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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学2年

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懲りない人達

「実は、厚生労働省の役人の方からどうしても回復術を掛けてもらいたいとの依頼が来ています。

退魔協会からは退魔師に依頼の強制は出来ないとお伝えしたのですが、どうしてもお会いして直接依頼を伝えたいと強く要望されたので今日のミーティングを手配いたしました」

退魔協会に呼び出された碧と私が、退魔協会の3階にある応接間っぽい高級ランクな会議室で退魔協会のお偉いさんと、スーツを着た初老の偉そうな役人っぽい男と顔を合わせていた。


「回復師がその力を退魔における負傷以外には使うのは違法で、罰則の対象になるのはご存知でしょう?

何と言っても厚生労働省が医療業界に頼まれて主導した規制なんですから。

私に回復術を依頼するのでしたら法規制を改正してから依頼を出して下さい」

碧が興味なさげに言い捨て、立ちあがって出て行こうとした。


「待ちなさい。

国の為に働く人間への回復術なら規制対象外とする例外規定がある」

偉そうに役人のおっさんが言った。


「それが?

私が幼い頃に癒したいと考えて修行を積んだ対象は近所のご老人と言ったようなそこら辺にいる一般市民です。

金がある組織の既存権益を守る為に無駄な規制を作るような役人や政治家は元から対象外ですよ。

一般市民を癒せるなら、政治家や役人から高額な治療費をふんだくってその他の人々の治療費を安くする為に利用すると言う手もまだありましたが、一般の市民への回復術の使用は一律違法扱いなんですから、助けたく無い相手に手を差し出す理由が無いでしょう?

もう一度言いますが、私に回復術を掛けてもらいたいなら法改正してから来るんですね」


例外規定?!

まじかぁ。

前の政治家のおっさんは違法行為だと碧が言った時に反論しなかったから、もしかしてこの例外規定はあまり知られて居ないのかな?


まあ、政治家と役人だけは助けられるけどその他多数は駄目なんて、自分達だけは便利に治してもらいたいって言う本音丸出しな例外規定を政治家にせよ役人にせよ広く知らしめる訳がないか。


部外者からしたら図々しすぎて目眩がしそうだけど。


「麻薬を取り締まる為に日夜身を粉にして働いている当省の人間が、呪われたんだ。

癒して当然だろうが。

拒否するならば、呪詛を掛けたと告発させるぞ!」

おっさんが顔を真っ赤にして怒鳴り始めた。


私に呪詛を依頼したおっさんは出て来てないけど、この男の部下なのかね?

それとも何か弱みを握られて脅されているのか。

それこそ息子が麻薬を使っていたか売ろうとしていたのを見つけて、『貸し』として握りつぶしたぐらいの事はありそうだ。


「先日私の事務所の人間に違法な呪詛の依頼を持ちかけた男の話ですか?

当然違法行為だから断ったとの話ですが、何やら後で後悔すると言った旨の脅しがあったので私の氏神さまが彼女のえにし経由で悪意のある行動を取ろうとしたら天罰が下るようして下さったのですが・・・もしもその男や部下が体調を崩したのだったら天罰ですよ。

退魔協会の方で呪詛か確認して貰って下さい」

碧が部屋に同席した協会のお偉いさんの方へ目をやった。


「・・・依頼がありましたら勿論確認致します」

ゴホっと軽く空咳をした後、お偉いさんが言った。


辛いねぇ。

お役所に忖度して『呪詛だ』と判定したい所だろうけど、そんな事したら天罰が下るのは確実だからねぇ。

正直に『神から下された天罰です』と言うしか無いだろう。


でも、これって碧が白龍さまの愛し子だから通る正義だよね。

もしも普通の退魔師が偉い役人や政治家に目をつけられて、普通の体調不良を呪詛だと言いがかりで冤罪を掛けられても、退魔協会があっさり冤罪側に協力しそうだ。


普通の科学技術で無実を証明できる冤罪ならまだしも、呪詛とか魔術なんて科学的に鑑定する方法が無い。

日本で唯一の権威的機関である退魔協会が権力側に忖度したらどうしようもなくなりそうだ。


今世って碧に会えて滅茶苦茶ラッキーだったな。

そうじゃ無かった場合は下手をしたら折角使える魔術をほぼ完全に隠蔽して生きていく羽目になっていたかも。


『法を守る立場にありながら違法な行為を強要しようとした上に権力を悪事に使おうとした公僕なぞ、存在する意義もない。

心を入れ替えて心から反省して謝罪しなければ、一生天罰は消えぬとあの男に伝えるが良い』

突然、部屋の半分ぐらいの大きさの白龍さまが現れ、役人のおっさんに言い渡した。


うわ〜凄い神気だ。

魔力とも違うこれってやっぱり人に長年崇められると身につくものなのかな?

それとも龍って元々神気を持っている存在なのだろうか。

前世では竜も龍も見た事がなかったから分からないね。


普段はこう言うのを抑えているんだなぁ。

以前聖域で本体サイズを見た時にもここまで感じなかった。

まあ、あの時は瞬間的で、かつ境界の向こう側だったけど。


役人(と退魔協会のお偉いさん)が顔色を無くして頭を下げた。

流石に土下座はしないか。

おっさんについてきた若い役人みたいのは床に土下座してる。


取り敢えず、これでこの騒ぎは治るかな?

いい加減、特権意識の強い役人とか政治家は消えてほしい。



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