表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/69

30 アンチドーテの花を探して

 今エルフの里にない材料を自分で採取して、日没までに持ってくること。

 これが、エウリュ陛下の出した、薬を調合する条件だった。


 解毒薬の材料を採取できる付近まで案内してくれるのは、リリーナだ。

 リリーナは聖心の森の奥の奥、大きな岩だらけの、道と呼べないような場所を器用に跳んでいく。


「必要ナノは、花。アンチドーテ・アミル。それとガルガ蛇。薬には、咲いたばかりの花の花びらが、ひつよう。蛇からは、毒液をとる」

「花と、蛇の毒ね。それぞれ、どんな見た目をしているの?」

「花は日がしずむと枯れる。葉っぱがとんがってて、しずく型の花びらハ透明。蛇は、青い体に、きいろなマダラ。獰猛だから、気をつけテ」


 リリーナってば、三人がついてこれているか後ろを確認したりしない。

 ステラちゃんは背が低いから、岩によじ登って、追いつこうとがんばる。シルヴァが一足先に登り、ステラちゃんを引っ張りあげる。


「ありがとう、シルヴァくん」

「こういう場では頼ってください。ボクは獣人なので、人間より筋力や体力が高いんです」


 そう語るシルヴァは、役に立てたから誇らしげだ。

 アルベルトは自力で登るのを早々に諦めた。「手を貸せ」とシルヴァに言って引き上げてもらい、段差を超える。


 クラウドは風の魔法を駆使して、文字通り飛んだ。

 何食わぬ顔で大岩の道に着地する。

 あ、俺はステラちゃんの肩にのってるだけだから何もしてないぜ。


『これはすごいにゃー』


 俺たちが案内されたのは、岩山の急斜面だった。

 ネコの目から見ても、高層ビルくらいの高さはある。もはや崖じゃねこれ。

 リリーナは、両手の人差し指と親指で尖ったひし形を作りながら言う。


「アミルの花、このあたりに、生えてることがオオイ。蛇もこの辺にいる」

「こうやって五人で固まっていても時間がかかる。ふた手に分かれよう」


 クラウドが崖を見上げながら提案する。崖の横幅は百メートルはある。一箇所に何人もかたまるより、人手を分散したほうが効率がいいだろう。


「そうしましょうか。では、殿下とシルヴァ、リリーナは蛇を探す。私とステラが花を探そう」


「お前たち二人で大丈夫か? 先程は岩を登るのにもずいぶんと手間取っていたと思うが。ぼくが花の捜索にいたほうがよくないか」


「いえ。崖の壁面を使い魔に調べてもらうので、心配無用です」

「ほんとに大丈夫? あの岩場登れる? ソラってば昔からいらないところで意地を張るから」


 二人から体力無しと指摘されて、アルベルトが舌打ちした。イラッ☆ って顔に出てるぜ。


「チッ。余計なお世話……コホン。口論している間が惜しい。さっきの通りでふた手に分かれ、一時間後にいったん合流する。いいですか」

「それもそうだな。シルヴァ、リリーナ、いくぞ」


 クラウドとシルヴァ、リリーナが蛇探しへとむかう。


「私たちも急ぐぞ」

「はい、アルベルトさま!」


 ステラちゃんは両手を強く握りしめ、前を見据える。


 ステラちゃんとアルベルトは花探し。

 クラウドとシルヴァとリリーナが蛇探し。

 二つの隊に分かれて材料集めを開始した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 確かに、使い魔の相性的にも、毒蛇よりは花探しの方が効率が良いか、も……?
[一言]  チーム分けに若干の不安が…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ