表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放召喚者のダンジョンには、最強竜と魔狼(もふもふ)が住んでいます ~魔力SSSで始めるスロー・ダンジョンライフ~  作者: 黒猫ている


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/39

幕間:王太子の焦燥

謁見の間は、静まり返っていた。

彼等の報告が、王太子の逆鱗に触れることは分かり切っていた。


無言で頭を垂れる騎士達。

そんな彼等を、ロドニー王国王太子エリオットが憎々しげに睨み付けた。


「もう一度言ってみろ」

「は、エルフの里を再度訪ねたところ──既に、もぬけの殻でした」


ギリリと、エリオットが歯軋りする。


「どうして、時間を置いた?」

「は、彼等にも、考える時間が必要かと思いまして……」

「──手ぬるい!!」


叩きつけられた拳が、玉座の肘掛けを軋ませた。

騎士達の先頭で、騎士団長ダグラス・ハーロウが頭を下げる。


「有無を言わさずに、連れてくれば良かっただろう!!」

「誠に申し訳ございません」


王太子の怒りが収まるまで、ただひたすらに頭を下げるのみ。

逆らうことは、許されない。

国王が病に伏せる今、この国の(まつりごと)は王太子であるエリオットに委ねられているのだ。


「いいか、エルフ共を草の根を分けてでも探し出せ!!」


エルフ族は、魔法に長けた種族だ。

精霊の助けを借りて彼等が繰り出す魔法は、百人力と言われている。


だが、エルフ族は排他的な種族だ。

他種族の為に力を貸すことなど、滅多にない。

その大半がエルフの里に篭り、人間達からは隠れ暮らしている。


ごく稀に、時の権力者がエルフ族の助けを借りた記録が残されていた。

その恐ろしいほどの魔法の威力は、他の追随を許さない。


「なんとしてでも、帝国より先に、我等が隷属しなくてはならないというのに……」


エリオットの呟きに、ダグラスは内心でため息を吐いた。


(これが、この方の本音なのだろう……)


そんなのは、分かり切っていたことだ。

魔王への備えなど建前で、王太子エリオットの頭には、帝国への競争心、敵愾心しか存在しない。


まだ見ぬ魔王より、目の前の敵国。

彼にとって、魔王降臨の噂は軍備を増強する為の体の良い言い訳でしかなかった。


「良いな、必ずやエルフを連れてくるのだ!」


ダグラスが深々と頭を下げる。

エリオットからは見えぬその表情は、苦渋に満ち溢れていた。


(次の犠牲者はエルフか……大義名分の元に、我等はどれだけの犠牲を払えば良いのだ?)


異世界からの勇者を召喚する為に、多くの罪人の命を捧げた。

そして呼び出した異世界の住人は──彼ダグラスが自ら魔の森に放逐した。


今更ながらに、あの女性の怒りと絶望に満ちた黒い瞳が脳裏に焼き付く。


(恨まれているだろうか……いや、もう彼女は恨むことすら出来ないのだな……)


か弱い女性が一人、魔の森で生きていけるはずもない。

自分を恨んでくれとさえ言えない。

あとどれだけの罪を重ねたら、解放されるのか……いや、そもそもこの日々に終わりは来るのか。


謁見の間を立ち去る足音は、酷く重かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
以下の小説も、どうぞよろしくお願いします!
(イラストをクリックすると、販売/掲載ページに飛びます)
双子の妹に殺された姉、二度目の人生は初恋のイケおじ王弟にフルベットします! 1 表紙画像
ネトコン13入賞の、小説家になろう連載作品です!
小説版はこちら
どうして私が出来損ないだとお思いで? 表紙画像
小説家になろうに掲載していた短編を、書籍化していただきました!
小説版はこちら
二股王太子との婚約を破棄して、子持ち貴族に嫁ぎました 表紙画像
ピッコマノベルズ連載中。
捨てられた公爵夫人は、護衛騎士になって溺愛される ~最低夫の腹いせに異国の騎士と一夜を共にした結果~ 表紙画像
ピッコマノベルズ掲載。(完結済)
魔族生まれの聖女様!? 表紙画像
ピッコマノベルズ掲載。(完結済)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ