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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学4年

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綺麗だわぁ

「なんかかなり怒り狂っているし荒れているから、私が話を聞いて少しでも鎮めて、碧が清める感じで良いかな?」

 慰霊碑の残骸を見て、碧に提案する。

 私でも碧でも力尽くで昇天させるのは可能だが、それなりにこの地に古くから所縁のある霊の残滓なので、鎮めてから浄化した方が場の雰囲気が良くなるだろう。


 折角の観光名所なのだ。

 来た人が古刹の静けさや過去の残響を楽しめるように、根こそぎ悪霊を消し去って単なる無にしちゃうよりは、納得してからの浄化の方が良いと思う。

 多分だけど。


「そうしよう」

 碧が頷いたので、まずは私が先にロープで区切られた部分に踏み入る。


『何をしに来た!!』

『怨む恨む呪ってやる……』

『命を賭けて一族の名を守って異国で戦ったのに国許でぬくぬくとしていた分家に家と富を乗っ取られるなんて許さん許さん許すものか!!!』

『娘は渡さぬ!』

『折角眠っておったのに起こすとは、愚かな。命で贖え』

 何人かの霊の怒りに満ちた念がぶつかって来る。

 う〜ん、慰霊碑に封じられていた悪霊の恨み辛みが一気に活性化したのかな?

 古い悪霊の筈だけど、妙にフレッシュな怒りだね〜。


『もう分家の連中も皆、骨も残らないぐらい遠い過去に死んでいるわよ。

 昔の事にいつまでも囚われずに、さっさと次の生へ行く方が勝ちじゃない?』

 今の世の中のイメージを伝える感じに念を浸透させる。

 もう何百年も前の話だからねぇ。

 たとえ悪事の報いとして地獄に行ったとしても、仇だった分家の人間達はもう普通に生まれ変わってるでしょう。

 死んでから次の生をスタートするのにどのくらいの年月が掛かるのかは不明だけど、何百年も経って何度か生まれ変わっていたら、ワンチャンそろそろ罪を贖い終えて人間になっているかも? 


『我らの眠りを叩き壊し、記念にと岩を持って帰った異国の連中はどうなる』

 分家を呪っていた霊達は私からの情報を吸収するためかちょっと静かになったが、慰霊碑を壊した連中に対する恨みを呟いていた霊は納得していなかったようだ。


 うわぁ。慰霊碑を壊して記念に破片を持って帰ったんだ?!

 マジか〜。

 壊すだけでも非常識だけど、土産目当てだったとは。

 アホすぎて言葉もない。


『どうせ持って帰った岩にも瘴気や恨みがべったり染み込んでいるんでしょ?

 今頃体調不良で死にそうな思いをしているだろうから報いは受けているわよ』

 大元はここの悪霊と同じだけど、悪霊って手を出されると分裂して増えるからねぇ。

 破片を持って行ったんだったら絶対にそっちにも悪霊の念がくっついて行ったでしょう。

 そしてそれらはこちらの慰霊碑の悪霊を祓っても残る。


『ふむ。

 まあ、お主らに抵抗しても無駄なようだからな。

 大人しく眠りにつくか』

 爺さんっぽい念が諦めた感じに応じた。

『碧に浄化されたら本当に気持ち良く清められるから、このまま来世へ穏やかにいくと良いわよ。

 悪戯をした不届きものは毎日祟りに苦しんでいるだろうし』

 まあ、そっちも誰かに祓われているかもだけど、それは言わぬが花だよね。


『そうか、子供が異国で愚行を出来るほどに平和な世の中になったのか』

 最後まで納得していなかった霊が重々しく呟いた。

『もうこの国では餓死する人も普通の風邪で死んでしまう人も殆どいない世の中になったわよ〜。

 早いとこ生まれ変わって、そんな人生を謳歌してみて』

 まあ、今直ぐ昇天したところで次に今の日本で生まれるかどうかは知らないけど。


 私の経験から考えると、全然知らない剣と魔法な世界とか、SFな世界に生まれ変わる可能性も高そうだよね。


 もしくは、遥か先の未来の地球で、それこそ核戦争で一度滅びた後に猿が支配している世界になっているかもだけど。

 まあ、猿が支配している世界でも、進化した猿に生まれ変われば問題ないよね?


「と言う事で、よろしく」

 霊が静かになったところで碧に清めを任せる。


 慰霊碑がかなり上手いこと悪霊を封じていたのに、それを乱暴に割って砕いたせいでここら辺がかなり穢れていたのだが、碧が祝詞を唱え始めたらそれが煌めきながら天へ消えて行く。


 秋晴な深い澄んだ青空に、キラキラが舞い上がって行くのはめっちゃ綺麗。

 これを携帯で記録できたら良いのになぁ。


 まあ、景色とかって実際に自分の目で見る方が小さな携帯やカメラの画面に閉じ込めて後から見るよりもずっと綺麗だからね。

 変に記録しようなんて欲をかかずに、この清らかな光景で心が洗われる気分を楽しもう。

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― 新着の感想 ―
だいぶ殺してそうな上に悪霊化してたら 来世は期待出来ないって事は内緒ですね
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