帰り道
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
ガンツ工房も丸く収まるところに収まって、私達は当初の目的であるミキサーのような魔道具の試作を無事に依頼することができた。
イーツ君によれば、すでにフードプロセッサーの様なものはあるので、刃の角度と枚数を変えるだけで割と簡単だということだ。
まあ簡単と言えるのも錬金スキルに特化しているイーツ君だから言えることかもしれない。
父はケチャップの製造に向けてすでにモルドールに作業場を計画中だ。
とは言え、長かった支店巡回の旅もついに終わる。
あとはモルドールに帰るだけだ。
モルドールの皆元気かな。
弟のニックもだいぶ大きくなっただろうな。
早く会いたいな。
私達は荷物をまとめ、紅蓮の剣の3人と共に遂に最後の移動のためにリゴールの街を出た。
「旅ももう終わりかあ。ソフィアちゃんの料理をもう食べられないと思うと寂しいわ」
馬車の中でリジーさんが言った。
「ほんと美味かったよな。ソフィアちゃんの料理の店がモルドールにあったら絶対通うぜ」
馬車の速度に合わせて馬を歩かせてるマルコスさんが、馬上から言った。
「そう言っていただけると嬉しいです」
料理は好きだし褒められるのは嬉しいな。
そうだ!今日の夕食はアレにしよう。
卵も沢山あるし、鶏肉もある。
それに何より醤油やみりんなどの調味料がある。
「今日の夕食も楽しみにしてくださいね」
しばらく進んだ後、いつものようにマルコスさんが野営の合図をした。
「それじゃあ、私とガブリエルは夕飯の準備をしますね」
今日のメニューは親子丼だ。
この前オムライスを作った時、卵を沢山仕入れておいたのだ。
ご飯をたいて、鶏肉、玉ねぎを切っていく。
1人用の親子鍋がないのでフライパンで一度に作ってしまおう。
結構工程が少なくあっという間に下準備が終わってしまったのでもう1品デザートを作ることにした。
卵のスイーツは色々あるが、今回は基本のプリンだ。
プリンは卵と砂糖と牛乳があればできる。
材料を混ぜてざるで濾す、お鍋の底に水を入れて、そこにプリン液の入った容器を入れる。
しばらく火にかけて蒸したら出来上がりだ。
そこで問題がひとつ。
プリンが熱々だ。
私が悩んでいると、
「どうしたのですか?ソフィア様」
とガブリエルが聞いてきた。
「この熱々のプリンを凍らない程度に冷たくしたいの。凍らすなら氷魔法で簡単なんだけど、少し冷たいくらいにするにはどうしたらいいかなって」
ガブリエルは少し考えて言った。
「なるほど、凍らないけど冷たくですか。水につけるのはどうでしょう」
水か…。
普通の水ならすぐ熱くなってしまうが氷を入れたらいいかも。
「うん、氷水ならいけるかも。ありがとう。ガブリエルのおかげで美味しく食べられそうだよ」
私が言うとガブリエルは嬉しそうに笑った。
「少しでもソフィア様のお役に立てたなら、幸せです」
うん、顔がいい。
「ともかく、お鍋に水を張ってプリンの容器をつけるから、ガブリエルは氷を作って。あ、小さめの氷ね」
うん、なかなか良さそうだ。
今のうちにカラメルも作っておこう。
食べる時に型から外してカラメルをかけよう。
「ガブリエル、みんなを呼んで来て」
その間に親子丼のしあげだ。
作っておいた割下に鶏肉と玉ねぎを入れて煮込み、鶏肉に火が通ったら最後に溶き卵をたっぷりかけて軽く火を通す。
よそっておいた丼ご飯に乗せて完成だ。
簡単親子丼だ。
「うわー、ダシのいい香り」
「なんだ?この黄色いの?」
「鶏肉と卵で作った親子丼です。卵が半熟のうちにどうぞ」
ガブリエルが丼を配り、私がスプーンを渡していく。
「へえ、変わった見た目だな」
父とジェイコブも不思議そうだ。
こっちには半熟や生卵を食べる習慣はないようだが、とれたての卵をしっかり洗ってアイテムボックスで保存しているので問題ない。
「ガブリエルもどうぞ」
ガブリエルは親子丼を受け取って一口食べた。
「うわー!だしの旨みが広がりますねえ。卵のコクと鶏肉のジューシーさが絶妙のバランスだ」
ガブさんよ、君の食レポはどんどん上達するね。
他の皆も喜んで食べてくれた。
卵料理は色々あるから、安定した供給を確保したいところだ。
父に相談してみよう。
読んでいただきましてありがとうございました。
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