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　取り敢えず八代アヤカの記憶をもう少し漁って、バイト先の情報の詳細を探す。

　流石に記憶を読んだと知られるのは西江であろうと避けたいので、彼が自力でバイト先を見つけ出せるように何か情報が欲しい。

　と言うか。

　この性格で、この生活態度を考えると。キャバクラ嬢だとバレても引かなそうな気もしないでもない。

　まあ、やっている行動がキャバクラ嬢なのと、実際に金を受け取って男に媚を売る職業に就いていると知られるのとでは大分と印象が違うだろうから、これ以上纏わりつくならバイト先の事をバラすぞって脅せばワンチャン引くかも？

　悪口は言いまくるだろうけど。

　そう考えると、キャバクラ嬢だとバラしてサークルから姿を消す様に誘導する方が、西江の友人関係にダメージが少ないかな？

　逆ハー状態なキャバクラ嬢モドキに入れ込む様な人間と友人関係を続けたいのか、知らないが。

　ざっと記憶や気性を読んだところ、叩かれても雑草の様にしぶとく戻ってきそうなタイプで、悪口は言いまくるかも知れないが思い詰めて殺しにくる様なタイプではないみたいなので、どっちの方向を選んでも極端に後味が悪い結果にはならなそうだ。

　もう、情報収集はこのくらいでいいかな？

　と言う事で西江に目配せをして、守屋さんたちに別れを告げてサークルの部室を出た。

「どうだった？」

　校舎を出たところで西江が聞いてきた。

「変な術を掛けている訳じゃあ無いわね。

　あれは典型的なキャバクラ嬢のボディタッチを活用した男性用誘惑手法。

　彼女ってきっとそう言う店でバイトしているんだと思うな。流石に卒業したら普通の企業で勤めるつもりで、取り敢えず学生の間に貢物を貰えるだけ貰っておこうとサークルでも男を落とそうと頑張ってるのかも？

　諦めてサークルを辞めるなら金がないって言ったからそれ以上は追ってこないと思う。あそこの人間関係を今後も大切にしたいなら、興信所でも雇って彼女を数日尾行して貰えばバイト先も分かるでしょ。

　分かったあとは、バイトの事をバラされたくなかったらサークルから出て行けと脅すか、サークルの仲間に偶然目撃したって事でキャバクラ嬢疑惑をバラせば？」

「キャバクラ嬢？？！！」

　西江が唖然とした様に声を上げた。

「あの行動、露骨にキャバクラ嬢じゃない。

　ああ言うタイプが家庭教師とか外食系のバイトなんてすると思う？

　絶対に女であることと顔を利用して稼げるバイトに手を出しているわよ」

　深くは探らなかったが、特に借金があるとか悲劇的な過去があるとか言った様子はなかったから、簡単な金儲けの手段として安易に始めた可能性が高い。

　水商売系ってうっかり足を踏み込むと、ついついホストっぽいのに絆されてそっちに貢ぐ事になって収支がマイナスになる事も多いらしいけどね。

　と言うか、ホストに入れ込んで借金を積み重ねた女性が水商売をやれと強制される事件も報道されてた気がする。

　八代アヤカは自分より大切な存在は居ないらしく、記憶の中では言い寄ってきたヒモっぽいホストとかは鼻で笑って追い返していたけど。

　ある意味、女としてその点は評価するかも。

　男に食い物にされるな！

　まだ男を食い物にする方が許せる気がするね。

　男だろうと女だろうと、人を食い物にしないのが一番だけど。

　それに自分から店に来た客にいい思いをさせて金を搾り取るのはまだしも、大学で友人っぽい顔をして貢がせるのは人間として最低に下衆な行動だと思う。

「う〜ん、興信所か……」

　西江が微妙そうな顔をした。

　父親が居なくなってお金が無いと言っていたから、出費が痛いのかな？

「まあ、なんだったらネットで新宿とか池袋のメジャーな地域のキャバクラ嬢の写真を全部見て回ったら？

　今時だったらキャバクラ嬢の顔写真が人気順にでてる店のサイトがあるんじゃ無い？

　名前は流石に芸名でやっているだろうけど」

　考えてみたら、今のネット検索って画像でも出来るよね？

　としたら顔写真でキャバクラとかで働いているか、探したらバレちゃうかもなのかな？

　がっつり顔を作って化粧したらネットのアルゴリズム的に別人扱いになるのかな？

　そうじゃなければ流石に店のサイトに顔写真は出したら不味い気はする。

　店としては、一度足を踏み入れた従業員が簡単に辞められなくなって一石二鳥かもだけど。