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追放召喚者のダンジョンには、最強竜と魔狼(もふもふ)が住んでいます ~魔力SSSで始めるスロー・ダンジョンライフ~  作者: 黒猫ている


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33:冒険者の夢

「ジェレミーさん、昨夜いつ戻ってきたんですか!?」

「大分遅い時間だったから、君達には声を掛けなかったんだ」


宿屋で迎える初めての朝、朝食の席。

黒パンを齧るジェレミーさんの指先はどこか力がなく、目の下には薄く影が落ちていた。

ギルドでよほどたっぷり絞られたんだろうか。


「大丈夫でしたか?」

「ああ……ただ、俺を罠に嵌めた冒険者達は、早々にこの街を出ていったらしい。彼等の供述と、俺の証言とどちらが正しいか、確認を取る為に全国の冒険者ギルドに彼等の所在を確認することになった」

「はー……」


なんだか、大変そう。

ジェレミーさんの言っていることが本当なら、彼等は立派な犯罪者だ。

一種の指名手配みたいなものなのかな?


「あとは、どうもギルドもあのダンジョンに興味があるみたいでね」


ジェレミーさんの言葉に、それまで興味が無さそうだったヴィルベルが、片眉を上げる。


「興味……ですか?」

「ああ、俺が行った地下19階までの地図と、出てくるモンスターと……あいつらからも報告が行っていたようだが、それを細かく照らし合わせていたよ」


ふぅむ、冒険者ギルドの手に地下19階までの地図が渡ったとなれば、そこまでは冒険者達がスムーズに探索出来るようになるのかもしれない。

まぁ、地下20階ではダンジョン最初のボス──ミノタウロスが待ち構えている。

手練れの冒険者でも、そこそこ手こずると思うのだけれどね。


「やっぱり、ギルドってダンジョン攻略には力を入れているんだ……」

「それは勿論」


私の言葉に、何を今更とばかりにジェレミーさんが頷く。


「ダンジョンを手に入れることが出来れば、大いなる力を手に入れると言われているからね」

「大いなる力……」


確かにアイテムクリエイトも、モンスタークリエイトも、人が手にするにはあまりに大きな力だ。

まぁ、その力を手に入れた私が言うのもおかしな話ですが。


「砂漠を越えた遙か南方の地では、ダンジョンを手に入れた英雄が国を興したと言われているよ」

「へぇ」


国を興す、かぁ。

確かにアイテムは生産し放題だし、物資も金も自由になるとくれば、それくらいのことは出来るのかもしれない。

まぁ、全ては当人の魔力次第だけれど。


「つまりは、ダンジョンというのは手に入れれば一儲け出来る対象として考えられている訳だな?」

「ああ」


おお、珍しくヴィルベルが真面目に話を聞いていた。

ことダンジョンが関わっているだけに、彼も放ってはおけない話題なのだろう。


「人間がダンジョンを手に入れることなど、そうないだろうに」

「そうなの?」

「ああ、我等竜族や力のある魔獣ほど、極地を求める。ダンジョンの奥深くなど、この上無い好条件だからな」


もし人間がダンジョンを攻略したとしても、すぐに力ある存在に奪い返されてしまうってことなのかな。


「それでも、そこにあれば手を伸ばそうとする……我等人間にとって、ダンジョンは果ての無い()なのですよ」


そう言って笑うジェレミーさんの顔は、いつもよりあどけなく、幼く見えた。

彼も冒険者の一人、ダンジョンに対する思いや憧れは、人一倍強いのかもしれない。


……そんなダンジョンのマスターが、私で良かったんだろうか。

今更ながらに、身に余る力を手に入れてしまった気がする。

もしジェレミーさんが悪い人だったら、すぐさま私の寝首を掻いて、ダンジョンを手に入れることも出来たはずだ。

──だからこそ、ヴィルベルがいまだジェレミーさんを警戒し続けているのかもしれない。


ま、大丈夫でしょ。

私にはガルムもヴィルベルも居るし、ダンジョンにはレムスが残ってくれている。

ジェレミーさんは悪い人じゃないし、ダンジョンの守りは万全なはずだ。


今は、心置きなく冒険を楽しもう!




という訳で、再びやってきました、冒険者ギルド。

昨日の騒動を覚えていたらしい数人にギョッと驚かれたりしたけれど、気にしない、気にしない。

怖いのはヴィルベルであって、私ではないのです。

私達がギルドに入るなり、昨日の三人組がそそくさと出ていったようだけれど、知ったこっちゃないもんねー。


という訳で、依頼が張り出された掲示板に向かう。

朝一ということもあって、多くの紙が貼られていた。


「うーん、どんな依頼が良いんだろう」

「片っ端から討伐していけばいい」


まーたヴィルベルは脳筋全開だよ。

登録したての私はFランクだから、まだ強い魔獣の討伐なんて受けられないんだって。


「Fランクでも、俺と一緒なら色々受けられるよ」

「え、そうなの?」


ジェレミーさんの申し出に、思わず顔を上げる。

どうやらベテランが付き添うことによって、低ランクの冒険者であっても、Cランクの依頼までは引き受けられるらしい。


「ってなると、どうしよう……」


壁に貼られた多くの紙に、目を向ける。

掲示板は依頼のランクと種別ごとに分かれていて、さらには難易度が記載されている。

そこに書かれている内容に、細かく目を通していたら──、


「これでいいだろう」


ヴィルベルが、迷うことなく一枚の依頼が書かれた紙を剥がした。

紙を受け取って目を落とした瞬間、そこに並んだ星の数に、思わず息を呑む。


Cランク冒険者向けの中で、最も難易度の高い依頼──★4の討伐依頼だ。

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