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信孝なんかに『本能寺の変』のとばっちりで殺されていられません~信澄公転生記~   作者: 柳庵


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194話 親族会議、みたいなもの 其の壱

ども、坊丸です。


三河攻めから柴田の親父殿が帰ってきました。とりあえず、無事で良かった、良かった。


三河の梅ケ坪城というところを攻めたそうですが、その城に松平元康、つまりは後の徳川家康が救援にきて、さぁ、大変!ってな感じだったそうです。


親父殿は、城門で若手の馬廻り衆や母衣衆に昇格した佐々成政さんを若いくせにメチャクチャ強い奴から救ったそうです。


徳川家康の配下で、柴田の親父殿をしてメチャクチャ強いといわしめるのですから、後の徳川四天王の本多忠勝か榊原康政のいずれかでしょうね。


そう考えると、佐々成政さん意外とヤバい状態だったのかも。

下手したら、成政さん討ち死からの佐々家断絶になってた可能性もあるわけですね。


それ以外にも伊保城ってところを落とす活躍もしたと自慢してました。


伊保城を落としてる間に、梅ケ坪城と和議が結ばれたので、もう一度、若くて強い武士と戦えなかったのが残念だとか言ってるし。


個人の武勇に頼りすぎるのは良くないと思う。っていうか、どんだけバトル好きなんだよ、柴田の親父殿は。


まぁ、松平家と和議が結ばれたようで、このまま清須同盟になだれ込んでくれると安心なんですがね。


そして、坊丸くんは約一ヶ月後に迫った斎藤義龍死亡からの強襲作戦の方が気になるんです…。


そんな感じの話を柴田の親父殿から聞かされた数日後、親父殿と次兵衛さんが書類仕事している脇で源義家公の戦場での働きを記した陸奥話記、奥州後三年記などを読まされていると佐々成政さんが柴田の屋敷を訪問してきました。


「佐々成政殿、ご訪問です」

中間の人が、執務室になっている書院の間に声をかけてきました。


「分かった。ここに通せ」


って、ここに通すの?

執務を止めて、歓待する流れではなくて?

まぁ、いいけど。って、自分も、そのまま同席する流れか…。


と、直ぐに佐々成政さんが訪室しましたよ。

二合徳利を持って書院の間に現れる成政さん。ドカッと座ると直ぐに柴田の親父殿に頭を下げます。


義兄(あに)ぃ、梅ケ坪ではありがたかった。」


「成政、先の戦場でも、儂のことを兄と呼んでいたが、お主の兄になった覚えはないぞ。お主の兄の政次殿は、儂の妹婿だがな」


と、少し小っ恥ずかしいそうに答える柴田の親父殿。


「勝家殿は俺の兄貴からみて義理の兄になるのだろう。なら、俺から見ても義理の兄だ。だから、義兄(あに)で間違いない」


ふむ、血縁関係上は確かに佐々成政さんの言う通りですな。


「その話で行くと、そこな、吉田次兵衛と佐久間盛次殿も義理の兄になるがな」


と、これまた、正論を吐く柴田の親父殿。


「ふむ、確かにそうなるな。実の兄達は、討ち死して居なくなったが、まだ俺には義兄者がたくさんおるのだな」


庭の方を見ながら、呟くと成政さん。


「殿、訪客中ですが失礼致します。理助達の迎えに、本日は佐久間盛次殿が参られました。如何したいします?」


と、先程の中間が柴田の親父殿に声をかけました。


「む、そうか。本来ならば、儂か次兵衛が挨拶に行くべきところなれど、今日は成政が来ておるからな。盛次殿にこちらに顔を出してもらうよう、声をかけてこい」


少しすると、佐久間盛次殿が書院の方に来る足音が。


「親父殿、自分は席を外しましょうか?」


「坊丸。気にするな。そなたは、預かりの身とはいえ、既に信長様から禄をもらう身。それにお主の変な思いつきや視点が大切な時もある。そこにおれ」


「親父殿がそういうのであれば、ここに控えております」


といっていたら、

佐久間盛次殿が書院に到着です。


「おお、勝家殿。お呼びという事で寄らせてもらった。今日は、理助達を迎えに来ただけだったのだがな。お、話の通り、佐々の跡取りもいるのか。では失礼して」


そんな感じで書院の間に座る佐久間盛次殿。


そうそう、皆さんお忘れかもしれませんが、柴田の屋敷は今も保育所状態です。

佐久間盛次さんところの理助達の三兄弟、吉田次兵衛さんところの伊介、佐々政次さんとこの清蔵と国丸、それに自分の弟の二名、合計八名が柴田の屋敷を中心にして色々遊んだりしております。

自分は、奴らと年代一緒なのに、一人だけ勉学に励まされる上に、今日なんか大人の間で会議に出席させられているようなものですよ。何故だ。解せぬ。



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