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信孝なんかに『本能寺の変』のとばっちりで殺されていられません~信澄公転生記~   作者: 柳庵


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107話 永禄二年 新年の儀 そして、上洛へ

ども、坊丸です。


虎哉禅師が予想していた通り、岩倉攻めが信長伯父さんから宣言されました。新年の儀のめでたい席で。


自分の感覚だと、新年のお目出度い席でそんな血生臭いこと言う?と思っちゃいますが、決意表明ってことなら、有り、なんでしょうか。


「皆のもの、静まれ」と、信長伯父さん。

でも、あんまり静かにならない、織田家の家臣団の皆さん。


比較的信長伯父さんの側にいる重臣クラスや中堅の部将クラスは、信長伯父さんの雰囲気を感じ取って比較的速やかに静かになりましたが、離れたところにいる若手の母衣衆はまだ静かになりません。


あ、信長伯父さんの右のこめかみに青筋がピキッと立ちました。

早く静まらないと、怒られる奴だな、これは。


「ええぃ、静まれと申しておる」

右手に持った扇子を床に打ち付けた上、怒気を含んだ様子で先ほどよりも大きな声を出す信長伯父さん。


ほらね、怒っちゃった。信長伯父さんの短気炸裂ですよ。その声で一気に静まり返る家臣団一同。


「静まれば、良し。岩倉攻めのことも大切ではあるが、一同にもう一つ申し仕えることがある故、心して聞くが良い。

京の足利将軍家より御内書を賜った。当代の将軍、足利義輝様より、新御所造営にあたり寄進せよとのご依頼じゃ。

可能であれば機嫌伺に伺候するように、とも申し添えられておった」


将軍家から直々の御内書が来たこと、そしてその内容にざわつく家臣一同。

すこし静かになるのを待ってから、再び口を開く、信長伯父さん。

流石に、一度怒られてますから、今度はそんなに長くざわつかなかったからね。


「寄進のみ、とも考えたが、こたびは将軍家に機嫌伺のため、上洛いたす。今、畿内は細川管領家の重臣、三好長慶が権勢を振るうと聞く。

京の様子、将軍家の様子、三好長慶のまつりごとのあり方を見てこようか思っておる」


上洛、とういう言葉に再びざわつく家臣一同。


「将軍家への機嫌伺と寄進を行うとなれば、殿の御威光も増しましょう。

で、いつ頃、どのように上洛を致すのか、分かるところだけでもご教示いただければ、幸いでございまする」


重臣筆頭の佐久間盛重が、上洛に賛意を示しつつ、具体的なところがわかれば教えてほしいと信長に聞いた。


「上洛を行うのは、出来れば今月のうちに行う。遅くとも、2月の上旬には必ず、上洛を行う。

こたびの上洛は、あくまで将軍家への寄進と機嫌伺。軍を率いた大掛かりなものではなく、少人数でのものとする」


「し、しかし、岩倉攻めも行い春までには織田信賢を討つ、と、殿が先ほどおっしゃったばかりかと」


重臣第三席、佐久間信盛が思わず、声を上げてしまいましたよ。怒られなきゃ良いけど。


「そう言うたぞ、信盛。岩倉攻めと上洛、どちらも行う。それとも何か?

儂が浮野の戦いで十分に叩いて弱らせた岩倉勢如きを恐れるか、信盛?」


「いえ、決してそのようなことは、ございません。

岩倉を攻めよ、とご下知いただければ、この信盛、必ずや岩倉城を落とし、織田信賢の首級しるしを上げて見せまする」


「その言やよし。岩倉城は、森可成、佐久間信盛、柴田勝家の三名を大将として攻めることといたす。母衣衆、馬廻衆も率いよ。

岩倉勢は弱っておる故、力攻めは致さずとも良い。儂が京より戻るまで囲んでなぶっておれ。あまりに弱ければ、落としてもかまわんがな。

儂が上洛し、尾張を離れている間、岩倉攻めの留守居は、佐久間盛重、弟の信包の両名を大将に、連枝衆が行うこと。敏秀の爺も、両名に助言を頼む」


「はっ」「承りました」


名前を呼ばれた重臣や連枝衆が次々に平伏して答えていきます。


お、柴田の親父殿が、自分も攻め手の大将に選ばれたことで、明らかに機嫌がよさそうな感じ。


名前を呼ばれたときに、体を少しだけど前に乗り出してたしね。犬だったら、尻尾を振ってる状態ではなかろうか。


「上洛は、林秀貞、佐久間盛次の両老臣を筆頭に、丹羽長秀、金森長近、蜂屋頼隆、そのほか佐脇や長谷川などの小姓衆を含め二十名程度で行うものとする」


「はっ」「承りましてございます」


上洛のお供として呼ばれた文官系の重臣二名と丹羽殿など。


丹羽殿と小姓衆はあまり驚いた感じではなかったから、先に知らされていたのかもしれません。


「今、名前を挙げたものは、各々の任を果たすべく本日帰宅の後は準備にかかる様、申し付ける。

また、名が上がらなかった者共も、岩倉攻めの手勢になるものと心得、ゆめゆめ準備を怠るでないぞ」


流石、信長伯父さん、家臣のやる気を引き出すのが上手い。

名前が出た人にも出なかった人にも目標と手段を明示して、自ら動くように誘導している。

これが、英傑の持つカリスマ性ってやつなんでしょうか。

今の言葉に、家臣一同、再び平伏し、声を上げずとも、その姿勢をもって答えた様子。


「新年にあたり、儂から皆に伝えたきことは、以上じゃ。ここからは、例年通り、新年の挨拶を各々受け付ける。それと、だ。今年は、嫡男として奇妙丸も同座させる。各々、奇妙にも挨拶を行うよう」


お、新年の儀にあわせて、嫡男の奇妙丸様をお披露目ですか。

きっといいタイミングなんでしょうね。頑張れ、奇妙丸様。

今回のタイトルは、「ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ」から。


第三作なのに、まさかの第一作の前日譚だったのを知ったときは、驚愕したなぁ。

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