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信孝なんかに『本能寺の変』のとばっちりで殺されていられません~信澄公転生記~   作者: 柳庵


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432話 信長伯父さんの帰宅

前半坊丸視点、後半奇妙丸視点をやってみた。

ども、坊丸です。


奇妙丸様宛のお手紙が披露されて、二日後、明日岐阜に入るから準備しとけ!って先触れが来ました。

ちなみに本日は、大垣城下まで来て宿泊だそうです。

明日は、表御殿でお出迎えですな。


明けて、四月二十六日。

岐阜城下表御殿の前で信長伯父さん御一行をお出迎えです。


「皆のもの、今帰った。奇妙、林の爺、留守居役、ご苦労。義昭様の御所も完成した。実にめでたい」


「「ハハッ」」


うん、いつものように信長伯父さんの挨拶は簡潔。

あれ?信長伯父さんの周囲には小姓衆、母衣衆なんかは居ますが、重臣格は誰も居ないんですが?

具体的に言うと、森可成殿も佐久間信盛殿も柴田勝家の親父殿も居ないんですよ。

そして、信長伯父さんの帰宅にあわせて近くを警護する兵もそんなに多くない。


これはあれか。自分は先に帰るから、部隊をまとめて適宜順番に帰ってくる感じなのか?しらんけど。


「うむ。京に在番を申し付けた丹羽長秀、木下秀吉、明院良正ら以外の者が岐阜に戻ったら評定を開く。本日はこれにて解散とする。皆、大儀であった」


あ、この後、大広間で各種報告してからの評定は無いんですね。了解しました。


で、夜勤担当を残して帰宅の準備をしていると、加藤弥三郎さんが奇妙丸様を呼びに来ました。

信長伯父さんが奇妙丸様と茶筅丸様をお呼びとのこと。あ、小姓衆は供しなくて良いんですか、そうですか。


ん?てことは、これはあれですかね。この前の書状にあったバテレンからもらった帽子を子供たちに披露する流れですかね。


それを受けて、森虎丸くんとアイコンタクト。ここで日勤者は帰宅とする方向でご挨拶することに。


「奇妙丸様。それでは我々はこれで」

「本日の夜番は牛助になります。奇妙丸様が戻るまでこちらに控えてもらいます。牛助、宜しく頼むよ」

「わかりました。奇妙丸様のお戻りをお待ちしております」


初期メンバーはそれなりに長い時間一緒に居るので、阿吽の呼吸でこういう会話が出来るのが楽ですね〜。

理助はちょっとズレてたりしましたが。


奇妙丸様が加藤殿に連れられて信長伯父さんのもとに向かったので、牛助くん以外は、帰宅です。


「後は宜しくお願いします。佐久間殿」


こういうときでも、呼び方がかたいなぁ、虎丸くんは。


「承りました。しかし、今から奇妙丸様をお呼びとは何事でしょうか」


「先日の手紙にあったバテレン関連じゃないですかね、牛助くん」


手紙の事があるんだからと、そう予想を伝えてみました。


「あ、そうですね。金平糖とかいただけるんですかね。自分にもお裾分けあるかなぁ」


「あ、金平糖のお裾分けがあるなら、みんなで分けるようにしてくださいよ。牛助くんだけで独り占めはだめですよ!」


「はいはい。津田殿。いつまでも話してないであがりますよ。お桂殿に怒られる前にね」


そ、そうですね。

滝川のお桂さん、怒ると怖いっすもんね。

帰蝶様とはチョイと系統の違うクールビューティさんなんですが、怒りを内に込めて圧をかけてくるタイプの怒り方ですからね。怒気で空間が歪むんじゃないかって感じの怒りオーラ、魔闘気みたいなのだしますからね。

さてさて、それじゃ、二期生の皆さんも帰り支度してください。

竹丸、それと清丸くん。はい、あなたたち一緒に帰りますからね。


☆ ★ ☆ ★ ☆


「奇妙丸様、茶筅丸様をお迎えに行きますので、こちらにてしばしお待ちを」


そう言うと、加藤弥三郎は、自分を父上の私室の側の部屋に残して、茶筅を迎えに行きました。

隣は父上についている小姓衆の控えの間だからだと思いますが、主家嫡男を一人にして良いのかなぁ…と思うわけです。

何かあれば大声を出せば、父上の小姓衆が反応するとは思いますが、彼らの仕事は父上の警護や身の回りの世話なので、下手をすると自分のことは後回しにされる可能性もあるのですが。

弥三郎は小姓衆の同僚達を信じているのでょうね。でも、それは少し、甘いと思います。自分の中で加藤弥三郎の評価を少し下げておきます。


そういえば、少し前、理助が元服して自分の元を離れることが決まった後、父上に呼び出されて将棋を打ったことがありました。


その時、父上は、長谷川橋介、佐脇良之、山口飛騨、加藤弥三郎の四人の小姓衆と河尻与四郎、池田勝三郎、丹羽五郎左の名前を出して、「これら七名は何をおいても信がおける者だ」と言っておりました。


そして、小姓衆を務めることよりも元服を急ぎ武功を立てることを望んだ理助について、「忠義は悪くないかも知れないが、自身の武を誇ること強く抜群の信をおくには値しない。かつての前田又左もそういうところがあった」と言っておりました。

「残った三名と新たに加わる四名の小姓が後々まで信にたる人物かよく見極めろ」とも。


虎丸と坊丸兄ぃ様は自分の中では、既に気の置けない人物、将来の股肱の臣たり得る者になっております。

ただ、その場で父上に告げるような雰囲気ではなかったので、「はっ。父上のお言葉、胸に刻みおきます」とだけ答えておきました。


そんなことを思い出していると、加藤弥三郎が茶筅を連れて戻ってきました。


「殿。弥三郎にございまする。ただいま、奇妙丸様、茶筅丸様をお連れしました」


襖の前で頭を下げると弥三郎はそう声をかけました。


「おう、ご苦労。両名を中に」


父上の声の感じからするに機嫌が良いようです。なら、悪い話、お叱りではないでしょう。一安心です。


「はっ」


はっ、と言ったタイミングで襖を開けてくれる弥三郎。


「奇妙丸にございます。父上がお呼びとのことで罷り越しました」

「茶筅にございます。同じく、参りました」


二人で頭を下げ、父上の私室に入ろうとして、顔を上げると、父上は見たこともない光沢の黒い帽子をかぶり、赤い外套を羽織りながら立膝で座っておられました。


自分と茶筅が見たこともない帽子と外套に目を丸くしていると、父上は上機嫌で笑い出したのでした。

信長は4/21に京を出立。ゆっくりと南近江の状況を自身の目で見て回り、浅井の領内で一泊浅井長政の使者等と面会。大垣城下で氏家卜全や稲葉一鉄らと会って4/26に岐阜に帰宅したという設定。


信長の身に付けている黒い帽子と赤いマントはベルベット生地の品。ビロード、天鵞絨とも。ビロードはポルトガル語、スペイン語のをveludo、velludeを日本語風にカタカナ表現にしたもの。

ルイス・フロイスの「日本史」によると二条御所造営中に黒い天鵞絨の帽子をもらったのは事実のようです。

マントは、創作。この後、信長は2人に紅毛碧眼というバテレンの人相や色々質問して聞きだした話を楽しそうにするわけです。



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