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バレンシア商会②

誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。

誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。

「一体何が始まるんだ」


明らかにシエルが怯え出した。


「安心してください。一切危険なことは致しませんよ。ただ着替えていただくだけです」


ウィルさんが笑顔で答える。


「そうよ〜。素敵なお洋服が着放題。ソフィアちゃんには衝立を用意したからあちらで着てもらうわね」



何もわからないまま衝立の奥に連れられ、マーガレットさんと女性スタッフに服を脱がされた。


「えっ?あのちょっと?」


私が戸惑っているうちにマーガレットさんとスタッフはテキパキと私にラックにかけてあった服を着せていく。


「えっ、ちょっと何するんだ」


「ちょっと!困ります」


どうやらシエルとガブリエルも同じ目にあっているらしい。


「ジャーン!1着目、完成〜!」


衝立から手を引かれて出ると、シエルとガブリエルも着替えが終わっていた。


「「かわいい…」」


「でしょ〜、テーマはバーリの街でショッピングよ」


シエルとガブリエルは同系色のセットアップにハンチング、私はレースの襟の付いたワンピースだ。


後ろにリボンが着いていて、ボタンもくるみボタンでとてもかわいい。


「3人共似合うわ!予想以上よ」


女性スタッフ達も盛り上がっている。


「さあ、時間は無限じゃないわ!次!次」


「次?」


私の呟きも虚しくまた衝立の後ろへと連れて行かれる。


「はい!次は海辺でバカンスよ」


着替えさせられた次の服は白いセーラー襟のついた紺色のワンピースに、青いリボンの着いた白の帽子だ。


シエルとガブリエルも紺と白のマリンコーデだ。


「次は夜会にお呼ばれ!正装よ!」


そう言って次々と着せられて早30着。


そろそろ帰りたいのだが、やんわりと言っても皆んな興奮していて聞いてくれない。


ウィルさんに言っても、


「こうなったら私には止められないんです。ごめんなさい」


と謝られてしまった。


マーガレットさんの気が済むまで付き合うしかない…のか。


私達3人が諦めかけたその時だった。


「失礼します。ロイド商会、ロイド様がお見えです」


と、スタッフさんの声がした。


「失礼するよ。そろそろうちの娘を返してもらえるかな」


「お父様!」


ガチャリとドアを開けて入ってきたのはお父様だった。


「ロイド会長!!」


「やっと来た…」


シエルとガブリエルが同時に言った。


「あら?まさかソフィアちゃんってクリストファーの娘だったの?そういえばマリナに似てるわね」


「そう、大事な大事な私の娘だよ。なかなか帰って来ないから心配したよ」


そうか、マーガレットさんとお父さんは会長同士知り合いだった。


「ごめんなさい。あんまりかわいい子達だから夢中になって着せ替えてしまったわ」


ガブリエルが父に連絡してくれたのか、やっと帰れそう…。


悪い人ではないんだろうが、服に対しての気持ちがついていけない。


私の女子力がまだまだなのか。


「それじゃあその服はそのまま着て行ってちょうだい。残りの服は送ろうと思っていたけど、クリストファーがきたならカバンに入れていけるわね」


「全部もらっていいのかい?」


そう聞いた父にマーガレットさんは笑顔で答えた。


「もちろんよ。3人とも素晴らしく似合ってたから是非全部持って帰って着てちょうだい」


「え?これ全部いただいて本当にいいのですか?」


私が驚くと、ウィルさんが、


「3人に着てもらえるだけで、ものすごい宣伝効果が見込めますので是非お持ち帰りください」


と言った。


「オレは冒険者でこんないい服とか普段着ないんですけどもらって大丈夫ですか?」


シエルも心配性だ。


「大丈夫よ!あなたが着てくれたところを妄想するだけで無限にアイデアが沸く気がするから。モデル料と思ってちょうだい」


マーガレットさんに言われてシエルもなんとかもらうことで落ち着いた。


「じゃあまたモルドールに行く時は会いに行くわね」


そう言うマーガレットさん達と別れてバレンシア商会を後にしたのだった。


1階まで降りる時、ガブリエルに向けられる熱い視線が倍に増えていた気がする。


さすがに怖い。









読んでいただきましてありがとうございました。

感想のお返事返せないことが多いですが、必ず読んでます。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

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