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信孝なんかに『本能寺の変』のとばっちりで殺されていられません~信澄公転生記~   作者: 柳庵


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180話 蕎麦といえば、天麩羅蕎麦でしょ!

ども、坊丸です。


醤油がないので、味噌だまりを意図的に作れないか色々と考えて、味噌に塩水を足して絞る方法を考えたら、なんと似たような方法で「垂れ味噌」なる調味料があるらしいです。


お滝さん、そんなの知ってるなら、教えてくださいよ。

ま、今回は促成の味噌だまりを醤油代わりに麺つゆを作りましたがね。


それはさておき、次は天麩羅。

胡麻油と菜種油をブレンドしてもらって鍋にかけてもらってる間に天種を、と。


「坊丸様。蛸の唐揚げかい?いつもの具合なら、もう少ししたら魚屋の三郎が来るから、来てからにしたらどうだい?」


「今回は天麩羅なるものを作ろうかと。野菜のかき揚げが良いかな」


「なんだい、天麩羅って?」

「坊丸様、美味しいやつですか?」


「唐揚げも美味しいんですけどね、卵と小麦粉があるし。お蕎麦と言えば天麩羅ですよ」


「だから何だい?その天麩羅ってやつは?」


「唐揚げみたいに、油で食べ物を揚げた物なんですけどね。唐揚げは小麦粉をそのまままぶしただけですがね。それに対して天麩羅は、小麦粉を水と卵でといたものをまとわせて、衣にするんです」


「ふう~ん。小麦粉をそのまままぶしたのとは違うんだね?」


「触感とかが別物ですよ。お滝さんなら一度見ればすぐできるようになりますよ」


「ハハハ。そんなに褒めても何も出て来やしないよ。坊丸様」

「私も、作れるようになりたいです」


「じゃ、始めて行きましょうか」


で、冬野菜は根菜と葉物メインですから、ここはネギと人参のかき揚げなんぞを作ろうかと。

本当は玉ねぎが良いんだけどね。ま、まだ伝来してないみたいだし。


ネギは厚めの小口切りに、にんじんは細切りにしてもらいました。お千ちゃんに。

柴田の屋敷では、最近は鶏卵が通年で食されるようになったので、小麦粉、水、卵を混ぜてトロトロの状態にしてもらいました。ここは、お滝さん、お願いします。


で、お千ちゃんの切った野菜をお滝さんに作ってもらった衣のもとになる液にINです。

で、混ぜ混ぜ混ぜ、と。


「坊丸様。これ、大丈夫なのかい?」

あれ?お滝さんが揚げる前の天種をみて不安になられている。まぁ、そうっすね。薄黄色のネバっとした液に適当に切られたネギと人参がぐちゃっと混じった状態ですもんね。


「大丈夫です。安心してください。これを油で揚げると美味しくなるんですって!」


さて、これをお玉ですくって、油に投入しますよっと。ジュワッ、パチパチっと、いい音。


「ちわ、三郎です。ご注文の蛸、持ってきました」

って、こんなタイミングで、魚屋の三郎さん登場かよ。


「あ、坊丸様。今日は厨で何か作ってるんですね。あ、お滝さん。お千。ご注文の蛸、持ってきました。どこに置けばいいですかね」


そっちのことは二人に任せて自分は三郎さんのことは気にしないで、揚げ物を続けよう。


「お千。すまないが、三郎の相手をしてくれないかい。わたしは、坊丸様の言う天麩羅って料理の方をきちんと見ておきたいから」


「はぁ~い」


よし、一部分はがれて大きいやつと小さいやつに分離したけど、だんだんきつね色になってきましたよ。

知ってる天麩羅の色になってきたし、もう少ししたら、完成だな。


「坊丸様。こいつはどうなったら、上げるのが良いんだい?」

さすが、お滝さん。天麩羅と言う揚げ物の要点みたいなものを既につかみ始めている感じ。


「きつね色ですね」


「きつね色。要は油揚げの色くらいで揚げればいいんだね。坊丸様。それならそろそろ、油から引きあげたほうがよさそうだよ。特に小さいほう」


そういうと、皿を傍に持ってきてくれるお滝さん。その要領の良さ、素敵です。

小さいほうをさらに引き上げたあと、少しして大きいほうもピックアップ。

お滝さんのタイミングの指示のおかげで、自分で思っていた以上の出来栄えに。

やっぱり、料理をし慣れている人は違いますね。


「これまた、熱そうだね。すこし冷えてからの方がいいじゃないかい。あと、味付けはこれでお終いかい?坊丸様」


「揚げたての方が美味しいんですが、確かに熱そうですね。あと、余分な油を切りたいかな。味付けは塩か、先ほどのめんつゆを少しつけると美味しいですよ」


「油を切るんだね。じゃあザルの上にでも置こうか」


「あ、天麩羅で来たんですね!早速、いただいても良いですか?」

って、お千ちゃん。素手で揚げたて行ったら熱いって!


「熱!熱!どうしよう!えぇい、口に入れちゃえ!」

お千ちゃん、小さいかき揚げをお手玉の様にしてはいけません。そりゃ、冷えるかもしれないけど。しかもそのまま口に持っていくとは…。


「美味しい!美味しいですよ!坊丸様!お滝さん。外はサクッと、お野菜の甘さが幸せ~」


その感想を聞いて、お滝さんは手早く、大きいほうの試作品かき揚げを包丁で二等分。


「坊丸様。うちらも食べようじゃないか。食べたら、この味で正解なのか聞かせておくれ。」


そうですね。試作品がキチンとできたか確認しないといけないですもんね。良し、食べよう。

お滝さんから渡された、かき揚げの試作品は、外はサクッと中はふわっと、葱と人参の甘さがしみだして、美味い~!


「お、これはいけるねぇ。そして、坊丸様の顔を見るに、これで良い感じなんだね」


かき揚げを頬張りながら、お滝さんの方を見て、うんうんうなずきます。

これです。これが天麩羅です。お滝さんの料理スキル万歳!もうポルトガル・スペインの南蛮船から九州に伝来してるのかどうかは知りませんが、美味しい現代料理を再現出来て、し・あ・わ・せ。

塩につけて、一口。麵つゆにつけて一口。塩味が加わって、口の中が極楽浄土や。って、彦摩呂か。


「あのぁ~。台帳には蛸の数と料金を書いたんですが、ね。お滝さん、坊丸様、今一つ良いですか?」


あ、三郎さん。まだ居たんだ。



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