リゴール②
今日はいつもより早めの投稿です。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
他に2店舗ほど通りに面した高級そうな魔道具店をみてみたが、同じように装飾過多で機能的にはどうなんだろうというものが多かったので、通りから一本それた道を行くことにした。
道を1本それただけで店の雰囲気はガラリと変わり、かなり質素だ。
いっそ、街の道具屋と行ってもいい店が肉屋の隣に並んでいる。
「さっきまでの店とはかなり違いますが、ちゃんとした魔道具があるのですかね」
ガブリエルも心配そうだ。
「まあ、気に入ったものがなければないでいいしね。
でもこういった店の方が実は掘り出し物があるかも」
私は思い切ってドアを開けた。
チリンチリン。
ドアベルがなって中から女性の声がした。
「いらっしゃいませ〜」
奥から出てきたのは庶民的と言っては失礼かも知れないが、普通の主婦というかおかみさんというか、どこかジェイコブの奥さんのニーナさんを感じさせるような店員さんだった。
「あら、珍しいお客さんね」
優しそうで安心する。
「こんにちは、魔道具を見せてもらっていいですか?」
私が尋ねると、
「あら、礼儀正しいお嬢ちゃんね。もちろんよ、うちは庶民的な魔道具しか置いてないけどゆっくり見てちょうだい」
と言ってくれた。
なんだか楽しくなって棚に整然と置かれた魔道具達を見始めた。
「うちは周りの店から依頼された魔道具も多いから変わったものが多いのよ」
これは…。
「これはパン屋さんに依頼されたパンをこねる魔道具よ」
ではこちらは…。
「ああ、これはカフェに依頼されたコーヒー豆を自動で引く魔道具だわ」
えっ、ではこれは?
「これはケーキ屋さんに依頼された、生クリームを泡立てる魔道具ね」
調理家電の宝庫じゃないか!
他の人にはどうかわからないが料理好きな私にはドンピシャな物が沢山ある。
「それ、全部買います!」
「え?お嬢さんが?」
そんなに高くない魔道具といえど、子供が魔道具をいくつも買うのはびっくりだろう。
それも調理家電だ。
「私、ロイド商会の娘でソフィアといいます。父に魔道具で珍しいものがあれば買うように言われてるので、決して怪しいものではないですよ」
ますます怪しさが増したかもしれない…。
ここはガブリエルに任せるしかない。
わたしはガブリエルに目配せした。
ガブリエルは心得たとばかりに軽く頷く。
「マダム、困惑させて申し訳ありません」
ガブリエルは店員さんに近づいてその手をとった。
店員さんはガブリエルをみて頬を赤らめている。
「こちらのお嬢様は間違いなくロイド会長の娘、ソフィア様です。今日ロイド会長一行はこのリゴールにやってきたのですが、ロイド会長は多忙で店を離れられず…」
ガブリエルちょっとやりすぎじゃない?
「この父上譲りの目利きであるソフィア様と私が代理として魔道具店を巡っているのです」
あ、目がハートになってきたような…。
「ここの魔道具はとても素晴らしいですね」
にこり。
あ、落ちた…。
店員さんは頬を赤らめたまま何度も頷いた。
「ええ、そういうことなら喜んで対応させていただきますね」
完全なるガブリエルファンの出来上がりだ。
イケメンパワーは抑え気味に使うくらいでいいのだ。
一般人には強すぎる。
読んでいただきましてありがとうございました。
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