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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
求む、精霊!

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魔素

「そう言えば白龍さま、『気がついたら知り合いの氏神などが居なくなっていた』と以前仰っていましたが、この世界の魔素って減り続けているんですか?」

東京タワーへの行き方を調べながら、ふと白龍さまに尋ねた。


こちらの世界の魔素の薄さについて、聞こう聞こうと思っていてイマイチ今まで機会が無かったのだが、この際ついでに聞いておこう。


『儂の本体と多少似た外見の『きょうりゅう』とやらがいた頃はふんだんにあったな。

巨大な岩が堕ちて来て大爆発が起きた際に、精霊どもが再生の為に魔素を大量に使ったせいでバランスが崩れてたのじゃ。

あの頃は幻想界や他の魔素が濃い世界との繋がりも多数あったので、この世界での魔素の循環が壊れても暫くは魔素がそれらの孔から流れ込んで来ていたが、魔素の濃さが極端に違う界の間の境界孔は徐々に閉じる傾向があるからの。

他の世界との境界孔を維持する物好きが居ない場所は孔が閉じ、それを使っていた者はこちらへの道を見失ったか、興味を失って来なくなったかじゃな』


マジか。

恐竜絶滅の隕石の後に、精霊が世界を再生させるのに魔素をほぼ使い切ってしまったって訳?

まあ、命のない火星みたいな星では精霊も存在し続けられるとは思えないから、命を育む環境に戻す為に魔素を使うのは正しい選択肢だとは思うが・・・それで枯渇させちゃあちょっと失敗だよね。

「この世界では殆ど精霊を見ませんが、世界の再生に魔素を使いすぎて消滅してしまったんでしょうか?」


精霊の存在と魔素の関係って前世でも色々学説はあったけど、誰もはっきりとは答えを持っていなかったんだよねぇ。


『ほぼ全ての精霊が力を振り絞り、更に世界に漂っていた魔素まで大部分を使い切ったせいでこの世界の魔素の生成効率が極端に悪くなった。

お陰で意識を保てなくなって殆どの精霊は眠っておる』

へぇぇ。

巨大隕石の後も暫くは他の世界からある程度は魔素が流れ込んでいたと言うが、それでも魔素の循環を元に戻すのには足りなかったんだ?


「ちなみに、今も地球の魔素って減り続けているんでしょうか?」

魔法のある世界と物理特化な世界って世界の成り立ちや理に根本的な違いがあるのかと思っていたが、地球も昔は魔素があったとなると・・・魔素が完全に無くなったらどうなるんだろ?


『いや、大体ここ数百年は安定したようじゃの。

誰も面倒を見ていない境界孔はほぼ全て消え去り、残っている孔は管理している者が周辺地域との違いを露骨にしない様に結界で囲んでおるから魔素の流入もほぼ無い。

それでも魔素がなくなってないから、将来的にもこの程度で続くのではないか?』

口に出さなかった私の恐れも気づいていたのか、聞きたかった追加情報付きで答えが返ってきた。


ちょっと安心だ。


これで核戦争とか起きたら、魔素が薄くなって精霊が眠りについてしまった地球が核の冬から復活出来る可能性は非常に低そうだが、どうせ核戦争なんぞが起きたら私も死んでいる可能性が高いから心配するだけ無駄だろう。


「じゃあ、恐竜って魔術を使えたの?」

碧がちょっとワクワクした様に白龍さまに尋ねた。


『身体強化程度じゃの。

火を吹いたり嵐を呼んだり出来るほどの適性を得る前に死に絶えた』


もしかして、巨大隕石が落ちるのがもっと遅かったらワイバーンとか地竜程度には進化していたのかな?

魔素が濃い場所では魔物化する個体も出てきたかも。

そうなったら石油や石炭に加えて魔石も古い地層から出て来る様になっていたのだろうか。


「ちなみに、魔素が全くない物理特化の世界って存在するんですか?」

生き物は魔素が無くても繁栄できるのか。

一応魔素を抜いた魔術師用の牢屋とかも前世ではあったし、そこに入れても魔術師が死ぬと言うことは無かったが、広範囲に魔素が無い場合に何が起きるかの実験は誰も出来ていなかった。

魔素が薄くなり過ぎると精霊が眠りにつくと言う事も知られていなかったし。

精霊が近寄らぬ土地は痩せると言われていたが・・・魔素が完全に枯渇して精霊が存在できなくなった世界でも生命は繁栄出来るのだろうか?


『魔素が無いところは岩と砂しか無い様な世界が多いの。

魔素が無いと、生命循環のバランスが崩れた際に立て直すだけの回復力が無くて命が絶える。

奇跡の様な偶然で生き残っている魔素無しの世界も幾つかはあるが、少ない。

下手にちょっかいを出すと直ぐに消えてしまうので、遊びに行く幻獣も少ないから時折『気づいたら消えておった』と噂で聞く程度じゃな』


おやま。

魔素が負荷のかかった環境の回復力を提供するのかぁ。

そう考えると、これだけ魔素の薄くなった地球の回復力って弱そう。

だから温暖化で気候変動が起きちゃったりしてるのかな・・・。





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