34話 俺の英雄
「いいか?照準器の中央の十字に区切られたここだ。この真ん中に目標物を合わせろ」
「えっと……こうかな?」
ベルドの指示に従って照準器を確認しつつレバーを操作すると照準が動き出だす。これでターゲットを中心で捉えるのだ。
俺は今、ガルラ王国から購入した大砲の試射をおこなっている。双子山からミサーク山道を登り、ネノ鉱山を経て更に少し登った山あいのひらけた場所に秘密の射撃場が設けられた。ミサーク大森林の山あい、竜神川を挟んだ対岸の森の木々の間に的が置かれている。
この場所なら通行人はミサーク村に用事がある人くらいしかいないので秘密の訓練を積むにはもってこいなのだ。
「どうだ?ターゲットは見つかったか?」
「う〜ん、目標までが遠くて……。照準器でもなかなか見つからないんです」
目標物である木の的を中心に捉える。その距離は約一キロメートルだ。その動きと連動し大砲の射角がゆっくりと上っていく。さすがに一キロメートルも離れていると的も小さい。
「そういう時は倍率を上げて対象物をしっかり捉えろ」
スコープの倍率を上げると照準器が対象物に寄っていく。
「なるほど。……おっ、さっきよりずっと近くに見える!こりゃすげぇ!」
ただ、倍率をあげた事で、照準をぴったり合わせるにはやや繊細な動きが必要になった。ちょっと動かすつもりが行き過ぎたり、それを戻したらまた座標がズレたりするのだ。コツを掴むために悪戦苦闘しながら、ようやく納得できる位置に合わせることができた。
「……ん、よし。ターゲットを捕捉しました!」
「よーし。それじゃ発射だ。安全装置を外し、トリガーを持て」
安全装置を外すと、照準器のすぐ手前にある銃のトリガーのような引き金に指をかける。
「いくぜ。3、2、1……撃て!」
トリガーを引くと、バシュッ!という鋭い金切り音とともに砲弾が射出された。弾丸はすさまじい速度で飛んでいきあっという間に着弾した。その衝撃で的の木片が弾け飛ぶ。爆発音がやまびこになって山々にこだました。
「よっしゃ!命中!」
「……いや、惜しいな。至近弾だ」
「へ?」
弾道を見守っていたベルドがそう言った直後、的のあった付近から一発の花火が打ち上がる。その色は黄色だった。
「至近弾の場合は黄色。直撃弾ならば赤色の花火が打ち上がる。至近弾は目標物には当たらなかったが限りなく近くに落ち、目標物になんらかの損害を与えたと判定された時に出される。そして目標物を完璧に捉えた時は直撃弾となるんだ。ちなみにハズレは白い花火が上がるぜ」
発射地点から目標物付近までにはかなりの距離がありここからでは様子が判りにくい。そのため目標物付近には見張り台があり、着弾を判定する人が居て着弾の結果を花火で報せてくれる事になっていた。
どうやら俺が撃った砲弾は目標物から僅かにずれて着弾したらしい。
「まぁ、ドンピシャの命中じゃなかったがすぐ近くに着弾したのは間違いない。初めてにしちゃ上出来だ」
「本当ですか!ありがとうございます!ベルドさん」
指導役のベルドが褒めてくれた。考えてみれば、元英雄にしてハンマ家の次期当主が直々に兵器の扱い方をレクチャーしてくれるなんてすごく贅沢だよなぁ。
大砲には望遠鏡のような物がついていてそれがスコープ機能になっている。更にこの兵器、自動装填機能もありオートメーションで弾丸を装填してくれるのだ。ううむ、なんという技術力。
「にしても大砲なんて触ったこともないし、全くの素人だからうまくいくか心配でしたが、照準器が見やすかったから意外と楽でしたよ〜!」
「今回の目標物は静止しているからな。動く対象物を狙う場合は予測も必要になるし、もっと素早くターゲットを捕捉できるようにならないといけねぇ。何より実際に戦場で運用するには判断力と経験、それに勘が必要になる。熟練になるには地道に日頃の鍛錬を積むことだな」
なるほどねぇ、とベルドのアドバイスを聞いていると……。
バシュッ!
俺の隣の砲台から発射音と共に巨大な水弾が射出された。
巨大な水弾は空気を切り裂きぐんぐんと飛んでいく。そして俺が狙った的を飛び越えはるか彼方へと飛翔していった。
こちらは魔力砲台で魔力を使い巨大な水弾や火矢を発射させる。射手をしているのはリンだ。いつものように、その頭にはブロスがちょこんと乗っかっていた。こちらはビアトリスが指南役をつとめている。
「ほぅ、なかなか良いところに飛んだね」
「ホント!?どうかな〜どうかな〜?」
額に手を当てながら飛んでいった水弾をわくわくした目で追っているリン。そして水弾が吸い込まれた直後、花火が上がる。その色は赤だった。
「やった〜!当たった〜!」
直撃判定に大喜びしているリンとブロス。うは、マジかよ!?リンの的は俺より遠い目標物なんだぞ!ここからじゃほとんど見えないのに、初弾からぶち当てていくのかよ〜!
「さすがだね。あんたは目がいいし、視野が広い。それに限られた情報からターゲットを探り当てる能力と思い切りがある。何より度胸がいい。射手向きだよ」
「えへへ〜!やったー!」
ひゅ~!すげぇな、あのビアトリスが絶賛してる。リンってばこういう事は本当に上手いんだ。テイムされる時も感じるけど、俺なんか足元にも及ばないくらい圧倒的に戦闘センスが高い。今までリンがいたから数々の戦いでも生き残ってこれたんだ。そう、リンがいなければ、俺が人々から『英雄』と呼ばれる事もなかっただろう。ああ、本当にゴブリンを取るに足らないと思っている人たちに声を大にして叫びたい。この小さなゴブリンはすっごいんだよ!って。
「ミナト~!見てた~?リン、シャシュ向きだって!」
「もちろん見てたよ!いや~さすがリン!あの距離で一発で決めるなんてな!やっぱり筋がいいよなぁ!」
「えへへ~!」
照れたように笑うリンを見て、俺は思った。俺にとってはリンが『英雄』だよ。俺を救ってくれたのは、小さなゴブリンの君だったんだから。
リンを抱き上げるとリンは手をひろげ、ぎゅうっと俺を抱きしめた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
……ガルラ王国から帰国して一ヶ月ほどが過ぎいよいよ、兵器の引き渡し日がやってきた。俺は転移魔法陣を使い再びガルラ王国へと赴いた。
完成した兵器はスプリング機構タイプの大砲が100門。そして、魔力を使用するタイプ20門。そのほかビアトリスに頼まれた物も加えると全部で150門にものぼったが、それらはマジックバッグにあっさり収まった。
あの時「こんな沢山の兵器をどう運ぶつもりだ」と懐疑的だった支配人が、一瞬にして消えた兵器を見て度肝を抜かれたのか、見た事もない表情でわなわなと震えていた。
帰り際、平静を取り戻した支配人から「民間の方でこれほどの数を一度に発注された例はほとんどございません。失礼を承知でお訊き致しますが、ミナト様にはどの様な御方が後ろ楯に?」と聞かれた。しかし馬鹿正直にアダムス辺境伯の名前を出すのは憚れるので、スポンサーでもあるフリール商会の名前を出しておいたのだ。
すると「なるほど、キュアポーションを産み出したあのフリール商会でしたか」と妙に納得された。
どうやらビアトリスは「王家にキュアポーションの製法とガルラ王国内での製造特許を譲渡する代わりに莫大な報奨金とガルラ製品の購入と輸出の許可を得た稀有な人族」としてガルラ王国の商人とその界隈ではかなり名が通っているらしかった。
それら報奨金と手持ちの資金を元手にビアトリスは当時、ガルラ王国から許可された中で当時の最新鋭の兵器や設備を購入した。それがフリール船団に搭載された大砲や各街の大型の冷蔵設備だ。
ただ、技術は日進月歩で進んで行く。その当時にビアトリスが購入した砲台や設備よりも今回購入した方がより高い性能を誇る。ビアトリスは新型の魔力砲台の説明書に目を通しつつ「あんたのおかげでフリール船団に強力な大砲を追加できた。これなら大抵の船団は相手にもなりゃしないだろうさ。感謝するよ。ヒッヒッヒ!」と愉快そうに笑っていたっけ。
「見ていたぞ!二人ともなかなかの腕前じゃないか!」
「うむ、さすが西セイルスの英雄、新型の兵器もゆうゆうと使いこなすか」
試射を終えた俺に声をかけてきたのは、様子を見守っていたルカとアダムス辺境伯だ。二人も新兵器の導入に立ち会っていた。
「ありがとうございます。俺がどうこうというより大砲の性能がいいんですよ。操作も複雑ではないし、命中精度もかなり高いと思います。さすがガルラ王国の最新鋭の大砲というべきですね」
「そうか。ならば使いこなすのにそれほど時間はかからんということだな?」
「はい。照準器で目標物にきっちり合わせれば正確に飛んでいきます。スコープもついているので見える目標なら大きく外すことはありません。ただ組織的に素早く斉射しようとするならやはり習熟は必須でしょう」
「なるほど。それではすぐに各地の領主から遠目の利く射手を招集させよう。ここで大砲の扱いを覚えた者達を指南役に、西セイルスの各領地で大砲を運用できる者を早急に増やすとしよう。よろしいかな、ルカ殿?」
「もちろんです。その者達の為の施設も早急に建築します」
アダムス辺境伯は中央との交戦を想定し、西セイルスの領主に大砲を密かに配備する計画を進めている。
セイルス王国の一地方に過ぎない西セイルスと王国の過半を手中に収めたアーサーとでは兵力や物量にかなりの開きがある。その差を埋めるための切り札がガルラ王国から購入した兵器達だ。
特に西セイルスとの境目になる領地に重点的に配備し、いざという時は西セイルスへの侵入を阻止する目論見だ。今回入手した兵器はあくまでも手始めで、継続的に増強していく。その原資はもちろんバーグマン領で産出されたヒュプニウムだ。
「兵器の取り扱いについては、まず我がアダムス家が習熟し、その技術を他の領主へも伝承させていくこととする。ベルド殿、ビアトリス殿、それまでは両名とも指南を頼む」
「まぁ、気は進まんが西セイルスを守るためだから仕方がねぇ。なんとか時間を作るさ」
「西セイルスでは商売を優遇してもらってるからね。そのかわり後で指南料はきっちり請求させてもらうよ」
さすがハロルドと行動を共にしていた百戦錬磨の古強者達、アダムス辺境伯にも物怖じする気配はない。
ひと通り大砲の試射を終えた俺達は船で双子山に戻った。双子山から射撃場までは船で川を遡ってきた。ネノ鉱山より北の山道は整備中とはいえまだまだ道が細く、荷馬車も通行に苦労する箇所がまだ点在している。そのため馬車より魔力エンジン付きの船の方が移動がずっと楽なのだ。それにやっぱり水面を切って走る船って楽しいからね!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ルカを館に送り届け、双子山の屋敷に戻ると、アダムス伯が改めて今回のガルラ王国との任務を達成させた事を労ってくれた。
「ミナト。今回の試射、まことに有意義だった。改めてガルラ王国との交渉、御苦労だったな」
「はい、ありがとうございますアダムス伯」
「本来であれば百官の前でその功績を讃え、新たな爵位を与えたいところだが、秘密裏に進めねばならぬ交渉ゆえそうもいかぬ。すまんなミナト」
「はっ!?い、いえ、俺は今のままで十分です!爵位なんてもらってこれ以上忙しくなったらかないませんから!」
「ははは、そうか。実にお前らしいな」
そう言うと、まだ日暮れ前だというのに用意されたワインをカパカパ開けていくアダムス伯。今日はいつにもましてペースが早い。どうやら今日は久しぶりにここに泊まっていくつもりらしい。ハロルドも合流し、他にもベルドやビアトリスといった酒豪もハイペースで杯を開ける。うう、俺、また給仕係ですか。え、酒のアテ?ガルラ王国のお土産のアレですか?はいはい、今用意しま~す!!
「ミナト。お前がこの度成し遂げた功績は実に大きい。これで中央との戦力差は大幅に縮まったといっても過言ではないぞ」
宴もたけなわとなり、ほろ酔いのアダムス伯が声をかけてきた。
「ありがとうございます。それなら危険を冒してガルラ王国に行った甲斐があるってものです。これだけの兵器があると分かればいくら王家といえど容易に動けないですよね?」
「うむ、それはそうなのだがな……」
言葉を濁すアダムス伯。そこにハロルドが会話に加わってきた。
「確かに今回の件で戦力差についてはかなり縮まった。だが万全という訳ではない。まだ危惧すべき事がある。そうだろうチェスター?」
「ああ、ハロルドの言う通りだ。我らが懸念すべき火種はこの西セイルスではなく、北ナジカ地方にある。ミナトはその地域を知っているかな?」
「北ナジカ地方ですか?そこってまだセイルス王国ではアーサーの支配になってない地域ですよね?スレイアム公って王族の人が統治してるんでしたっけ?」
「そうだ。今や、王国内で王族が治めている地域はスレイアムの北ナジカ地方、そしてこの西セイルスのみになってしまったがな」
「それでは、西セイルスは北ナジカとより連携をとってアーサーに対抗しないといけない訳ですね?」
「そうしたいのはやまやまだが……な」
そこから急にアダムス伯の表情が思いつめたように陰を落とした。
「本来は極秘だが、ミナトには話しておく。スレイアムは今、非常に精神状態が不安定な状態にある。ロレッタら王族達がアーサーによって誅殺された事で、次は自分が狙われる、という思いにとらわれていてな。いや、それはあながち妄想ではないのだが、彼の精神が追いつめられることによってそれが現実のことなのか、彼の想い込みであるのかの区別がつかなくなっているのが問題なのだ。さらに主を失った東セイルスや南ナジカ地方の旧臣達が多数スレイアムの元に逃げこみ、しきりに捲土重来を訴えているらしいのだ。これは我々にとっては好まざる状況だ。なぜだか分かるか?」
「う〜ん……話を聞く限りでは、その状況ではスレイアム公は冷静に物事を判断する力も落ちているでしょう。そんな時にさらに自分の心の重石を取り除くような本人にとって魅力的な提案があれば、それが危険であっても乗ってしまう可能性がある。……つまり、単独で兵を上げてしまうかもしれないと?」
「その通りだ。以前王都で会った際もかなりやつれた表情をしていた。どうもスレイアムには幻覚のような物が視えているように思えた。その時、奴から挙兵の相談を受けた」
「えっ!?まさかアダムス伯……!」
「もちろん自重させた。あの時、スレイアムと共に挙兵する訳にはいかなかった。戦力差もそうだが、どう考えても王を迎え撃つ準備が不足しておる。まだその時機ではないのだ。無論、挙兵したとて互いの支配地域が離れているゆえ、連携がうまく行かず各個撃破されるだけだっただろう」
「ではガルラ王国から兵器を導入して戦力差が縮まったあとなら……」
「いや、今は動きたくても動ける状況にないのだ」
「それは何故ですか?」
「西のレニング帝国に不穏な動きが見られる。斥候からの報告によると我が国との国境に徐々に兵が集結しつつあるらしい」
「えっ!?それって西セイルスを攻めるための準備……?」
「公には軍の再編の一環だと吹聴されている。実際に我が王国は帝国から宣戦布告された訳ではないからな。ただ、あまりにもタイミングがよすぎる。帝国軍がそのような動きを見せるのはこれまでなかった。額面通り受け取るわけには行かぬ。国境の領主バラム子爵には帝国の動きにはくれぐれも注意するように言ってあるが、近々息子のエドワードを派遣し、警戒に当たらせるつもりだ」
「エドをですか?」
「うむ。何もなければそれが最良。しかし、戦略に楽観は禁物だ。常に最悪の事態を想定しなければならぬ。今回入手した兵器は西はバラム子爵領、東は中央との境目であるイズール子爵領に重点的に配備させる事になる。ミナトは各地に大砲の配備と引き続きガルラ王国で兵器の調達を続けてほしい」
「分かりました」
「うむ。それともう一つ、西セイルスにおけるバーグマン家の戦力は今や、我がアダムス家に次ぐものだ。装備や練度は以前とは比べ物にならないほど充実しているし、元マージナイツの千騎将だった人材が指揮官に就いたと聞いている。あとは実戦経験を積んでいくだけだ。さらにお前も多数の私兵を抱えている。その戦力を持って西セイルスの未来の為、力を貸してほしい。頼んだぞ」
俺の手をがっしりと握るアダムス辺境伯。酔いを感じさせないその目には強い決意が宿っていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
その翌日。一旦帰宅したベルドからミナト工房に呼び出された俺はリビングアーマーのウィルを伴い工房を訪れた。
「よし、いいぜ。身体を動かしてみな」
銀色に輝くフルプレートアーマーが動き出し、ゆっくり手を開く。そして感触を確かめるように身体を動かした。
「ウィル。新しい鎧の調子はどうだい?」
「はっ、身体中に力と気力が漲っております!ベルド合金の鎧も素晴らしいものでしたが、この鎧は更にその上をいくものです!」
「うん、すごい……。今までより更に纏う魔力に力強さが増したように感じるよ!これからウィルには今まで以上に仕事をしてもらわなきゃいけないかもしれないからね。頑張ってほしい。本当ならウィルが活躍できないような平和な世の中なのが一番良いんだけどね。ははは」
「は!お任せください!必ずやミナト様のご期待に応えましょう!」
ウィルは元々、この双子山を守備する騎士の亡霊、レイスナイトで俺の従魔だ。鎧に憑依する事でリビングアーマーになった。憑依する鎧の質により力量が上下するんだけど今までのベルド合金のフルプレートメイルを装備したウィルの能力向上においても目を見張るほど素晴らしいものだった。生前、騎士団を率いる団長だったこともあり指揮官として能力も卓越したものでバーグマン家の軍団長ヒューゴから直々にバーグマン軍の指南役を依頼され、今も軍の訓練師範をやっている。
今回、ベルド合金からさらに高性能なハンマ合金の鎧に変わった事で、更に能力が強化された。約3000人のリビングアーマーで構成されるミナト騎士団。以前はアラバスタのフォローが必要だったが、今ではその全ての統率をウィル一人でこなせるようになった。最初に会った時はせいぜい10人くらいしか使役できなかったのだから如何に能力が向上したかが分かる。
「前の黒いのも強そうだったけど、この鎧もカッコイイね!ウィル!」
リンの言う通り、姿も「黒鉄の騎士」から「白銀の騎士」へと変わった。前の姿も格好良かったけど、今度は正当な聖騎士然としていてこれはこれで凄くイイ感じだ。まぁ、リビングアーマーなんだけどね。
ベルド曰く「ベルド合金の鎧も文句のつけようがねぇ逸品だったが、流石にハンマ合金の鎧にはかなわねぇ。このハンマ合金こそがおそらく俺の生涯の最高傑作になるだろうな」
というほどのものだ。性能は世界で最高峰とされるヒュプニウムの鎧に匹敵するほど。値段も価値も紛れもない当代随一の傑作だ。
ちなみにヒュプニウムはガルラ王国の管理下に置かれたが、市場に売却しない条件で研究用として使用する事は許されていて抜け穴はある。その辺の「気遣い」はハラードのお陰だろう。
「ところでミナト様、バーグマン軍の指揮官オスカー殿より伝言を預かっております。相談したい事があるので、時間がある時に兵舎に寄ってほしいとの事です」
「分かった。せっかくオスカーが王都から帰ってきたのにお互いに忙しくてなかなか会えなかったからなぁ。それなら今から行こうか」
「ははっ!お供いたします!」




