2話 外交官ミナト
ガルラ王国から俺を迎える使者として、ハラードさんがやってきた。彼はそのまま俺に帯同してくれることになっている。
「さぁて、それじゃ行くとするか。ミナト、支度は終えたか?」
「はい。大丈夫です。ところでお茶会にブロスも同席させてもらって本当に大丈夫ですか?見た目は普通のツチガニなので失礼にあたらないとは思いますが……」
「ん?ああ、そのカニか。公的な会じゃないし、お前の従魔だろ?別に構わんさ」
「ああ、良かった。今日は調子はどう、ブロス?具合が悪いところはない?」
すると、リンの頭にちょこんと乗ったブロスがハサミをシャキーン!と天に掲げ、ポーズを決める。
「あはは!「ゼッコーチョー!」だって!」
ブロスはつい、先日天界から戻ってきた。天界に居たのは二週間足らず。けれどリンとまるで十年来の再会のように大喜びしてた。二人が嬉しそうにしていると俺も嬉しい。そういえばトーマは前にオーバーホールに10年かかるって言っていたけど、二週間で帰ってきた。器が壊れる前だったから大丈夫だったのかな。今度はあんまり神力を使いすぎないように気を付けてあげないと。
そして俺たちはハンマ家の馬車でガルラ王の住まうイスベル城へ向かう。
それにしても、日本酒の効果もとっくに切れているだろうにハラードさんは相変わらずムキムキマッチョな体型を維持していた。いや、前より肌つやがさらに良くなった気がするぞ、と思っていたら。
「実はな。今回の件でガルラ王から神酒を褒美に賜ったんだ。ほれ、以前ミナトが持っていた酒だ。あれをエリザベートと一緒にな!」
彼には上質の酒を飲むとそれを体内に取り込み、一時的に若さと強さを得るという特殊なスキルを持っている。どうやら今回の御懐妊の件で、ガルラ王から直々に褒美として俺がアガサさんに渡したウイスキーを賜ったようだ。
「前回の酒も良かったが、やはり神酒は違うな!体中に力が漲るぜ!こりゃまだまだ、引退なんてしてられんな!」
バンバンと俺の背中をたたく力強さといい、声の張りといい、パッと見にはベルドと同年代に見える。ただ、筋肉の張りはベルド以上だ。若い頃はさぞかしパワフルだったんだろうなぁ。きっとオスカーの愛剣(?)クリスティーヌなら「ああっ!素敵な筋肉っ!最高、最高だわっ!まさに雄って感じよおおお~!激しく絡み合いながら一戦交えたいわぁ!」とか言いそうである。筋肉好きだからなぁ、クリスティーヌ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
イスベル城を訪れた俺達は城内の一室に案内された。そこは王の私室で特に警備が厳しく、廊下にはゴツい身体の騎士達がガッチリ警備していた。
部屋に入ると豪華な装飾に彩られた調度品が俺達を出迎えた。一つ一つ気品があり、まさにガルラ王国に君臨する国王の私室に相応しい逸品だ。
中央には長方形のテーブルが置かれ、上座と思われる席は王専用と思われる椅子が置かれている。その隣には見知った顔の女性が優雅に腰を下ろしていた。
「あら、ミナトさん。お久しぶりですわね」
「お久しぶりです。エリザベートさん。本日はよろしくお願いします」
「今日は私的なお茶会ですわ。あまり緊張なさらないでね」
「そうだぜ、ガチガチだと何を言っているか分からなくなっちまうからな」
エリザベートさんは穏やかな笑みで俺とリンをみた。もちろん、俺達にも席がある。緊張で硬くなりつつ、用意された椅子に腰を下ろす。しばらく待っていると、ガルラ王とエマール妃が姿を現す。ハラードさんから聞くところによるとドワーフ族は人間と違ってつわりなどもなく体調も特に変わりないとのこと。まあ、それでも大事にしてほしいなと思うけどね。
そしてお茶会がはじまった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ミナトよ。私の都合にて招いたにも関わらず、土産まで持参させてしまい、すまなかったな」
「い、いえ、我が主も非常に光栄な事と、殊のほか喜んでおりまして、ガルラ王に是非、献上したいと申しておりました」
ゆったりとした口調で声をかけてくるガルラ王。ひぇ〜、相変わらず威厳が服を着て歩いてるような人だぁ!
「うむ。そちと面会する一足先に味わわせてもらったが、サツマイモという芋は実に美味であった。あのとろりととろけるような食味、各地より名産品の集まるガルラでもことのほか珍しい。他の農産品も非常に素晴らしいものであったぞ。それに果実も素晴らしかった。あれでつくる果実酒は我が王国にも引けをとらぬであろう」
「お褒めいただき光栄です。主ルカも喜びましょう」
「アダムス辺境伯からも心のこもった贈り物を頂いた。こちらからも返礼品を贈るゆえ、帰国の際、ハラードから受けとるがよい」
「はい。お心遣い感謝いたします」
ガルラ王の私的な招きとはいえ、手ぶらでいくわけにもいかない。なので、ルカとアダムス伯、双方からガルラ王に献上する品を預かっていた。
献上品はその土地の特産品が選ばれるが、工業技術はガルラ王国の方が進んでいるため、それ以外で、ということになりバーグマン家はサツマイモやリンゴなどの農産品を、アダムス辺境伯は織物や工芸品を贈ったようだ。
農産物は、我がミナト大農園で収穫されたものをイアンが人生をかけて選別した。きっと彼も大喜びだろう。
「さて、堅苦しい挨拶はここまでにしよう。ミナトよ。緊張することはない。ここからはごくごく私的な席だ。何を言おうが無礼討ちなどせんから気楽に構えるといいぞ」
「そういうことだミナト。この席は王が家臣などから忌憚のない意見を聞くために作ったもの。外交関係や身分など気にせず思ったとおりの事を言えばいいぜ」
「は、はい」
「リンもな。ほれ、この焼き菓子でもつまむといい」
「うん!ありがとうハラード!リン、おなかペコペコだったんだ!緊張して朝ごはん少ししか食べられなかったの」
「おいおい、今朝、お前のご主人の3倍はそのちっちゃな体に納めていなかったか?俺はてっきり子供は緊張って言葉を知らないのかと思ったぜ?」
「リンは普段はもっと食べるんだよ!ラナとどっちが多く食べられるかいっつも競争してるんだ!だからミナトが時々「食費がすごい……」ってかけいぼを見てビックリしているの!」
「ガハハハ!よく食べる子はドワーフ族でも褒められるのだ。ヨシヨシ、子供はそれでいい。おかわりもたんとあるから遠慮せずに食べるがいい」
リンとハラードの掛け合いに緊張していた俺も破顔する。そのおかげか少しずつ身体がほぐれてきた。リンは綺麗に飾り付けられたアップルパイを切り分けてもらった。
ブロスがお皿にピョンと飛び乗ると、ハサミで小さくパイを切り、口に運ぶ。あ、身体をプルプル震わせてる。
「あはは!美味しいよねブロス!え?やっぱり地上の食べ物は最高?うん、リンもミナトのご飯、大好きだよ!」
どうやらとても美味しかったらしい。
目の前のお茶に手を伸ばしゆっくりとすする。う~ん、上品なお味だ。リラックスの効果があるのかだんだんと気持ちも落ち着いてきたぞ。よし!
「時に、ミナト。例の薬酒は元々、お前の持ち物だったそうだな?」
「はい。そうです」
様子を眺めていたガルラ王が問いかけてきた。
「ふむ。あれだけの酒は我がガルラ王国にもなかった。いったい、いずこで手にいれたのだ?」
「えっと……無礼を承知で言いますが、それは言えないんです。すみません……」
「そうか。まぁ、あれだけの品質だ。出所を秘匿せねばならぬ理由も分かる。ところで、ミナトよ。興味本位で聞くのだが……」
「なんでしょう?」
「お主、この世界の者ではないのではないか?」
「ぶっ!?」
思いがけない質問に思わずお茶を吹き出してしまった。
「……王よ、あまりに突飛な事をいうのはいかがかと。ほれ、ミナトもこのように困惑していますぞ」
ハラードがやんわりと釘をさした。
「いや、気を悪くしたならすまんな。あの薬酒、そして以前持ち込まれた神酒も、もとを辿ればミナトの持ち物だったと聞く。あの酒瓶に印字された文字。あれはどこの国の物でもない」
「……」
「そして、最近製造が始まった飲料用の缶。あれも元々はミナトの物だと、カンナが言っていた。あれは我が王国も製造していない代物。我がガルラ王国はこの世界で特に工業技術においては右に出るものはいないと自負している」
確かに工業力でガルラ王国に敵う国は思い付く限りでは存在しない。セイルス王国にない工業製品がたくさんあるし、兵器だってガルラ王国から輸入しているくらいだからね。
「しかし、その我が国より進んだ技術があったのだ。しかもあの缶は人の手による物、というより、大量生産に向いた作りをしていた。ということはそれを製造するラインがあるということだ」
「……」
「我らより進んだ技術。しかも、あの人目を引くデザインはおそらく販売を想定したものであろう。となれば既に市中に大量に出回っている国があるはずだ。しかし、そのような情報は我が耳にも一片たりとも入っていなかった。それは非常に奇妙な事だからな。であるから、カンナからそちの名を聞いた時から気になっていたのだ」
「あの、失礼ですが、もしかしてディアナさんから何か聞いていますか?」
「ディアナ?彼女がどうかしたのか?」
「い、いえ……」
「ふむ。あの者は過去の遺物について興味を持って研究をしているようだが……」
う……しまった。どうやらガルラ王はディアナさんからは何も聞いていなかったらしい。こりゃとんだやぶ蛇だ。
「我が妹が何か知っているのですね。それではさっそくディアナを呼びますわ」
エマール妃が衛兵を呼び何事かを告げる。敬礼した衛兵が足早に部屋を出ていった。
……これは困ったぞ。これでガルラ王がディアナさんを呼んで質問すれば、彼女は立場上、答えないわけにはいかないだろう。でもそうすると彼女は俺との約束を破ることになってしまう。それはディアナさんが俺とガルラ王との板挟みになってしまうことを意味していた。
「分かりました。俺の口からお話します。しかし、これはできれば他言無用にお願いします」
「ふむ、分かった。約束しよう」
ハラード達も無言で頷く。
「それではディアナさんが着いたらお話します。彼女はきっとあのチラシも持参するはずですから。それを見ながら説明します」
間もなくディアナが到着し、事情を説明したあと例のチラシをガルラ王に見せてほしい、とお願いした。すると、彼女は「あの秘密を話していいのですか?」という表情をしたが「俺が話そうと思ったので大丈夫です」と言うと、以前俺に見せてくれたマンションのチラシをガルラ王に披露した。
「ふむぅ、なにやら見たこともない塔のような建物やなんらかの機械が描かれているが、これは空想の絵なのか?」
と言うガルラ王に、ディアナの時と同じように説明する。
「なんと!これが現実にあるというのか!?ミナトはこのような物が存在する世界からやってきたというのだな!?」
最初は半信半疑だったガルラ王達も、俺やディアナの説明を聞いているうちに目を輝かせて話に聞き入った。とりわけ、ガルラ王とハラードは車や飛行機といった動力のある機械に興味を示し、沢山の質問を俺にぶつけてきた。
やっぱりこういう話題に食いつくのはガルラ王国の国民性なのかも。俺もわかる範囲で説明を尽くし、ようやく一段落つく頃にはかなりの時間が経っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「いやはや、このような世界が存在しているとは!聞いてみるものだな、ハラード!」
「まさに、私も心が踊りましたわい。特に大勢の人間を乗せ、鳥のように空を飛ぶ「飛行機」……。ぜひ一度この目で見てみたいものですな」
「うむ。ミナト、実に面白い話を聞かせてもらった。我が国も技術面では他国を圧倒していると思っていたが慢心であったな。此度は良き刺激を与えてもらった。ミナト、感謝するぞ!」
「いえ、実は俺からも王にお願いしたいことがありまして……」
「なんだ?言ってみてくれ」
「これなんですけど。ガルラ王国で再現できませんか?」
「む?これは缶か?しかし、飲料を入れる缶にしてはずいぶんと小さな形状だが……?」
「これは缶詰というものです。この中に食品を入れて密封します。すると入れたままの状態で長期間の保存が可能になるんです」
「ほう!塩漬けではなく、そのままの食品が維持されるのか?ところでこれには何が入っているのだ?何やら魚のデザインが施されているが……」
「リン知ってるよ!これ「サバ缶」でしょ?前にミナトが出してくれたもん!このお魚、とっても美味しかったんだよ!」
そう、ずっと前にリンにあげたことがあった。双子山周辺で、普段あまり売っていないお米を手に入れた時、ご飯のお供として焼き鳥缶とかと一緒に出したのだ。もちろん、味は好評だった。俺も久々に日本産の食事を味わった。これは、その時の余りの最後の一缶でもある。
早速、缶を開け中身を披露する。
「これは調理されて数ヶ月は確実に経っています。ハラードさん。実食してもらえますか?」
「なるほど、確かに調理された魚の切り身が入っているな。どれ……」
ハラードが切り身をつまみ、口に放り込む。
「ほう!これは美味いな!味も良いがこれが数ヶ月前に調理されたものとは……本当なのか?ミナト」
「はい、間違いありません」
「もし、これが量産されれば、軍の兵糧に革命が起きるな!塩漬けや酢漬けなどの保存食に頼らずとも、美味い飯が食えるぜ!」
「そうなんです。あとは災害時の非常食とか冒険者の食料品とかにも用途があります。技術の進んだガルラ王国で是非とも量産化を進めて欲しいのですが……」
「分かった。早急に進めよう。よいな、ハラード?」
「承りましたぞ。すぐにも研究に入りましょう」
「うむ……しかし、ミナトよ。お前は我が国に来るたび、我々を驚かすなぁ」
「えっ!?いえ、別にそのようなつもりはなくてですね、みんなの役に立てればいいなと思ったので……」
「ははは、そうか。ところでミナト。西セイルスの話はしなくてもよいのか?アダムス辺境伯からも頼まれごとをされているのだろう?」
「え?ええ、確かにその通りなんですけど……。ただ……」
「ただ、なんだ?」
「今回は私人として、私的な茶会に招いてもらったのです。そういう席で公的な話を出すのは失礼にあたるんじゃないかと……せっかくの楽しい茶会の雰囲気を壊したくなくて……」
すると、ハラードがエリザベートと顔を見合わせ、フフッと笑い合った。
「ははは、なるほど。ガルラ王に気を使われたか。なかなかの心遣いだ。しかし、それでは使者として些か心許ないぜ。使者と言うのは自らの主の意思の為に動くもんだ。時には命を危険に晒しても自らの要求を通そうとする気概がなきゃいけねぇぜ?」
「良いではありませんかハラード。そのような誠実な人物の方が信用に値します。私は非常に好ましく感じましたわ。ディアナもそう思うわよね?」
「はい。私はミナトさんと話すのはとても楽しく、時を忘れる程です」
「ほほう、随分とミナトを買っているのだな。……そうだな。私も非常に有意義な時間を過ごさせてもらった。そもそもお前を呼んだのも一度ゆっくりと話をしてみたかったからだ」
「そ、そうなんですか。ありがとうございます!」
「やはりお前は面白いな。どうだ?私の家臣にならんか?」
「え?……ええっ!?俺がですか!?」
「今までの王国への貢献を考えれば当然の事。爵位も土地もつけるがどうだ?」
「王よ、ミナトはアダムス辺境伯お気に入り。それにバーグマン家になくてはならない要。彼は西セイルスにおいてなくてはならない人物です。なにとぞご自重なさいませ」
返答に困った俺をみて、ハラードが助け舟を出してくれた。
「ホホホ……我が家でも娘と縁を結んでいただけたらと夫と話したこともありましたのよ」
さらっととエリザベートさんが冗談ともつかないことを笑顔で口にした。
「お、お母様……!そんな、ミナトさんが困ってしまいますわ!わ、わたくしはミナトさんさえ……よろしければと……わ、いいえなんでもありませんわ!」
顔を隠すように手で覆い後ろを向いてしまうディアナ。
な、何の話!?いやいや、西セイルスが大変な時に離れることはできないって!やることがあるし、俺にはエリスもいるしね!
ここは外交官としてどんな顔をすればいいのかわからなくて平静を装っていたが、内心の動揺は見透かされていた気がする。そんな俺を見てガルラ王は努めて優しく話しかけてくれた。
「フフフ、ミナトよ。いつかはアダムス辺境伯とも直接会談を持つ必要があるかもしれん。しかし、今はまだ時期尚早。アダムス辺境伯にはそのように伝えてくれ」
「は、はい。確かに承りました。それとアダムス辺境伯はガルラ王国との軍事同盟締結を望んでいます。我がバーグマン領内にはヒュプニウムを始めとした鉱物資源に恵まれ、また魔結晶の鉱脈も存在しています。これらの交易を含め、ガルラ王国とは互いに手を取り合い、共に繁栄を築いていきたいと望んでいます」
「うむ。アダムス辺境伯からの親書は読ませてもらった。西セイルスと良好な関係を築いていくのはこちらとしても望むところだ。……しかし、例えガルラ王国と西セイルスとが手を結んだとしてもガルラ王国軍を援軍として派兵する事は難しい。理由は分かるな?」
「はい。ガルラ王国と西セイルスは南北で隣接してはいますがその間にはグレイク山脈がありますから」
「その通りだ。陸路をとるにしても、あの険しい山脈を越えて派兵するのは困難だ。かといって海路では周辺国をいたずらに刺激しかねん。西セイルスは我が国にとって友好的に関わっていくべき地域であることは確かだ。しかし、我が国はセイルス国内の紛争に首を突っ込み、他国との間に無用な緊張関係を起こすのもよろしくない」
「はい……」
「時にミナトよ。お前が設置した転送魔方陣とやらは一度にどれ程の人員を輸送できる?」
「開発者のタヌ男の話では魔方陣に乗るのであれば制限はないそうです。ただ魔力エネルギー源の関係で10人ほど転送すると、魔力の回復に一週間程の期間を要するらしいです」
「なるほどな。しかし、タヌ男とは……。なんとも変わった名前をしているな。ハラード、そちは会ったことがあるのだろう?」
「はっ、見た目は獣のような外見をしております。しかし、姿こそ変わっておりますが、非常に深い知識を有していると推察します。我が愚息を始め、セイルス王国の英雄達とも対等に話が出来る者のようです」
「ふむ。そうであるか。できればその者にも会ってみたい……。だが、無理は言うまい」
「僭越ながら王よ。我らはミナトには大変世話になっております。そもそも、二種の神酒を献上した者はこのガルラ王国建国以来一人もおりませぬ。その功績に報いねばならぬと考えております」
「そうだな。ミナト、お前には個人的に我が国の兵器の購入の許可を与えているが、更にガルラ王国軍で配備している兵器も供与しようではないか」
「ガルラ王国軍の兵器、ですか?」
「うむ。今、ミナトが購入している物は民生品用にカスタマイズしたもの。正規軍で使用している兵器の方がより、高火力が出せる。それを特別に提供しよう。その為の指導者も幾人か派遣するつもりだ。ハラード、よいな?」
「はい。軍部の方には既に話はついております」
「……ということだ。……ミナト、我らも立場がある。表立って動くことはできん。そこは理解してほしい。あとは我が国で確立した飲料缶などの技術を西セイルスにも伝えよう」
「お心遣い感謝します!ありがとうございます!」
「うむ。それでは名残惜しいが、次の予定があるゆえ、本日の席は終了としよう。ミナト、今日は非常に有意義な時間を過ごすことが出来た。また折に触れ席を設けようと思う。その時はまた話を聞かせてくれ」
「はい。今日はお招き頂き、ありがとうございました!」
そう言うとガルラ王とエマール妃は退出していった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
城を退去しようとしているとエリザベートに声をかけられた。
「ミナトさん、先程はありがとう。貴方は娘に気をつかって自分の出自を話してくれたんでしょう?」
「いえ、あそこでディアナさんの名前を出した俺の落ち度です。ディアナさんにはご足労をかけてしまい申し訳ありません」
「とんでもありませんわ!またこうしてミナトさんにお会いできたのですから!明日にはイスベルを立たれるのでしょう?今日は是非、我がルコール家にお泊まり下さい」
「そうですわミナトさん。歓迎いたしますわ」
……ということで、今夜はルコール家にお世話になり、美味しい料理をたらふく堪能した。そして、ディアナと再び、地球の話を明け方まで語り合ったのだった。もちろん話だけだったからね!




