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コーラル①

誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。

誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。

コーラルの町は、私が思っているよりずっと畑だった。


見渡す限り畑、畑。


町と言うより、畑の中心に数件の店があると言う感じだ。


こんなに一面に畑とは。


ロイド商会のコーラル支店は畑の中心部と思えるところにある数軒の建物の中の一つだった。


コーラル支店長は気のいい小太りのおじさんだった。


「やーぁ、ロイド会長、皆さん、長旅お疲れ様です」


「こんにちは、お世話になります」


私が挨拶すると、


「ロイド会長の娘さんだね。やーぁ、めちゃくちゃべっぴんさんだな。こちらこそよろしく」


と返ってきた。


コーラルには元々宿屋が無く、ロイド商会が店の隣に宿屋兼食堂を経営しているものが唯一の宿屋だ。


あと近くにあるものは、パン屋、肉屋、診療所、そして神殿と言うか教会だ。


教会といえばそろそろ教会に来るよう女神フォンテーヌから度々催促がきているとガブリエルが言っていたな。


前の街で行こうと思っていたのにバタバタしていて忘れていた。


さすがにこの町で行かないと後が面倒そうだな。


「皆さんも何もないところだけど、ゆっくりして行ってください」


支店長にそう言われ紅蓮の剣の皆は宿の方に行ってしまった。


「ソフィア様、私達はどうしますか?」


ガブリエルにそう言われて私は考えた。


ひとつ気になる事があったのだ。


「畑を見てまわって、その後教会に行こうと思うんだけどいいかな?」


「もちろんです、ソフィア様」


私達は父に断りを入れてガブリエルと外の広大な畑に向かった。


「うーん、やっぱりそうだよね」


「どうかしたんですか?ソフィア様」


トマト畑、きゅうり畑、さやいんげん、ジャガイモにさつまいも、白菜、白ネギ。


前世ではビニルハウスでもなければ同じ季節にできない野菜たちだ。


「なんか季節がバラバラな野菜な気がするんだけど、この世界では普通なのかな」


「ああ、そういうことでしたか」


ガブリエルは離れた畑で作業している人々を指差した。


「ほら、あそこに緑の服を着た女性が見えますか?」


「うん、あの緑のドレスっぽい服をきた人のこと?」


緑のドレスの女性は、農家の人達と一緒に種を撒いているように見える。


ドレスで畑仕事とかどうしたんだろ?


「あれはドライアドですね。彼女たちが管理している土地だから、ここまでいろんな作物がよく育つのでしょう」


「なるほど…ってドライアド!?ってあの精霊の?」


「精霊というか妖精というか。とにかく彼女達は植物の扱いに長けているんです」


「へー、すごいんだね」


何かよくわからないがとにかくすごい。


目の前にある艶々に光った真っ赤なトマトは、そのままでもとても美味しそうだ。


「おや、子供のお客さんとは珍しい。どこかの商人の子かい?」


麦わら帽子を被ったニコニコしたおじいさんが声をかけてくれた。


「はい、ロイド商会から来ました」


私がそういうと、


「ロイドさんとこの子か。ロイドさんにはこの町のもん皆お世話になってるんだ」


「そうなんですか?」


「この町の野菜をあちこちに広めてくれて、販売までしてくれるようになって、わしらの生活はとても楽になったんだ」


「そうだったんですね」


私は父についてまだまだ知らないことが多いな、


そう町のおじいさんと話していると、後ろから声をかけられた。


「これはこれは。祝福の子ではないですか」


後ろから声がして振り向くと、トマトをいっぱい乗せたカゴを持ったドライアドが立っていた。


「コーラルへようこそ。ちょうど王もいらしているところですよ」


「え?王が?」


すると左側にあったらとうもろこし畑からニョキッとオベリオンが現れた。


「ソフィア!よく来たな」


オベリオンはあの時見た異国風の衣装のような服で麦わら帽子を被り、腕にはとうもろこしを数本抱えていた。








読んでいただきましてありがとうございました。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

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