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『俺』とゴブ『リン』~俺のスキルは逆テイム?二人三脚、人助け冒険譚~   作者: 新谷望
3章 バークマン領の騒乱編

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26話 任命式



「ライ。お前のスキル、皆に披露してやるカネ」


「分かりました!」


 一歩進み出たライが、右の手を前に差し出した。そして、手のひらを上に向け呼吸を整える。


「「魔力観測」発動!」


 ライがそう叫んだ瞬間、彼の手の上に小さな魔力の粒が続々と集まりだす。それは瞬く間にソフトボールほどの青い球体に変化した。玉の中では水のような液体がゆっくりと渦を作り、回転している。


「「観測球かんそくきゅう」の色は青。そしてこの球内の動きは魔素がここに集まっている地である事を意味しているカネ。青色は安全水域、これが危険になれば赤色に変化するカネ。つまり現状では魔物の爆発的発生モンスターインパクトはないと言う事カネ」


「ほう、確かにそのようじゃな……」


 ヌシ様は驚いたように観測球を見つめている。


「ねぇ、ミナト。まりょくかんそくって何?」


 リンが首を傾げながら聞いてくる。いや、俺にも分からない。魔力探知なら知ってるけど……。


「魔力観測とは、その地に蓄積された魔力量を感じ取る事ができるスキルじゃ。魔力は魔素という細かな粒となって地中や上空を巡っていてな。この魔力観測というスキルはのう、使うとその地の魔力量の測定ができる。すなわち、この土地で魔物の爆発的発生モンスターインパクトが起こるかどうか、これを見れば一目瞭然という訳なんじゃよ」 


「それって凄いスキルなんですか?」


 俺がそう聞くとヌシ様が頷く。


「ほっほっほ!すごい、なんてものじゃないわい!魔力観測ができる装置もあるが非常に高価でな。それこそ王家か大領主クラスでないと保有はできん。そんな装置を使わずに魔力が測れるスキルじゃ。本来なら魔術を極めた者が、更に修行の末に会得するスキル。それをこの若さでとはのぉ。いやはや素晴らしい才能じゃよ。ライ」

  

「い、いえ!まだ魔力量が大まかに分かるだけで、魔力の流れも何となくしか分からないので……!」


「大まかでも問題ないカネ。この双子山はミサーク大森林の地下に存在する魔力湖のはし、つまりここの魔力量が安全水域であれば、ミサーク大森林全体の魔力量もまた同じカネ。これが何を意味するか、ヌシよ、お前なら分かるはずカネ?」


「……なるほどのぉ。確かに、「時」は状況を変えたのじゃな。この状況ならば「山に埋まる金」を取り出せよう。……ルカ」


「何でしょう?ヌシ様」


「ミナトの任命式にはバーグマン領の全ての重臣が集まるはずじゃろう。そこでな……」


 ヌシ様に耳打ちされたルカは、嬉しそうに頷いたのだった。



  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇




 それから一週間後、任命式の日。俺は領主の館に召集された。


 ここはバーグマン家の屋敷内の応接間。(まつりごと)を司る政庁もこの領主屋敷の敷地内にある。居並ぶバーグマン家の重臣たち。そして上座にあたる領主の椅子にはルカが腰掛け、その横に侍るヒューゴが新たに叙任される家臣の名を読み上げる。


 名前を呼ばれた家臣がルカの前に進み出て、ルカからバーグマン家の家紋の任命書を受け取り、ルカから言葉をかけられる。


 その数、12名。ルカの前に並んだ新任の家臣に混じり、俺は自分の名が呼ばれるのを待っていた。……が。


『はぁ……どうしてこうなっちゃったんだ……』


 普段は着る事などない、貴族の正装に身を包み、俺は心の中でもう何度目か分からないため息をついていた。


「ミサーク方面政務官、ミナト!」


「は、はい!」


 俺は一番最後でヒューゴに名前を呼ばれた。立ち上がり、作法通りゆっくりと歩くと、ルカの前に立つと右手を胸にあて深くお辞儀をする。セイルス王国ではこれが文官の敬礼らしい。さらに王とかの前になると片膝をつくとか。


「ミナト、ミサーク村や大森林の開発はお前に任せる。私に代わって、領民を助けバーグマン領に更なる繁栄をもたらしてくれることを期待している。頼むぞ!」


「はい!」


 任命書と政務官を示すワッペンが入った小箱を手渡され、ルカと握手を交わし自分の席に戻った。


「以上!これにて任命式を終了する。ルカ様、お言葉を!」


 その声と共にルカが席を立つ。


「ここにバーグマン領を発展させていく為の新たな家臣が誕生した!大半はダニエルとの対立により職を辞した者と聞いている。今また、こうして呼びかけに応じ馳せ参じてくれた事、嬉しく思う。私が先頭に立つ以上、バーグマン家においてもはや、地元派、王都派の垣根はないと心得てもらいたい。身分を気にせず、必要だと思う政策はどんどん提言して欲しい。私自身まだ若く、至らぬ事も多いと思う。私に対する諫言かんげんは大いに歓迎する。みな、遠慮なく言って欲しい」


「ははっ!!」


「さて、ここで私からみなに喜ばしい報せがある。ネノ鉱山の封印を解錠する方法が見つかった!」


「おおっ!」「なんと!」というざわめきが応接間に沸き起こる。


「我が祖父ハロルドにより封印された当時、祖父が懸念した事項は時の流れにより、現在は解消されている事が確認された。後は封印を解消すれば良かったのだがその解錠の方法が分からなかった。しかし、この度、屋敷の書庫より祖父が書き残した文が発見された。これによりネノ鉱山は再び生産を再開できる運びとなったのだ!」


「おおっ!!」


 山に埋まったかねとはつまり、ネノ鉱山の再開だった訳である。そして鉱山は俺の管轄地な訳で……。


「近いうちにネノ鉱山において解錠式を行う予定だ。ミナト、任命して早々だがその際は準備を頼むぞ!」


「は、はい!」

 

 ああ……マジか……。就任早々いきなりこれかぁ。解錠式って何やればいいんだ?きっとこれからめちゃくちゃ忙しくなるんだろうな。それで解錠したら今度は鉱山を再開させなきゃだし……。くそ~!やる事が多すぎるっ!!


「よし!それでは皆、一丸となりバーグマン領を豊かな領地としていこうではないか!」


「ははっ!バーグマン領に栄光あれ!」


 家臣一同の力強いかけ声で、任命式は無事終了したのだった。


 


 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇




「はぁ……なんでこうなっちゃったんだ……」


「ははは、またため息かい?政務官っていったら領主に代わってその地方を治めるトップだよ。ミナトはグラントさんより偉くなったんだ。ミサーク村から政務官が出るなんてね。名誉な事だよ」


「そう思うなら代わってくれよ、オスカー」


 任命式の終了後の控えの間。俺の隣で笑っているのはオスカーだ。彼はミサーク村村長グラントと共に任命式に立ち会っていた。  


 俺が承った職位は「政務官」。この国では領主に代わりその地方の政治を司る長官、といったところ。日本でいえば代官だろうか。

 

 権限は思った以上に大きく、領主に代わって政策を立案・実行でき、その地区の発展の為に尽力する。地区の徴税も担い、上がってくる要望等を吟味し、必要があればその都度適切な手を打たねばならない。担当は双子山から北方面。つまり双子山からミサーク大森林全域。これにはミサーク村やネノ鉱山もはいる。


 管理する人数としては、実質的にミサーク村の村民のみだが、なにせ範囲が広い。ネノ鉱山の他、ほぼ手つかずのミサーク大森林の開発もしないといけない。とにかく気苦労が多い大変な仕事だ。


 ……で、問題なのはその任命を俺が直前まで知らなかった事なんだよ!


 俺、確か「双子山とその周辺の管理を任せたい」って聞いたんだよ?それなら普通、「ああ、双子山とその周りね」って思うじゃん?管理人って、大変だけどしょうがないかなぁ。土地を使わせてもらってるしね。と、思ってさ。だから了承したんだよ。そしたらこの有り様だよ!


 どうもそう思っていたのは俺だけらしく、エリスやオスカー、コンラッドにはちゃんと伝わっていたらしい。


 オスカー曰く、「正確に伝えたら断るかもしれなかったからじゃない?多分、何としてもミナトに政務官になってほしかったんだね」とのこと。


 ぐぬぬ……、確かにそれはある。しかし、これはとんだミスリードだよ!


 ……はぁ、とため息をついているとリンがニコニコとやって来た。リンはエリスと一緒に来客席に座っていたのだ。今日はリンも子供用の立派な服を着せてもらっておめかししている。


「ミナト、にんめいしき、すごくカッコ良かったよ~!服もにあってた~」


「ありがと、リン。リンも可愛いね~!でも俺のこの服キチキチで結構締め付けてくるんだよね。割と窮屈だからいつもの格好がいいよ。やっぱり」


 貴族の服って結構動きを制限されるのね。まぁこれは式典用の礼服だからかもしれない。リンもワンピース(?)を着て最初は緊張してたみたいだけど、式典が終わったらすっかりいつものリンだ。


「ミー君はまだいいわよ。私なんてお腹周りをギュウギュウ締められたんだから。もう少し、地味なドレスなら良かったのに、ルカ様ったら「これが叔母上にはピッタリだ」なんて言うから。もう、若くないのに……」


 そう言ったのは豪奢なドレスに身を包んだエリスだ。ドレスは体型が強調される。豊かな胸を強調するようなデザインで衆目を集めていた。ウエストを細く見せる為にかなりきつく締め上げられたそうでこっちはこっちで大変そうだ。



挿絵(By みてみん)



「そんな事ないよ!エリス、綺麗だよ!このあいだ見た女神様と同じくらい!ね、ミナトもそう思うよね!?」


「うん。すごく綺麗だと思うよ、ドレスもエリスも……。良く似合ってる」


 そう言った途端エリスは、顔を赤らめて「もうっ!そんな事言われたら照れちゃうじゃない!」と言いながら俺の肩をパシパシ叩く。


「ははは、母さんだけじゃないよ。ミナトもよく似合ってる。それにほら!ミナト!」


 俺達の様子を見ていたオスカーが、不意に俺をエリスの隣に並ばせる。


「思った通りすごくいい!お似合いのカップルって感じ!リンもそう思うだろ?」


「うん、お似合い!だね!」


「あ、そ、そうかな……?」


「そうだ!せっかくミナトも母さんも着飾ったんだし「シャシン」を撮ろうよ!」


 オスカーが手をポンと叩く。


「え、しゃ、写真?」


「そうだよ!母さんもミナトもこんな衣装めったに着ないんだしさ。記念、記念!」


 オスカーに言われるまま、エリスに立ってもらい写真を撮る。 


「お~!見たままの風景だ。やっぱりミナトのスキルはすごいね」


「そ、そう?でもこんな感じで残ると、ちょっと恥ずかしいわね……」


 現像された写真にはドレス姿のエリスが綺麗におさめられていた。うん、これはいい記念になるな。


「じゃあ、次は二人で撮らないとね!ほらミナト!並んで並んで!」


「お、おう」


 ちょっと強引なオスカーに、されるがままにエリスの横に並ぶ。指を手カメラの形にして……。


「んじゃ、いくよ」


「うん!」


「はい、チーズ!」


 撮った写真を現像してみると……。


「おっ!二人ともいい感じじゃない!見てみて!」


 オスカーが現像された写真を俺達にも見みせながら、満足そうに頷いている。


 ……!?てかこの写真!貴族の服とドレスって、これじゃまるで結婚式の写真のようだな!


 い、いや、落ち着け!こっちでは正装なんて普通の貴族の服だし!別に他意はない!そう、記念、記念!


 と頭を振り周囲を見回すと、オスカーの隣で佇むリンがいた。


 ……あ。


「エリス、もう一枚撮りたいんだけどいいかな?」


「うん!ミー君ならそう言うと思ってた」


 そう言うと「リンリン」と言いながら手招きをする。嬉しそうにやって来たリンを抱えると、俺の肩に乗せた。


「じゃあ、いくよー。はい、チーズ!」


 そして写真を現像すると……。


「えへへ!三人いっしょ~!」


 リンが満面の笑みで、できた写真を眺めている。


「ははは、やっぱりリン入ると表情が違うね。みんな楽しそうだ」


「オスカー、せっかくだから君も一緒に……」


「いや、僕はいいよ。それよりさ……」


 と、オスカーが言った時、部屋のドアをノックする音が聞こえてきた。


「ミナト、グラントだ。入っても構わないか?」


「もちろんですよ。グラントさん、どうぞ」


 ドアを開けグラントが入ってきた。そして、彼は一人の男を連れていた。


「ミナト、政務官就任おめでとう」


 そう言いながら手を差し出しガッチリと握手をかわす。


「はい。ありがとうございます。グラントさん」


「今日からはお前が俺達の上に立つわけだ。これからはミナト様とお呼びしたほうがいいかな?」


「勘弁して下さいよ!今まで通りでお願いします!それに俺が一番、戸惑ってるんですから」 


「ははは、こちらとしては以降の村の陳情や報告は、ミナトを通せばいいからずっと楽になるがな。これからよろしく頼むぞ」


「ええ、何かあった時は村側に立つつもりです。俺もミサーク村の一員ですから」


「ふふ、頼もしいな。村の皆も喜んでいたぞ」


 グラントが笑顔で俺の肩を叩いた時だった。


「政務官は物事を常に平らにして見なければ、政策を見誤ります。就任早々、一方に肩入れする発言は感心しませんね」 


 グラントの後ろに控えていた男が口を開いた。


 長身できれいに整えられたオールバック、そしてビシッと決まった礼服を着た男。いかにも官僚然とした眼鏡と鋭い目つきが印象的な男だ。


「おっと、ミナトに紹介していなかったな。こちらは……」


 グラントがその男を紹介しようとした時、彼はスッとグラントの前に進み出てきた。


「こうして話をするのは初めてですね、ミナト政務官。改めまして、バーグマン領の財政管理を仰せつかっております、レビンと申します。以後よしなに」


 そう言うと俺の手を握り、型通りの挨拶をした。


「あ、ご丁寧に。ミナトです。こちらこそよろしくお願いします」  


 こちらも覚えたての挨拶を返す。


「さて、私がミナト政務官の元を訪れたのは他でもありません。これからのミサーク村、及び大森林の開発についてです。まず最初に言っておきます。ネノ鉱山再開の為の資金はバーグマン家では一切支出できません。これを肝に命じて頂きたい」


 え?資金が出ない……?は?どういう事?


 

 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇



 任命式も終わって散会となり、普段着に着替え、館を出た俺達はマーシュ亭で食事を取ることにした。

 

「何よ、あのレビンとかいう役人の態度!あんな言い方しなくてもいいのに!」


 領主の館を出てからというものエリスは、ずっとぷんぷん怒っていた。レビンという男、見た目は男版クローイといった感じだが、「クール」な見た目とは裏腹にあたたかみのあるクローイに対して、レビンはただ単に「冷たい」という印象しか抱かなかった。とにかく杓子定規で融通がきかなそうな感じだった。


「「鉱山再開の資金は出せない。そちらで捻出せよ」か……。まったく難儀な課題を出されたもんだな」


ビールのジョッキを片手にグラントがため息をつく。その横ではリンがテーブルに並べられた料理に笑顔でぱくついている。……あ、そのローストビーフ美味しそうだな。俺も後で注文しよう。


 レビンからネノ鉱山再開の為の準備を整えるように命じるルカからの命令書を渡された。封印を解除してもすぐに再開、というわけにはいかない。まずは老朽化した設備や住居のメンテナンスを行い、安全が確認されて初めて再開できる。


 まずはその準備段階としてメンテナンスの為の資金が必要なのだが、それをミサーク村で負担しろ、という訳なのだ。その期限は封印の解錠式が行われる一ヶ月後まで。


「「どうしてもとなれば政務官の権限で税率を上げても構わない」ですって!?何を考えてるの、あの男!鉱山の為ならミサーク村の人間は絞るだけ絞れっていうの!?」


「でも母さん。政務官の命令で村の税率を変えられるってこれは凄い事だと思うよ。話を聞いたらほぼ領主と同じ権限が与えられてる。おそらく「権限を与える代わりに自分の裁量と才覚で資金を作れ」って事なんじゃないかな?」


 ほっぺを膨らませているエリスを宥めるようにオスカーがフォローを入れる。


「しかし、例え税率を上げようとミサーク村の人間の数はたかが知れてる。焼け石に水だろう。何より村民の反発は必至だ。ミナト、どうするつもりだ?」


 グラントに水を向けられるまでもなく、領主の館でレビンに告げられた時から考えてはいた。ヒューゴからも現在のバーグマン家には資金があまりないと聞いている。


 さらにルカたっての要望により、カンナの細工で幻術の装飾品を作る際の支援が決まった。その支出のせいもあるので俺もあまり強くは批難できない。


「一応、策は考えています。でも、まず一回コンラッドさんに相談しようかと。案がまとまればミサーク村に連絡をいれますよ」


「そういえば、コンラッドはミナトの専属商人になったんだったな。……そうだな、商人なら良い知恵があるかもしれん」


「はい。なので資金については近いうち連絡します。村の人達にはなるべく負担がないようするつもりです」


「ほう。もう、そんなところまで考えていたのかミナト。さすがだな!ミナトも着任早々大変だろうが、よろしく頼むぞ」


 一同が頷く。ひとまずこの話は終わり、ようやく落ち着いたところでゆっくり食事を味わうことができた。


「ところでミナトに言わなきゃいけない事があるんだ。僕は近々村を出て王都に行くつもりなんだ」


「え……えええ!?オスカーが王都に!?」


「うん。母さんがミナトの家に引っ越すタイミングで僕も出発しようと思ってる」


 オスカーは前々から王都へ行きたかったのだと言った。


「王都で役人をしながら最先端の知識や技術を学び、吸収した上でミサーク村に戻り、得た知識で村に貢献したい」のだと。今までは村から出れなかったがそれも解除され、エリスも俺とまた暮らすことになった為、安心して旅立てると話した。


「現状オスカーが抜けるのは、村長の俺としても非常に痛い。だが本人の強い希望でな」


「村の中だけだと、どうしても知識が限定されてしまうからね。王都で色んな事を吸収して、なるべく早く戻るつもりだよ」


「オスカーは火魔法が使えるからな。オスカーとエリス。主力が二人も抜けるのは防衛隊としても厳しい。早急に戦力の底上げをはからねばな」


「えっ!?オスカー、魔法が使えたの!?」


「うん、前から火魔法の素質はあったんだ。ミナトが村を出てから修行を始めたから、まだまだ全然モノにはなっていないんだけどね」


「色々な経験をするのは大事よ。オスカーがやりたいと思った事だもの。母さんは応援するわ!」


 エリスはちょっと寂しいけどね!と笑いながらオスカーの王都行きを後押しした。


「……そうだよね。それがオスカーのやりたい事なら……。でもオスカー。少し懸念事項があるんだ。よく聞いてくれ」


 周りに聞かれないよう声を落とし、ダニエルの背後に王家に近しい人物がいた事を説明する。


「……なるほどね。でも心配はいらないよ。地方からでてきた人間が就くことのできるのは精々、下級役人だし。大丈夫、下級役人は王宮に出入りできるような身分じゃないからさ」


「それなら大丈夫……かな?でもくれぐれも気をつけてくれ」


「ああ、わかったよ。ありがとう。でも、まずは試験に受からなきゃなんだけどね。もうすぐ王都で採用試験があるんだ」






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