表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放召喚者のダンジョンには、最強竜と魔狼(もふもふ)が住んでいます ~魔力SSSで始めるスロー・ダンジョンライフ~  作者: 黒猫ている


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/39

28:冒険の予感

今日も今日とて、やってくる冒険者達の姿を管理室のモニターでぼんやりと眺めている。

戦闘シーンを目の当たりにするのは、やっぱりまだ心臓に悪いので、私が見るのは主に入り口付近の映像。

常連の顔もあれば、初めて見る冒険者の姿もある。

目新しいダンジョンに緊張する者、怯えを隠せない者、そして目を輝かせている者──反応は様々だった。


「いいなぁ……」


そんな彼等の姿が羨ましくて、ついポツリと呟いてしまった。

私の隣に座ってヒーロー漫画を読んでいたヴィルベルが、顔を上げる。


「何がいいんだ?」

「あ、いや、その……」


問われて、ついしどろもどろになってしまう。

何が良いとか考えていた訳ではない。

ただ漠然とした呟きなのだが、突っ込まれると、私は何を羨んでいるのだろう。


「自由に……外に出れること?」

「お前だって、出ようと思えば出られるだろう」


……ヴィルベルの言葉に、思わずまじまじと彼を見つめてしまう。

外に出るなんて言ったら、止められるか、あるいは物凄い護衛を付けられるんじゃないかと思っていた。

前にもテイマーとして冒険者を~なんて話題が出ていたが、本当に、それが実現出来るのだろうか。

モニター越しに見る彼等のように……私にも、冒険が出来る……?


「本当に、出ても大丈夫なの?」

「何か問題があるのか?」


問題があるかと聞かれたら、よく分からない。

そもそも、ダンジョンの仕組みというのが私には理解しきれていないのだ。


「ダンジョンマスターって、ダンジョンの中に居なくても平気なの?」

「問題はないはずだ。ただ、不在の間にダンジョンが攻略されてしまえば、ダンジョンマスターの座は奪われることになるだろうが」


ヴィルベルの言葉に重なるようにして、もう一つ、別の声が響いてきた。


「ですから、多くのダンジョンマスターはダンジョンを離れることを良しとしないのです」


気付けば、管理ゴーレムのレムスが、扉からこちらを覗き込んでいた。


「マスターの魔力には相当な余力がありますし、もし難敵が現れたとしても、追加でモンスターをクリエイト出来ますから、よほどのことがなければ問題ないとは思いますが」

「そっかぁ」


よほどのことと言われて、思わずヴィルベルを見遣る。

なるほど、こんな規格外が来ない限りは、問題なしってことね。


「どちらかというと、外に出たマスターの安全の方が心配になりますが……」

「そんなものは、心配する必要がない。この俺がついている」


レムスの言葉に、ヴィルベルが鼻を鳴らす。


「保護者同伴でしょうか」

「どうやら、そうなりそうね」


ヴィルベルだけではない、私がダンジョンの外に出ると聞いたら、ソファーでお昼寝中のガルムもきっと一緒に来てくれるだろう。

ヴィルベルは人型になれるし、ガルムは大きさを変えることが出来る。

うん、これなら街に出ても問題なさそうね。


「それなら……一度くらい、この世界を見てみたいなぁ」

「冒険者がしたいという訳ではないのか?」

「もちろん、冒険者にも興味はあるんだけど」


ヴィルベルの問いに、苦笑混じりに答える。


「王城の召喚された部屋以外は、街並みも、街道も、全部馬車の中から眺めていただけなんだよね。だから、このダンジョンの外のこと、私は何も知らないんだなぁって……」


……ふと気付くと、二人が無言でこちらを見つめていた。

ちょっと、なんで何も言わないの。

いきなり無言になられると、なんだか気まずいじゃない。


「……そうでしたら、マスターを送り出さない訳にはいきませんね」

「ああ」


レムスも、ヴィルベルも、何やら頷いている。

二人とも、かなり重く受け止めてない? 大丈夫?

単に私は「外が見てみたいなー」ってだけなんだからね。


「……となれば、ジェレミー殿に頼むのが一番でしょうか」

「あ?」


ジェレミーさんの名前が出た瞬間、ヴィルベルの眉毛が不機嫌そうに吊り上がる。


「どうしてここであの男が出てくる?」

「外の世界、ましてや人間の街となれば、彼が一番詳しいでしょう」


レムスの言葉は、間違ってはいない。

このダンジョンに居る仲間──精霊やエルフは、人間の街には疎いものね。

死の大地を根城としていたヴィルベルだって、人型は取れても、人間社会には疎いだろう。

今となっては、この世界より日本の事情の方が詳しいんじゃないかしら。


「ヴィルベルなら、何か問題が起きても“相手を倒せば全てOK”とか言いそう」

「それのどこがおかしい?」


そう考えること自体が、もう間違っているんだって。

“暴力は全てを解決する”じゃないんだから。




という訳で、やってきました地下90階!

突然現れた我々を、ジェレミーさんは笑顔で出迎えてくれた。


「ジェレミーさん、一緒に冒険に行きましょう!」

「……は?」


そんな彼の表情が一瞬で凍り付いたのは、言うまでもない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
以下の小説も、どうぞよろしくお願いします!
(イラストをクリックすると、販売/掲載ページに飛びます)
双子の妹に殺された姉、二度目の人生は初恋のイケおじ王弟にフルベットします! 1 表紙画像
ネトコン13入賞の、小説家になろう連載作品です!
小説版はこちら
どうして私が出来損ないだとお思いで? 表紙画像
小説家になろうに掲載していた短編を、書籍化していただきました!
小説版はこちら
二股王太子との婚約を破棄して、子持ち貴族に嫁ぎました 表紙画像
ピッコマノベルズ連載中。
捨てられた公爵夫人は、護衛騎士になって溺愛される ~最低夫の腹いせに異国の騎士と一夜を共にした結果~ 表紙画像
ピッコマノベルズ掲載。(完結済)
魔族生まれの聖女様!? 表紙画像
ピッコマノベルズ掲載。(完結済)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ