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信孝なんかに『本能寺の変』のとばっちりで殺されていられません~信澄公転生記~   作者: 柳庵


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479話 金創医坊丸 執刀医頑張ります! 四ノ段

ども、坊丸です。

加藤さんと桃花さんを手術の助手と器械出しをやってもらおうとして、色々仕込んでいる坊丸です。

まぁ、付け焼き刃とはこのことだってくらい直前になってしまったんですがね。


「と言うわけで、明日の執刀のお手伝い、お願いしますね。加藤さん、桃花さん」


「承りました。この加藤清忠、坊丸様の為、佐久間盛次殿の為、全力で臨ませていただきます」


「私も、頑張ります」


そう言ってお互いに頭を下げ合う我々。


「さて、これで一段落ですね。少し、寝させてもらおうかなぁ…」


「あ、坊丸様!一つだけ、宜しいですか?」


眠いので、本当は『え、えぇっ!嫌です!駄目です!』ってところなんですが、済まなそうな顔をしつつ、上目遣いで頼んでくる桃花さんを見たら、話を聞くしかないじゃないですかぁ。


「ひ、一つだけですよ?後出しで増えるのは無しですからね?」


「は、はい。ありがとうございます。今回、佐久間様の脚の治療に同行することになりましたので、甲賀衆の中で()…、薬草などに明るい方々に刀傷の時に使う薬を分けてもらうよう、お願いしたのでございます。それで、手に入った物がこちらなのですが…」


そう言うと、懐から三つの薬壺を取り出しました。

あ、薬壺ってサイズ的に茶入に見立てるのアリだな。って、今はそこじゃない。


「こちらは?」


「朱い薬壺に入っているのが、ドクダミとヨモギ、チドメグサを混ぜて粉にしたものにございます。本当は生の葉を擦って汁を用いるのですが、水で戻してもそれなりに血が止まるとのことにございます。

白い薬壺はガマの油。なんでもヒキガエルを鏡に向かい合わせると出てくる油、蟾酥(せんそ)というらしいんですが、それを集めて猪油などと練り固めたものだそうです。浅い傷なら塗ると血が止まり傷が早く良くなるとか。

黒い薬壺は湯の花のなかからミョウバンを主として取り出したものだそうです。甲賀や甲賀から山を越えた伊勢湯の山には温泉がございます。甲賀衆の中にはそこから取れた湯の花を加工して薬として使う方々もおります。なんでもミョウバンは皮膚の病や出血の際に効能があるとかで、今回分けていただきました」


ふむ、生の生薬に、ガマの油、ミョウバンねぇ~。

なんか民間療法薬の揃い踏みって感じだな。あ、たしかミョウバンだけは日本薬局方に『皮膚の炎症・潰瘍の収れん及び止血、多汗症、臭汗症』って書いてあった様な。

腋臭にミョウバン石鹸を使ったら良くなったって親戚のおじちゃんが言ってたから昔、調べたんだよね。あ、ここでの親戚のおじちゃんは平成令和の方ね。信長伯父さんや信包叔父さんじゃないからね、念の為。


「ふむ。桃花さんも今回の治療に前向きに協力していただけるのですね。ありがたいことです。とりあえず、各々を他の器械とともに準備しておいてください。使いたいときに物が無いと悲しいですから」


「はい!坊丸様のお役に立てるよう頑張ります!」


胸の前で拳を握って気合を入れる桃花さん。まるでふんす!という擬音が聞こえる感じです。


と、言ってもどう使うか考えないといけないんですけどね。ドクダミとかヨモギねぇ。チドメグサってなんなのかしらんけど。名前からして血が止まる成分入ってるんだろうけど…。


チラッと蓋を開けて見せてもらった感じだと、乾燥させた葉っぱの破片が入ってたからなぁ。水で戻すって言ってたけど、青汁みたいな物かお浸しみたいな感じになるわけでしょ?術中に使うには厳しいよなぁ…。

縫合後に塗ってみるか?それこそ火傷の部分にアロエベラの液を塗るみたいに。


ガマの油はどう効くのかなぁ。ガマの油って火傷とか刀傷、痔とかに効くんだっけか。やっぱり術後に塗ることくらいしか思いつかないなぁ。


生薬とガマの油って使いづらい気がするんですが…。


湯の花から抽出したミョウバンは薬効確定的だからね。止血に使えると嬉しいんだけどね。

でも、見た感じ、ミョウバンの粉なんだよなぁ…。どう使おう。


「では、明日、宜しくお願いします。」


「はっ」

「はい、宜しくお願いします」


お互いに頭を下げあう我々。

頭を上げたあと、何故かお互いの顔をみあってから、みんなで少し笑いました。


さてさて、それにしても眠くて桃花さんが持ってきた民間療法のお薬たちの使い方に良いアイデアも出そうにないから一休みしますか。

布団を敷いてっと。えっと、案内していただいた小姓さんが押入に布団があるのは教えてくれていたので、それを取り出そうと立ち上がり、押入の方に向かおうとすると、桃花さんから声がかかりました。


「坊丸様。そのようなことはこの桃花が。すぐにお布団を敷きますので、そこに座ってお待ち下さい」


そう言うと何故か鼻歌を歌いながら布団を敷いてくれる桃花さん。


「はい、終わりました。どうぞ、お休みください。夕餉の声がかかりましたら、起こして差し上げますので。あ、それとも桃花が添い寝致したほうが良いですか?」


ハッハッハ、桃花さん。こんなところでくノ一らしいハニートラップを仕掛けなくて良いですよ!

ていうか、普通に寝かせてください。









ガマの油は大阪冬の陣・夏の陣で光誉上人の陣中薬が評判になってから世に知られますが、甲賀衆なら既に知ってるだろうという設定。

蟾酥はヒキガエルなどの皮膚腺、耳腺の分泌を集めた生薬です。ちなみに現在の筑波山土産のガマの油には入っていません。救心、六神丸には含まれてるそうです。


アロエが火傷に効くっていう民間療法が昔からありますが、傷を冷やすのと少し保護するくらいしか効果ないらしいですよ。


チドメグサは現在は雑草もしくはグランドカバー用植物として使われます。収れん作用で止血効果があるらしいですよ。


民間療法の品々については、甲賀衆が使いそうなものを調べたものです。効能効果が確実に認められるものではありませんので、読者の皆さんにおかれましては、使用については非推奨であることを記しておきます。


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宜しくお願いします。



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