そして未来へ
子供編、最終話となります。
この作品がより多くの人に読んでいただけますように。
最後まで楽しんでもらえると嬉しいです。
私達は、町はずれにある小高い丘の上にやってきた。
見晴らしのいい場所で、街の景色がよく見える。
私達は少し大きめの木の下に、持ってきたブランケットを広げ、並んで座った。
「シエルもこの街に家を借りたことだし、時々こうして遊べるね」
私は久しぶりのシエルとのゆっくりした時間に嬉しくなって言った。
「ああ。冒険者協会の依頼で数日空けることはあるらしいが、これからは基本ここに戻ってくるつもりだ」
うんうん、シエルのイケメンへの成長を間近で見られるとは嬉しい限りだ。
「実は前からソフィアに言おうと思っていたことがあって…」
え?何?私何かやらかした?
「え?何かな?」
「3年前くらい前のことなんだけど、実は俺、ソフィアがロイド商会の裏の空き地にいるところを見たんだよね」
「3年前…」
そんな前に会ってたのか。
全然知らなかった。
「その時ソフィア、4属性の魔法を使ってた」
「!!」
え?4属性持ってるって知られてたってこと?
「えっ?知ってたんだ」
まあ、シエルなら知られても全然問題ないと思うけど。
「それで、俺も自分のこと言わなきゃって、ずっと思ってて」
ん?
「実は俺、光属性持ちなんだ」
あ〜、それね。
いや知ってたけど。
「そ、そうなんだ…」
なんて言ったらいいんだ。
「やっぱり知ってたか…」
「うん、ごめん」
ウソはつけないな。
「実は俺3年前は、自分が光属性って事にすごく特別意識を持ってて、俺は選ばれた人間なんだって勘違いしててさ」
まあ、間違ってはいないけど。
「今思えばすごく調子に乗ってたイタイ子供だったんだよ」
そうは見えないけど。
「そんな時、たまたま俺よりだいぶ小さい女の子が簡単に4属性使いこなすのを見て、すごくショックをうけたんだ。俺は光属性と火属性なんだけど、その時はどちらもうまく使いこなせなくて。そのくせ自信だけはすごくって」
まあ、そのくらいの年ならそうかも。
「それで自分が恥ずかしくて、それから一生懸命に魔法も剣も頑張れるようになったんだ」
「そうだったんだ」
私は勝手に、シエルは素質にあぐらをかかないコツコツ努力タイプなんだと思ってた。
「シエル、頑張ったんだね」
「!!」
「ちゃんと努力してきて偉いね」
シエルは言葉を詰まらせ少し泣きそうになった。
今現在進行形でシエルは修行中だ。
しかしやはり子供の身では大変な事も多いのだろう。
「俺はまだまだ強くなるつもりだ。そのうちガブさんくらい強くなってソフィアのことを守るから、これからも見守って欲しい」
いい子だ…。
全力で推せる。
「うん、応援するよ。頑張って!」
その時、ガブリエルがどこからともなく突然やってきた。
「ソフィア様〜。こちらでしたか」
ガブリエルどうしたの?
「何やら嫌な予感がしたので迎えにきました」
「え?私達、まだランチも食べてないけど」
私が驚くとガブリエルはシエルを見て言った。
「ソフィア様をお守りするのは私の役目です。守りたければせめて私と同格くらいにはなって欲しいですね」
大天使と同格ってどうなの。
「まあ、伸び代はありそうなので、貴方が望むなら多少鍛えて差し上げる事も可能ですが…」
「ガブさん。いや師匠。是非お願いします」
シエルはガブリエルに向き直って頭を下げた。
「師匠ですか。悪くないですね。いいでしょう、私の指導は厳しいですよ」
のんびりピクニックがなんでそんな話になった。
まあ、本人達が楽しそうならいいか。
今日も平和そうで何よりだ。
大人になったシエルは立派な冒険者になるだろう。
その時私はどんな未来を選んでいるのかな。
また、それは未来の物語で。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
子供編はこれで最終話となります。
続編も始めましたので、そちらも読んでもらえると嬉しいです。
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