464話 金創医坊丸 準備奔走中 参ノ段
すこし短いですが、投稿間隔があいているので、ご了解を
ども、坊丸です。
縫合や結紮に使う予定の絹糸は手に入れる目処が立ちました。
婆上様、ありがとう!特に金銭面!
あ、伝手のある所にお手紙書いていただいたことも本当に有り難いことです。ウンウン。
で、針なんですが、加納宿の楽市にて無事に手に入れてまいりました!
ま、針の良し悪しなんてわかりませんからね、加藤さんと一緒に買いに行きました。で、ね。
何故かついてきたんですよ、お妙さんと桃花さんが。
桃花さんは、護衛を兼ねてるって言っておりました。お妙さんは、針の良し悪しは常日頃使っている女子衆の方が分かります!とか言って、ね。
針を買いに行く道すがら加藤さんから教えてもらった話だと、針の作り方は針金を作ってそれを鍛造しながら、長さを見て切っていくんだそうです。さらに針頭を熱したところで針穴を開けるんだそうです。あとは研ぎで針先の鋭さを作るんだとか。
現代の工業生産の縫針たちと違い、一本一本手作り。そりゃ、お値段も張ります。だから、秀吉が家を出る時に貰った金銭を針に換えて、行商して歩いた伝説ができるわけですねぇ〜。理解しました。
で、そのかわりに、普通の直針を手術用の針に変更するアイデアを加藤さんに披露。裁縫用の針は、布地の方を動かして縫うことができるので、直針でもいいんですが、人間の組織はこっちの都合で伸ばしたり曲げたりできませんからね。針先を回転させて縫う必要があるから基本的に半円か、それに近い弧を描くように曲がっております。
まぁ、弾機孔は、曲げる工程をする前にチラッと話してみますが…。まぁ、無理だろうなぁ。となると、機械出しをやってくれる人が針孔に糸を通す作業を毎回やってもらうか、先に針に糸を通したものをたくさんたくさん準備して置くしかないわけで。十センチの傷になる予定だから、二十から三十組は準備しておかないと…。ということで三十本ほど購入。
で、ですね。お妙さんは針の良し悪しを見てくれる予定だったんですが…。針のとがり具合は見てくれました。うんうん。でもね、もとは刃物も取り扱っていた鍛冶師の加藤さんがしっかり見れば、全く問題ないという悲しい事実。はい、戦力外。
桃花さんは護衛メインでしたので最初は後ろでチラチラ見ていただけでしたが、お妙さんに誘われてからは手に取ってしげしげと眺めておりました。ま、指の間に挟んで棒手裏剣のように持つ姿を見たときはどうしようかと思いましたが。
さて、加藤さんに姉小路針三十本を懐にしまっていただき、さて帰宅というところで、お妙さんからおねだりが。今回の戦の前の繕い物をしている針を新しいものに変えたいとのこと。
まさか、この段階でのおねだりかよ!と思いましたが、直臣としての俸禄の管理はお妙さんと婆上様がしておりますから、払えないおねだりをしてくるはずはなく。さらに言えば今回の戦に使う柴田家の軍旗を繕うためだと言われれば、否という言葉を吐けるはずもなく。
ついでに桃花さんに向けて将来のいい人の服を縫ったり繕ったりするのに自分用の針の一つでも持っておきなさいと言い放つお妙さん。
人の金だと思ってこの人、やりたい放題だよう!と思ってしまった自分を誰が責めることができようか?いやできない!などと心の中で反語を操っておりましたよ。
そのうえで、坊丸様宜しいのですか?と目をちょっとうるっとさせながら小首をかしげるように桃花さんからおねだりされたらこれもまた否とはいえないじゃないですか!
桃花さんはくノ一なので、ハニートラップの技術をすこし使っただけかもしれませんがね。まぁ、甲賀衆との連絡係役と柴田の邸宅にいるときの護衛や防諜に対する対価だと思えば安いもんですよ!ええ。
ホントダヨ!ハニトラに引っかかったんじゃないよ!
縫い針、まち針合わせて数本を購入した後、携帯裁縫道具入れの袋をお妙さんが本体の針の値切るを途中で切り上げるかわりに付属させました。やるな、お妙さん。ナイスな交渉術ですな。
購入した針たちをしまった裁縫道具袋を胸に抱いて、ずっと大切にしますとか言われると、ほっこりしてしまったものでした。
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