リゴール⑧
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
「お父さん、ただいま」
私達はイーツ君を連れてロイド商会リゴール支店に戻った。
「お帰り、ソフィア。話はガブさんから軽く聞いたが、詳しく説明してくれるかい?」
私は今日の出来事を詳しく話し、買ってきた魔道具を見せた。
「ほう、その若さでこれらの魔道具を作るとは素晴らしい才能だ。ソフィアがスカウトするのも納得だ」
父は魔道具をじっくり見ながら言った。
「でしょう?能力は申し分ないよ」
イーツ君は褒められて嬉しそうだ。
「魔道具を評価していただいてありがとうございます。ところでスカウトって何ですか?」
父は魔道具をテーブルに置いて、イーツ君に向き直った。
「イーツ君、私達ロイド商会は本店のあるモルドールの街で専属で魔道具を開発してくれる錬金術師を探していたんだ」
うんうん。
私も隣で期待に満ちた目でイーツ君を見つめた。
「娘のソフィアは人を見る目に長けててね。私達は君にうちの専属になってモルドールに来て欲しいと思っているんだ」
「ええ!僕ですか?」
イーツ君は驚いているが才能も実力も申し分ない。
「僕はまだ13才で、見習いの身ですよ」
「見習いでも年齢が若くても関係ないよ。ね、お父さん?」
「ああ、勿論だ。我々はそんなもので判断しない。能力があれば、若くても、年寄りでも我が商会に必要なんだ。もちろん、君の給料はここらの一人前の錬金術師の倍は出す準備があるし、住まいと食事も保証しよう」
「お父さん、魔道具の試作の材料もロイド商会が用意するって言わなきゃ!」
「そうだ!それも言わなきゃな」
イーツ君は呆然として呟いた。
「そんな夢のような条件で雇っていただけるんですか?」
「うん、イーツ君にはそれだけの価値があるんだよ」
父が言うと、イーツ君は静かに涙を流した。
「誰かに認められるってこんなに嬉しいんだ…」
「じゃあ、私達とモルドールに来てくれる?」
私が言うと、イーツ君はハッとした顔になった。
「もちろんそちらに行きたいです。でもお世話になった親方との事をこのままにしては行けません」
確かにこのままじゃ、良くないよね。
「それじゃあ親方とガンツ工房の現状をなんとかできないか考えてみよう」
うん、そうしよう。
「まず、原因をはっきりさせましょう。元の原因は親方が家族を顧みず働いていたこと」
私の次にガブリエルが言った。
「それでおかみさんが嫌気がさして子供と出て行った」
「そうです、それが原因です」
イーツ君が言った。
「では現状の問題点は?」
「親方が酒場に入り浸って働かない」
私が言った。
「そして人が辞めてブラック工房に」
ガブリエルも容赦なく事実を述べた。
「そうです…」
あ、イーツ君がへこんでしまった。
「ソフィア、まずどうすればいいと思う?」
「うーん、おかみさんは今どこでどう思っているのかな」
「そうだね、おかみさんの気持ちはどうだろうね」
「あと、やめてしまった人達もどうしてるんだろう」
私はそれも気になる。
「ソフィア様」
ガブリエルが私を見て頷く。
「そうだね、おかみさんはこの街にいるかもしれないね。それなら探し出せるね」
「え?僕たちも散々おかみさんを探したんですよ」
イーツ君は不安そうだが私にはアレがある。
「まあ、とりあえずやってみよう」
読んでいただきましてありがとうございました。
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