エピローグ 次代へと繋ぐ光
俺がローザリア城から帰還して一週間後、ノースマハの街は普段とは違う雰囲気に包まれていた。
領主の館前には西セイルスの領主が乗る馬車がズラリと並ぶ。それぞれに各領主を護る護衛兵がついていおり、バーグマン兵は大わらわで交通整理を行っていた。滅多にない光景に街の人々が多数遠巻きに様子をうかがうなど、ノースマハの街もにわかに浮き立っている。
さて、その領主屋敷の大広間では、西セイルスの領主を招き、ミスリル鉱山「ミサーク鉱山」の操業を祝したパーティーが開かれていた。中央に置かれた晩餐会用のテーブルには豪華な花や燭台などで飾られ、バーグマン家自慢の料理が並ぶ。室内にしつらえられた美しく磨かれた調度品も晩餐会に花を添えている。
居並ぶ領主達を出迎えたのはバーグマン家の領主ルカ、その隣にはルカを見守るように西セイルスの盟主、アダムス家の当主チェスター=アダムス辺境伯の姿があった。
「皆様、本日はミサーク鉱山の操業記念パーティにお集まり下さり、誠にありがとうございます。先だって始まったミサーク鉱山からは、すばらしく良質なミスリルが産出されており、また、ネノ鉱山から産出される魔鉄と共に、これらは盟主であるアダムス辺境伯を通し、速やかに西セイルス全体に流通させる段取りになっております。これを機に西セイルスが一つとなり、王都に負けない活気のある地にしていこうではありませんか!」
パーティーの主催、ルカの挨拶にアダムス伯を始めとした領主達から拍手が沸き起こる。そしてルカの話をアダムス伯が引き取った。
「ルカ殿の言う通り、西セイルスの繁栄の為には皆の協力が欠かせぬ。今日をその門出とし新たな西セイルスの第一歩となそう!それでは皆、杯を持て!さあ、ルカ殿」
その場に居た全員が酒の入ったグラスを手に持った。そして、ルカが高らかに祝杯の声をあげた。
「乾杯!」
「「乾杯!!」」
その声を合図に領主達の祝賀パーティーが和やかに始まった。
本来であれば各領主を集める宴席は、西セイルスの盟主であるアダムス伯の居城ワイダでとり行うのが通例だが、今回はバーグマン領にある鉱山操業の祝賀ということで、鉱山に近いバーグマン家でパーティーを開く事になったのだ。しかし、この件で財務官のレビンから「祝賀会の出費は痛いですがミスリル鉱山が稼働すれば問題ありませんよね、政務官殿?」と山のような請求書を渡されたんだけど……。あの血の通ってなさそうな笑顔で。俺、バーグマン領のATMになってないか……!?
それはともかくとして、今の俺はというと、操業を開始した鉱山の説明役として、特別に同席を許されていた。
「ほほう、貴殿がバーグマン家の誇る剛勇ミナト殿か。スカイドラゴンをたった一人で討伐したという話は我が領地にまで聞こえているぞ」
「光栄で御座います。イズール子爵」
列席された領主に鉱山の責任者として一人一人に挨拶をしている際に、イズール子爵から声をかけられた。彼は西セイルスでは最東端に位置する領主で、穏やかな印象を抱かせる初老の領主だ。
にしても剛勇って……(汗)別に一人で倒した訳じゃないしさ!
「今回のミスリル鉱山は貴殿が発見されたそうだな。ネノ鉱山の再開にも関わったと聞く。おお、そういえばあのサツマイモとかいう甘い芋も貴殿が発見したと聞いた。我がイズール領でも大変な評判になっておる。貴殿が居ればバーグマン家は安泰であろう」
「い、いえ!それほどの事ではございません!」
「ははは、じっくり話を聞きたいところだが貴殿も忙しい身だ。機会があればルカ殿と共に我が領地を訪ねてくるとよい。歓迎するぞ」
「はい。お心遣い感謝致します!それでは失礼致します。ぜひパーティーを楽しんでいってください」
……ふぅ。緊張するなぁ。そういえば南のサウスマハを拠点とするオーサム男爵に挨拶したら「今回は挨拶がしっかりできるようになったではないか。前回から礼儀作法を学んだか?」と言われたんだけど……。
前回オーサム男爵に会ったのはトーマだった……んだよな?咄嗟に「『男子三日会わざれば刮目してみよ』という言葉がはるか東の国にありまして……」と小話をして誤魔化したけど、いったい何をやらかしたんだよ、トーマ!?
そのオーサム男爵から今回はギースも連れてきたから会ったら一声かけてやってくれ、とも言われたっけ。ギースとは昇格試験以来だ。
そして、大広間で一通りの挨拶を済ませた俺は、祝賀会場から退出し、別室へと向かう。
領主達が集う大広間のパーティーとは別に設けられた別室では、各領主に付き従った御付きの人や護衛などを対象にした祝宴が開かれていた。大広間でのパーティーには安全面を考慮し、各領主のみが参加している。こちらの別室でもささやかな祝いの席が設けられ、集まった人たちに鉱山について簡単に説明する。
でもなぜかこっちでもミスリル鉱山の説明よりも、「スカイドラゴン討伐した冒険者」という噂が予想外に拡がっていてその際の話を求められた。
「本当にスカイドラゴンを倒したのか!?」と訝し気に聞かれる事もあったが、その際には、スカイドラゴンの眼球の核を見せた。そのスカイドラゴンの眼球は、虹色に輝く宝珠の美しさもさることながら、秘める魔力の所為か、手に取った人達は魅了されたように驚きと感嘆の声を漏らし、疑った事を謝罪してくれたのだった。百聞は一見にしかず、である。
そんなこんなでこちらでも訪れた人達に挨拶回りをしていると、後ろから声をかけられた。
「あっ!?君は……!」
「昇格試験ぶりだな。ミナト」
俺に声をかけてきたのは、昇格試験で即席パーティを組んだエドだった。鎧を身に着けていた試験の時とは違い、今は貴族然とした仕立ての良い礼服に身を包んでいた。じっくり見ても長身で筋肉質の美丈夫である。いかにも軍人といった背筋がピンと伸びている姿勢も美しい。
「いや~、エド!まさか君とここで会うなんてな!今日は誰かの御付きかい?それとも護衛の任務とか?」
俺がそう言うとエドは何だか居心地が悪そうに苦笑する。あれ?俺、なんか変なこと言った?
「おいおい、まさかお前、知らなかったのか?ミナト」
「あ、ギースじゃないか!君も来ていたのか!先程父上のオーサム男爵にご挨拶させて頂いたところだよ」
やって来たのはオーサム男爵の次男で、昇格試験にも参加していたあのギースだった。
「今日は親父の付き添いでな。で、本当に知らないのか?ミナト」
「え?エドは護衛任務の依頼を受けて、ここに来たんじゃないのか?」
するとギースが心底呆れたような顔をした。
「あのな、よく聞けミナト。エドはな、アダムス辺境伯の御子息なんだぞ。本名はエドワード=アダムス。アダムス伯の嫡男でアダムス家の正式な後継者なんだからな」
「……は?……はぁ!?エドがアダムス伯の息子ぉ!?」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「なるほど。しかし、エドがねぇ……。それならそうと昇格試験の時にでも言ってくれればよかったのに……!」
「すまん。あの時はあくまでも一介の冒険者としての参加だったからな。しかし、俺達はそれ以前にも会っているぞ。ルカ様がワイダ城を訪れた際、俺も父の側に立っていたんだが覚えてないか?」
「あ~、ヒュプニウムの件で交渉に行った時かぁ。いやあ、緊張して全然覚えてなかった……」
「ははは、人間誰しもあの様な場に立つのは緊張するものだ。特に親父の前ではな。しかし、ルカ様はその中においても実に堂々としていた。さすが英雄ハロルドの孫よと、我が家臣の間でも評判になっていたぞ」
「俺はルカ様とは育ちが違うんだよぉ……。そんなのしょうがないじゃないか」
ド庶民育ちだからね。前世でもさ。
「ははは、拗ねるな拗ねるな。お前だってその活躍ぶりはバーグマン家随一だ。誰しも向き不向きはあるが、場数を踏めばそんなものはすぐに慣れるさ」
できればそんな場数は踏まずにゆるゆる過ごしたいんだけどな。ま、それはいいとして。
「ところでギースもよく来てくれたな。冒険者は順調かい?」
「いや、実は俺はもう冒険者は引退したんだ。その、色々あってな」
「え、引退!?せっかくBランクになったのに。冒険者としてはこれからじゃないか」
色々ってなんだ?そういえば以前のギースと比べて随分と落ち着いた気がする。立派な服を着ているからだけでなく、今なら貴族の息子って言われても納得しそうだ。
そんなことを思っているとエドが話に割って入ってくる。
「実はなミナト、彼は領主になることが決まったんだ」
「えっ!そうなのか!?ギース!」
「ああ、今すぐという訳じゃないが将来、兄上が父上からオーサム領を継承する際にその中の一部を俺が引き継ぐ事になったんだ。いわゆる分家というやつだな。公的にはオーサム領の支領扱いだから、完全な独立領主ではないんだが」
おお、あの横暴で乱暴だったギースが落ち着いた理由はそれか!
話を聞けば、ギースには兄が居てその人が将来オーサム家を継ぐことになっていたのだそう。爵位も土地も兄が継承して、次男であるギースが継ぐものはほとんどない。その代わりに仕事をせず働かなくとも問題ないし、度を過ぎなければ遊んでいても咎められる事はない。そんな境遇で彼は屋敷に留め置かれていた。
いわゆる「部屋住み」ってやつだ。将来、嫡男である兄が万が一、亡くなってしまった時の保険としてのみ彼の存在意義はあった。しかし、仕方がないとはいえ仕事らしい仕事もなく、遊び歩いている彼を見て周囲の目は冷たいものだった。だからといって生活を改められる訳もなく、何の気はなしについたのが冒険者だったという。
確かに将来の無い部屋住み次男坊が力を持て余して無頼するっていうのはありそうな話だもんな。兄貴のスペアなんて、そりゃあいじけもするよね。うんうん。と勝手にギースへの共感を深めていた俺だったが。
「すごいじゃないか!でも、そっかぁ、だからかな?会った印象が前とは違ってたからビックリしたよ」
「ははは、もう俺は一介の冒険者じゃないからな。兄上にも言われたよ、領主となるからには領地をしっかり治めねばならない。「ギース様は変わったな」と思われるよう日頃の行いを改めよってな。だから今は遅ればせながら領主としての勉強を必死にやってるところさ」
すごい!変われば変わるものである。
「それでな、その件で折り行ってミナトに頼みがあるんだ」
「え、俺にか?」
「ああ。ミナトは政務官として様々な施設を運営しているだろう?だからな……」
そう真剣な眼差しで話すギースの頼みを俺は二つ返事で了承した。あのギースからこんな頼みごとをされるようになるなんて思わなかったなぁ。と、感慨深い気持ちになったのであった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「……ここが俺の屋敷で、隣が礼拝堂と診療所。で、あっちが双子山だ」
「ほぉ、あの山が……あそこでスカイドラゴンを倒したんだな」
「まぁ、そうだね」
領主の舘を出た俺達は北門を抜け、俺が政務官として治める地域、主に施設を案内した。エドも「俺も同行させてくれ。後学の為、ミナトが統治している場所を見てみたい」と言うので、3人で領地をめぐる事にした。祝賀会の俺の役目は終わったし、あとはヒューゴさん達に任せた。
まず近場から完成間近の酒の醸造工場と鍛冶工場を見学してもらった。これらも近々操業を開始する。醸造所の近くには広大な畑が拓かれ、ガルラ王国から持ち込まれた大麦やホップといったお酒の原料の栽培が始まっている。
そして川沿いに双子山方面にいくと船を停めるための真新しい桟橋、それに出来立ての倉庫が見える。鉱山は距離がありすぎるため説明するだけに留めた。
「ここは主にネノ鉱山や新たに操業を開始したミサーク鉱山から運ばれた鋼材を荷卸したり、ミサーク村から運ばれてきた農産物や塩、木材を保管するためのものだ。ここから鋼材をおろし、すぐ近くの鍛冶工場で武具や農機具、その他資材に加工し、各地に出荷する段取りになっているんだ」
と二人に話す。
「これはすごいな。この地域は以前は何もなかったのだろう?短期間でここまで発展させたのか」
「いやいや、何もなかった訳じゃないんだよ。俺達が気づかなかっただけで。ある人は常日頃から「ここには伸び代しかない」って言ってたし。分かる人にはこの土地のポテンシャルがいかに凄いか分かっていたんだよ」
「それで、率直に聞くが、俺の領地を発展させるにはミナトならどうすべきだと思う?既に領地経営している立場から意見を聞かせてくれ」
ギースが真剣な眼差しで尋ねてくる。
「うーん、ギースが担当する領地がどんなところか分からないからこれと言ったことは言えないけど、やっぱりその地域にしかない特産品を開発するのがいいだろうな。ギースの領地に何か他所にない「これ」といったものはないか?」
「それならイトグモを使った織物があるな。イトグモっていうクモの糸から布を編んで生地を作って輸出している。知名度はあまりないがとにかく艶が素晴らしくてな。知る人ぞ知る名品さ」
「そういうやつだよ!知る人ぞ知る名品をみんなが知る名品にすればいいね。あとは交通の要衝だったりすれば人が集まりやすい。そういう場所は税額を優遇してやるんだ。そうしたら、更に人が集まり発展していくと思うよ」
「しかし、それでは税収が減って領地運営ができなくなるんじゃないか?」
「こういう政策って長い目で見るのが大事でさ。税率を下げてもその分、人が増えて税金を払う人が増えればペイできるだろ?将来的に人が増え、発展が見込める場所だと分かれば商人も集まるし、それを見て更に人が集まる。人が増えれば税金を払う分母が増えるから税収もあがる。さらに物流も活発になって、結果的に税率を下げた以上のリターンが得られるはずさ」
ギースがふむふむと話に聞き入る。
「飢饉や戦争の時はまた別だけど、収入を増やすなら増税より政策による成長分の増収で賄う事。これ大事。そもそも増税で収入を増やそう、なんて子供だって思いつくだろ。何のための政治だよ、そんな領民を苦しめる政策しか打てない領主なんて領主失格なんだ!」
「な、なんかずいぶんと実感がこもってるな、ミナト」
おっと、思わず前世で感じてた不満をぶちまけてしまったぜ。
「え、えっと、ほらミサーク村に居た時、重税に苦しめられたからさ。収入のないところから搾り取っても極わずかだしね。それよりも、産業を活性化させることを目標にした方が税収があがると思うんだ」
「まぁ、そうだな。……フッ、なるほどな。なかなか立派な心掛けじゃないか。お前も領主としての才がありそうだ。将来は爵位を得て独立した領主になるといいぞ。お前の功績ならば十分に可能だ」
「え、領主!?……いやそれは勘弁だな。俺は今のままが一番いい。ルカ様も理解がある領主だし、何より俺は双子山が好きだし、離れたくない。爵位もいらないし」
「そうか。欲のないやつだ。まぁ、父もそう言うだろうと言ってたがな」
「どうだいギース?今まで見せた施設は君の役にたちそうかい?」
「ああ。ミナトが如何に苦労して経営をしているかが分かった。今日は勉強させてもらった。ありがとうミナト」
俺は領主ではないけどミサーク村や大森林の管理を全権委任されている。参考の一助になれたのなら何よりだ。
「我が父も西セイルスの頂点に立って入るが、家臣や所属する領主の扱いには常に心を砕かれておられるのだ。今日は己の目でバーグマンの領地を見る事ができて良かった。礼を言う。ミナト」
エドも一緒に領地をめぐり、しばしば質問されたけど、領地を真剣に見てくれるのがとても嬉しかった。そのエドにギースが頭を下げた。
「エドワード様もありがとうございます。俺が領主になれるのもアダムス伯のお口添えがあったからです。そのアダムス伯に推挙してくれたのは、エドワード様ですよね?」
「へ~、エドがアダムス伯にね」
「俺は一冒険者として、パーティのメンバーの人柄を父に伝えただけだ。そう大したことはしていないさ。あとギースもそう畏まるのはやめてくれ。いきなりお前にそんな事をされると背中がむずがゆくてかなわん」
そして思わず三人で笑い合う。
エドワードが最初にギースに抱いたのは、領主の息子という権力を武器に周りを威圧する小物という印象だった。が、ゴリルエンペラーとの戦いを経て、それなりに気骨のある人物だと評価を変えた。それをアダムス伯に報告した事で結果的に彼の運命が開けていく事になる。
アダムス伯がオーサム男爵領を訪問した際、ギースの話題になり、なかなかの人物であり、部屋住みのままで終わらせるのは勿体ない、という話になったらしい。その結果、ギースの兄が家督を継承するタイミングでギースにもオーサム領の一部を分け与え、オーサム領の分家として独立させよう、という流れになった。
将来的には爵位も与えられる事がアダムス伯から約束された。つまりギースも小さいながら領主になる事が確約されたのだ。
「アダムス伯直々に約束してもらったからな、まさか領主になれるなんて思わなかった。ただろくに領主としての勉学はほとんどしてこなかったからな。これから大変なんだ」
「そっか。頑張れよ!応援している。領主かぁ……。あの責任あるハードな仕事は、俺にはとても無理だなぁ」
そういうとギースとエドが「はぁ?」という顔をした。
あれ?なんで二人とも顔が引きつってんの?
「お前のやってる業務は領主とほぼ変わらんのだぞ?それをお前はたった一人でこなしていたんだろ?その大変さは俺でもわかるぞ?」
「で、でも領主だってその領地に一人じゃん?それに俺はただの政務官だからルカ様よりずっと気楽だし。通常のミサーク村方面の政務からはじまって、鉱山経営やミサーク村の開拓やら農園や双子山の管理やら、今回みたいな説明役をやる程度だから。あ、今度醸造所と工場が出来るからその経営もか。まぁ、休みはあんまりないけど、でもシンアンが来たおかげでだいぶ楽になったんだぜ!」
「お前、すげえな……」
「ああ、よく倒れないものだ。これは父上やルカ様にも進言したほうが良さそうだ」
なにがさ?政務や鉱山はバーグマン家の所有だけど、他のものは俺の所有だからやらざるをえないじゃん。それにコンラッドやイアン、アラバスタとか助けてくれる人はいっぱい居るしね。
そう思っていると道の向こうから鼻歌交じりの女の子が近づいてくるのが見えた。
「あーーっ!誰かと思えばエドっちにギースじゃん!おいっす!」
「ジョリーナじゃないか、なんでお前がここに?」
「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれました!今、あーしはバーグマン軍魔術隊の教官様なのだ!」
Vサインでポーズを決めるジョリーナ。
「マ、マジか……?あのジョリーナが軍の教官だと……?本当なのか、ミナト」
「うん、間違いないよ」
「ムフフ。あーしは昇格試験の時のあーしではない!愛の力でパワーアップしたからね!今ならどんな術士にも負ける気がしない!なにせ愛しのハロ様がついているからね。なっはっは!」
「お、おう……」
「ミナト、ジョリーナに何があったんだ?……彼女は大丈夫なのか?」
エドがジョリーナの異変を感じ、俺に小声で尋ねる。
「う、うん、大丈夫だと思う。それに実力がついて来たのは本当だから」
「で、で!?エドっち達はなんでここに来たん?あ、分かった!冒険者パーティのお誘いでしょ!残念、これからハロ様と修行なんだよね~!これがぜーんぶ終わったらまた誘ってちょ~だいな!じゃね!」
そう言って足取り軽く去っていくジョリーナ。
「なんだかえらいご機嫌だったな」
「ああ、愛がどうとか。アイツどうしたんだ?」
「あはは……色々あってね。じ、じゃあ次は果樹園と畑を案内するよ!ここでは色々試食できるから楽しみにしてくれ!」
愛に燃えたジョリーナが小さくなるのを見届けて、俺達はまた日が暮れるまで領地を回ったのだった。
4章これにて終了です。お読み頂きありがとうございました!幕間を挟み、5章に移ります。引き続きお付き合いいただければ幸いです!




