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40 決意を新たに、いざ聖獣探し!

「…………コホン。見てのとおり、うちのメラはどうにもやる気がなくてな。命令をする前に餌をやらんと動かないんだ」

『それは使い魔として大丈夫にゃのか』


 気まずそうに目をそらすヴォルフラム。話題の渦中であるはずのメラは、我関せずで惰眠をむさぼっている。本当に使い魔だろうか。


「なんていうか、自由な子ですね」


 ステラちゃんは、フォローになっているのかいないのかわからないことをいう。陛下は大げさに肩をすくめた。


「もう。せっかく可愛い猫なのに、わたくしには撫でさせてもくれないのよ。主人に似て愛想が足りない子だと思わない、ステラ」

「ステラに同意を求めないでください陛下」


 どちらの味方もできないステラちゃんは、笑ってごまかすしかない。


「そうだわ、ステラ。あなた、からだに変わりはなくて?」

「え、ええと? どういうことです?」


 唐突な質問に困惑するステラちゃんに、ヴォルフラムが応える。


「陛下にも、キシリアの変化は伝えてある。だから同じ聖女候補であるステラにも、なにか悪意を持って接触してくる者がいるかもしれないだろう」

「悪意って……。そんな感じの人には会ったことありません」


「聖女は、国の象徴である聖獣さまと会話をすることができる希少な存在だ。絶大な権力を手にするのは自分の家系だと、そう野心を抱く者がいても不思議ではない」


 権力争いだとかそんなものとは無縁で生きてきたステラちゃんには、酷な話だ。身の危険と隣合わせにいると聞かされて、所在しょざいなさげにする。


「大丈夫ですよ、ステラさん。今後もそういうことが起こらないよう、きちんとおそばで守ります」

「シルヴァくん……。ありがとう」


 ちょっとだけ元気が出たみたいだ。ステラちゃんの顔色はほんのり明るくなる。


「キシリアを元に戻すことと、一連の犯人探しは魔法士団と騎士団が全力を尽くすわ。だからステラ。貴女は聖獣さまをお迎えすることだけを第一に考えて。くれぐれも、気をつけて」

 

「はい。わかりました。クリスティア陛下。聖獣さまをお迎えできるようがんばります」

『俺も手伝うから、がんばろうにゃ、ステラちゃん!』


 今のステラちゃんの役目は、一日も早く聖獣を見つけて国を支えてもらうこと。キシリアのことは気がかりでも、聖獣探しをやめてはいけないのだ。


「ありがとう。わたし、がんばる」

「ステラさん、ボク、実家にあるご先祖様の手記を探してみます。聖獣さまにお仕えしていたときのことや、出会ったときのこと、ヒントが見つかるかもしれません」

「うん。頼りにしてるよ、シルヴァくん!」


 陛下から直々に背中を押されて、ステラちゃんは決意を新たに城をあとにした。

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[一言] 頑張れ、ステラちゃんッ
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