります! 六ノ段

ども、坊丸です。

皮膚切開はうまくいったんですが、皮膚断端からの出血に苦しんでいる坊丸です。

というわけで、皮膚断端にガマの油を塗ってみました。正直、ワセリンと同じくらいの効果があれば良いかなぁ、という程度だったんですが…。


出血がかなり減りました。正直ビックリです。

何が効いたか分からんけど、何かが効いたんでしょうね。

よし、理由は分からんけど、止血効果あり!皮膚断端からの出血は減ったのでだいぶ創部クリアになりました。では、創部を再確認っと。


創部を晒し木綿で拭ってと。

数カ所、細い血管と思われる場所から出血あり、と。


「曲がりの参寸とピ…。ええっと、つながった箸みたいなやつを」


「はい!」


だいぶ慣れてきたのか、左手のひらにスパッと収まるモスキート。まあ、曲がりの参寸がこの世界での正式名称になりましたが。そして、桃花さんの方をみてピンセットを右手で指差しながら要求。


「坊丸様。どうぞ。このつながった箸みたいなやつ物の呼び名はいかがいたしますか?」


「ピンセットで」


「ぴ?ぴん、せ。すいません、もう一度お願い致しまする」


「ピンセットですね」


「ぴん、せっと。ですか。分かりました。次はそれの名前でお渡しします」


ゴメンね、桃花さん。今から名前ゆっくりかんがえてらんないから。申し訳ないが、聞きいたことが無いピンセットで覚えて。もう、そう言うもんだと、諦めて。


さて、出血点は…。そこぉ!

はい、ピンセットと出血点をピンポイントにつまんでっと。そこをモスキートで掬って。


「糸。糸だけを」


「はい」


さすがに器械と違ってもたつく感じがありますが、それでもそこまで時間がかからずに絹糸をわたしてくれました。


「加藤さん。助力を!参寸をその場で動かさないように持って!」


「は、はい。承りました!」


近くに控えていた加藤さんが自分の隣に立ってくれるわけですが、少し緊張しているのがよくわかります。


「大丈夫。加藤さんなら、できます。加藤さんだから、できます」


「はっ。頑張ります」


「はい、三寸をこの位置で動かさないように持ってください」


自分持っていたモスキート鉗子をそっと加藤さんに渡すと、少し緊張で振戦がありますが、概ね、いい位置で把持してくれています。


モスキート鉗子の下へ糸をくぐらせて結紮。さすがにぶっつけ本番で執刀するわけには行かないので、糸結びだけは練習しました。驚いたことに転生前の知識が脳に残っているのか、練習では糸結びはスムーズにできました。

そして、今日も指が覚えているかのように糸結び、結紮はスムーズにできました。よ、良かった。


「加藤さん、三寸を緩めてください」


「はっ。はい」


自分が作ったものなので加藤さんはモスキートの構造の把握は問題なし。昨日の夜にモスキート、ペアン鉗子の動き、使い方を見せたて、少し動かしてもらったわけですが…。さすがに片手でラチェット機構を使って緩めるのはまだできないご様子。


「両手で、ゆっくり動かして、鉤爪を外してください」


「はっ」


モスキートの先端をじっと見つめながら両手でゆっくりとラチェット機構を外す加藤さん。


「そうです。それで良いです!できたじゃないですか!」


「はっ。坊丸様の言葉通り手を動かしただけですから…」


「加藤さん。言われて、その言葉通り、手を動かす。昨日の今日でそれができるのが素晴らしいです。次も、お願いします!」


「はっ!はい!」


加藤さんに顔に安堵が浮かび、その後すぐにやる気に満ちた顔に変わりました。


「鋏」


「はい」


さすがに糸切りをいきなり加藤さんにやれって言うわけにもいかないので、自分で糸を持って利き手で糸切りっと。


「加藤さん。何度か糸を切る動きを見せます。そのうち、糸切りもお願いしますね」


「はっ。見取り稽古させていただきます」


そんな感じで皮下組織や筋膜の上の小血管を結紮すること、数度。


「だいたい分かり申した。次は某が糸切りを致します」


結紮後、鋏を要求しようとすると、既に鋏を手に持った加藤さんそう言ってくれ、糸切りしてくれてました。


良し、行ける。


結紮!結紮!結紮っう〜。

よぉし、出血コントロールできてきたぞ!


さて、この色の悪い筋膜を触診だと。うん、ここに異物があるな。


ふぅ~。一息、長い息吹。


「行きます」


筋膜切開。そしてカミソリを曲がりのモスキートに持ち替えて異物の直上で垂直に立てて、筋肉を左右に分ける様に開く。


「うぐぅ」


盛次殿、御免。

筋肉に曲がりの参寸ことモスキート鉗子の先端を垂直に立てている開くと、筋肉が灰黄色、あるいは砂色に変化しグズグズになった壊死組織が目の前に急に現れてきました。そして、突然に鼻を襲う悪臭。様々な排水が淀んで腐ったドブの中に鼻先を突っ込んだのか思う悪臭。

この臭いが口元を覆うようにつけた布口面の隙間から鼻孔にダイレクトアタックですよ。

一応、想定してたので、自分はぐっとこらえましたが。


「ウップ」「グウェ」「ウッ」


盛次殿以外の方々から悪臭で吐きそうになっているのがよくわかる吐き気をこらえる音がしております。

うん、よくわかるよ。でも、みんな我慢してね。

蟾酥は塗り薬として使うと止血効果と局所麻酔効果があると、伝統的にはされております。

蟾酥の有効成分の主たる物は強心配糖体とされております。

本作品ではやむなく生薬や民間療法薬を使っておりますが、民間療法薬の使用を推奨するものではありません。


読者諸賢には科学的根拠のある現代医療とキチンと承認された医薬品を医師等医療従事者の指導のもとに使用することを作者としては強く推奨致します。


「そこぉ!」は機動な戦士のZガンダ△の主人公の神ー湯・美談が射撃するとかによく叫ぶヤツ。


布口面は「キ滅の刃」の「隠」の方々がつけている顔下半分の覆いみたいな物のことです。海外の装飾性が高いヤツだとフェイスベールという名前になるとおもいます。


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宜しくお願いします。

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