123話 鉛玉入り花火を炮烙玉って言い張っていいですか?
ども、坊丸です。
火縄銃の改良の合間に線香花火をつくったついでに打ち上げ花火の話をしたら、それって炮烙玉だろうってことになって、じゃせっかくだから作ろうってことになりました。
今回はやらされではなく、自主的に製作です。
命じられたわけでもないのに爆裂兵器の炮烙玉を自主製作。字面だけだとなかなか、ヤバいやつですな。連続爆弾魔のユナボマーかよ。
焙烙玉っていうくらいだから、焙烙に火薬や鉄砲の弾を詰めて簡単に完成すると思ってたんです。この時は。
「お滝さん、焙烙ってある?しかも、壊してもいい奴」
「坊丸様。今度は何始めたんだい。焙烙なら大きさ別に三個あるけど、壊していいものはないね。あとで良いなら買ってくるけど。今すぐほしいなら、一個渡すから、坊丸様の扶持から代金をもらって新しいのを後で買ってくるからいいけどね」
「じゃ、今すぐほしいです」
「あいよ。ちょっと待っていてくれよ」
そういうと、台所の器や鍋の置いてあるエリアを探し出すお滝さん。
「10日くらい前に坊丸様が夕食後に食べる豆を炒ったときに使ったんだけどね。あった、あった。これが焙烙さぁね」
そして、焙烙という器具をいくつか出してくれました。で、焙烙なんですが、陶器でできた小型の壺と鍋の間みたいな感じで持ち手がついてます。
ん?これ?
ちょっとイメージと違いました。もっと花火に近いような口が狭くて球形に近い陶器を予想しておりました。
「う~ん、思ってたのと違う」
「いやいや、これが焙烙だよ、坊丸様。これが欲しかったんじゃないのかい」
「もっと丸くて口が狭い壺みたいなものを考えてました」
「なんだい、それ。そんなの焙烙じゃないよ。じゃぁ、この焙烙はいらないんだね」
お滝さんの問いにコクりと頷いたあと、ため息一つ。
現代知識があっても、本当はそう簡単になんでも開発できるものはないって事実を思い知らされます。
転生系の小説だと、この辺あっという間に開発できるんですが、あれは読者のための展開重視、スピード感重視とかご都合主義というものだったと知らされる、今日この頃。
はぁ~、これじゃあ、火薬が大爆発や誘爆しないために小分けにした小さい壺の方がまだまだイメージに近い感じですよ。
って、それだよ、それ。
なんで、気が付かないんだ、自分。
「お滝さん、火薬を小分けにしたときにももらった小さい壺、まだあります?」
「坊丸様は、本当に忙しいね。焙烙が使えないと落ち込んだと思ったら、いきなり元気になって今度は粉物を分ける小壺かい。この間、坊丸様に渡した分以外だとあと2つしかないよ。えぇっと、これとこれだね」
「うん、こっちのほうが使えそうです。これ貰っていきますね」
お滝さんが粉物を湿気から守るために小分けにする習慣があったおかげでちょうどいいサイズの陶器の
壺があって良かった。思ったよりも口が広いけど、まぁいいや。
よし、これに火薬と鉛玉詰めちゃうぞ。
小壺をもって加藤さんの方に走っていきます。なんか、後ろの方でお滝さんが「坊丸様は本当にせわしいねぇ」とか言っている気がしますが気にしない。
と、加藤さんのところに到着。
「あ、坊丸様。戻ってらしたんですね。いきなり台所の方に駆けていくからどうしたものかと思いましたよ。そろそろ、台所に様子見に行こうかと思っていたところです」
「加藤さん、この壺を使って焙烙玉を作りたいと思います。まずは鉄砲玉を底に敷き詰めて、その上に火薬と鉄砲玉を混ぜたのを入れるんです。半分くらいまで詰めたら、火薬だけの部分を真ん中に作って、そこに火縄をさしこむ。で、あとは火薬と鉄砲玉を混ぜたものを最後まで入れる。で、何かで蓋をして完成。そんな感じでお願いします」
「わかりました。蓋をするのは、どうします?油紙を詰めて、さらに木栓ででも蓋をしますか。あ、火縄を出す穴を作らなくちゃいけないし、ピッタリにしないと湿気るから、きちんと工作したほうがいいですね。福島さんに頼むか…」
「そうですね。とりあえず二つは鉄砲玉と火薬を詰めておきましょう。火縄は外に出さないで、油紙で仮の蓋として、置いておきましょう。後で福島さんに本番用の蓋を作ってもらいましょうよ」
翌日、福島さんにきてもらって木栓を作ってもらいました。
さすが、福島さん。一分の隙もないぜ!しかも、簡易的な投石器も作ってもらったよ。
後は、信長伯父さんにまたプレゼンですな。
せっかくだから、岩倉攻めに使えると良いんだけどね。
前回の後書きでも書きましたが、「新世紀エヴァンゲリオン外典外伝 時田シロウ勇躍す~ジェットアローン再開発秘録~」をpixivの方で書いてます。
https://www.pixiv.net/novel/series/8923833
全く違うカテゴリーになりますが、ご一読いただければ幸いです。




