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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学4年

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争いと恐怖

 結界で男の悪霊を部屋の中央に留め、まずクロゼットの扉を開く。ここに遺体が無かったら……家の中を捜索することになる。

 悪霊からの繋がりを辿れば大体の位置は分かる筈だが、積み上がった段ボール箱とその上に積み上げられた袋いっぱいのゴミをかき分けながら発掘する羽目になると考えると、クロゼットにあって欲しいと祈るような気持ちで中を見たら……。


 黒い大きなビニールのゴミ袋とガムテープでぐるぐる巻きにされた何かが折りたたんでクロゼットの中に押し込まれていた。

 多分、これを開けたらそこにいる悪霊の遺体とご対面する事になるんだろうなぁ。

 遺体とご対面はあまり嬉しく無いが、今回はゴミの山を掘り進めて探さなくて済むのでめっちゃ嬉しい。

 と言うか、家中どこも足の置き場も無いほどゴミだらけなのだ。

 この部屋以外にあったら、そこへ掘り進む為に途中の段ボール箱を外に出していかなければならなかっただろう。とても私らと横田さんだけでは出来そうに無い。追加労力の投入を待つ羽目になったかもと思うと、本当にマジで良かった〜。


 そっと黒いビニールに軽く手を触れて中身が遺体なのを確認して、横田さんの方を向く。

「どうやら行方不明になった長男はここに居たみたいですね。

 取り敢えず亡くなった時の情報を得つつ祓いますから、その間に下で警察へ連絡していただけます?」

 10年前の遺体だろうと、呼ぶのは警察だよね?

 多分その次はこの家の相続人だと思うけど。

 息子が死んだからその親の遺産を受け継いだのだ。息子の埋葬ぐらいはやってくれると期待したい。

 そう言えば、最近店で売ってるゴミ袋って基本的に半透明で中が薄ら見えるのが殆どだけど、黒いゴミ袋なんてどこで入手したんだろう?

 遺体の顔が見えるのが嫌で黒いビニール袋を選んだ気持ちは分かるが、息子を殺した後に態々これを探して入手したのかな? 殺す前だったとしたら計画的な殺害だったと言うことになるが。


 横田さんが出て行ったところで、悪霊の方に近付き、手で触れた。

 触れると言っても実体は無いけど。


 うん。

 やっぱ長男だった。

『親なんだから、息子に金を渡すのは当然の義務だろう!!』

『ちょっと何度か殴って家の中の物を売っぱらっただけなのに、殴りやがって!』

『子供の頃のバットなんか捨てずにずっと取っておくぐらいだったら金を出せば良かったのに』

『閉じ込める為に外から板を釘付けるなんて、ふざけるな!』

『出しやがれ!』

『食う物寄越せ!』

『水……!』

 最後は餓死したようなのに、意外と元気一杯な文句が多い悪霊だった。

 死んだ時の苦しみは殆ど覚えていないのかな?


 悪霊化するぐらい苦しんだ筈なんだけどねぇ。

 どうも親が自分の言いなりにならなかった事への憤慨の方が強く残っているみたいだ。


 親への怨みで父親を祟って認知症にして、時々取り憑いて母親に暴力を振るわせ。

 ストレスで母親までおかしくなって、最後には母親が倒れて亡くなったせいで寝たきりだった父親が餓死したので満足したようだ。

 両親への仕返しと自らが早めた死に満足したことで両親に対する怨みの殆どは消えて、悪霊の大部分は単なる理不尽な権利意識の塊だけが残っている感じだ。


「どうやら、家を出て行った癖にギャンブルとかスタートアップもどきへの投資とかで借金を作っては家に来て親からお金を毟り取っていたみたい。

 何度か目に断られたら暴力を振るうようになって、最後に妻を殴られて切れた父親に子供の頃の自分のバットで殴られて昏倒して、そのあとはこの部屋に閉じ込められて。しばらくはおにぎり程度の食事を少しだけ貰っていたんだけど、だんだん貰える量が減って最終的には餓死したみたいね」

 碧へ読み取った情報を伝える。


「家から出したら治療を受けてまた金の無心か報復かで戻って来られる可能性が怖くて閉じ込めて……最終的には殺したのね」

 碧がちょっとやり切れない顔をした。


「暴力を振るう息子は中々タチが悪いからねぇ。

 悪霊化した息子に祟られて、時々嫌がらせのように取り憑かれたりしている間に父親がボケたみたいね。

 でも、ボケたお陰で最後に妻が亡くなって世話する人が居なくて餓死した時も分かっていなかったみたいで、父親の方はあっさり昇天したみたい。

 母親は地縛霊になって下に居るけど」

 現時点では悪いことはしていないが、流石にあそこに留まり続けるのは良く無いだろう。


「こいつを昇天させるから、その後に碧は敷地を浄化しちゃってくれる?」

 穢れも祓った方がいいだろう。

 この悪霊がいなければ、全体的な穢れを祓う軽い浄化で母親の地縛霊も昇天出来る筈。もしも浄化に抵抗して残ったら、改めて祓えばいいし。


「了解」

 碧が頷いたので、悪霊を昇天させるために魔力を集める。

 もう憎んで祟った両親はどちらも居ないのだ。

 さっさと昇天して次の命へ生まれ変わりなさい。

 それなりに屑だったようなので次が『人』生な可能性はかなり低いと思うけど。

 まあ、もしかしたらスラムの孤児的などん底人生ならワンチャン人間もあり得るかも?

 よく知らんけど。


 来世ではもう少し頑張ってちゃんとまともな生き方をするんだね〜。


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― 新着の感想 ―
人として大切なものが欠落してしまった人間を家族に持つのは 相当に辛いものがありますね
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