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リゴール⑨

誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。

誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。

「では…ガンツ工房のおかみさん、どこ?」


私の目の前にこの街の地図らしきものが映った。


そこに、オレンジの丸印が点滅している箇所がある。


「おかみさん、この街にいた!」


「え?どこに?何でわかるんですか?」


戸惑うイーツ君に今は詳しく説明できない。


「いいからとりあえず行こう」


そう言ってガブリエルを見ると、ガブリエルは私を抱きかかえてくれた。


急ぐ時スタイルだ。


「今回は私も行こう」


父も一緒に行ってくれるようだ。


「行くよ!イーツ君」


「だからどこに行くんですか!」


そう言いながらも私達の駆け足についてきてくれる。


10分ほど走っただろうか。


「そこ。その宿屋だよ」


「え?こんな近くの宿屋におかみさんが!?」


イーツ君は驚きを隠せない。


「とりあえずいってみよう」


私たちは宿屋のドアを開けた。


「いらっしゃいませ〜。ってイーツじゃないか!」


「おかみさん、居た〜!」


イーツ君はおかみさんを見ると安堵で立ったまま泣き出した。


「そろそろ落ち着いたかい?」


おかみさんは私たちを客間の一つに案内して、お茶を入れてくれた。


「まあ、お茶でも飲みながら話をしようじゃないか」


お茶を一口飲むとイーツ君は少し落ち着きを取り戻したようだ。


「この宿は最初にうちの先輩職人が探したはずなんですが、どうして見つけられなかったんだろ」


イーツ君が首を傾げた。


「実はその時もこの宿にいたんだけど、あんまりすぐに見つかったら格好がつかないだろ?それで知り合いであるこの宿の女将に頼んでいないっていってもらったんだ」


おかみさんは照れたように答えた。


「それで、なかなか見つからなかったんですか」


イーツ君はなるほどと納得した。


「それで、おかみさん的には工房に戻ることをどうお考えなんですか?」


父がズバリと聞いた。


「誰だい?この人達は?」


「あ、この子はうちに依頼に来たロイド商会会長の娘さんのソフィアさんと、会長のロイドさんと…」


「ガブと申します。商人見習い兼ソフィア様のボディガードです」


「ソフィアです。よろしくお願いします」


私達はぺこりと頭を下げた。


「かわいい子だねえ。それで、ロイド商会の皆さんがどうしてイーツとここに?」


その言葉を聞いてイーツ君が再び泣き出した。


「ど、どうしたんだい。ゆっくり話な」


イーツ君は時々しゃくりあげながら今の工房のこと、親方の事を話した。


「あー、みんなに迷惑かけちまったようだね。あの人が少しでも周りを見てくれるようになればとしばらく家を出たんだが、どうやら違う方に振り切ってしまったみたいだね」


おかみさんはため息をついた。


「これ以上みんなに迷惑はかけられないね。潮時だね」


このままおかみさんが帰って、親方は話を聞くだろうか。


「待ってください。親方はかなりお酒にのめり込んでいるようでした。まずはお酒を抜かないとまとまる話もまとまらないのでは」


私が提案すると、


「本当はそれが一番いいんだけど、あの人は頑固だからね。周りが酒を止めろっていうと意地になってのむんだろうね」


確かに、さすが奥さん。


親方の性格をわかっているんだろう。


うーん、何かお酒をやめる方法はないものか。


「あ、アレはどうだろう。ガブリエル、この前私が作ったお酒っぽいやつだして」


「ああ、あれですね」


ガブリエルは液体の入った瓶を出した。


「親方ってエールを飲みますか?」


私はイーツ君にたずねた。


「はい、親方は酒場でいつもエールを飲んでます」


ではコレを飲んでみてください。


私はグラスを出してもらい、イーツ君とおかみさんに渡した。


「この前のだな。お父さんも飲みたいな」


父がそういうので父の分もついであげた。


普通の5歳児には重すぎる瓶だが、私は女神の丈夫な体で、年齢よりはかなり力がある方だ。


「僕はまだお酒が飲めないのですが」


「お酒じゃなくて、お酒味のジュースだから大丈夫。私でも飲めるよ」


名付けてノンアルエールだ。






読んでいただきましてありがとうございました。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

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