バレンシア商会①
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
「着いたわよ〜。我がバレンシア商会にようこそ」
馬車が停まり降り立ったそこは、商会というよりお屋敷だった。
「わあ!おしゃれな建物ですねえ」
父も若い方だろうが、マーガレットさんも20代半ばから後半くらいに見えるのにこの若さですごい。
見た目もウエストの締まったジャケットに膝までのタイトスカート、首元までのボリュームのあるブラウスがとてもおしゃれだ。
さらに憧れのピンヒール。
これでどんどん歩く姿はとてもかっこいい。
「どうぞどうぞ、遠慮なく入って入って」
ガチャリとウィルさんがドアを開けるとそこは高級デパートの洋服売り場のような雰囲気だった。
「すごい!服がいっぱい!」
「1階は既製服を販売してるのよ。2階がオーダーメイド。もちろん貴族とか上得意様はこっちから出向くんだけどね」
階段を上がって2階に行くと今度は生地やレースやリボンが所狭しと並んでいる。
「わあー!すごい量の布地!」
ちなみに今まで男性チームは一言も発していない。
「3階が作業部屋よ」
大勢の針子さん達がミシンをかけたり、キラキラした物を縫い付けたりしている。
皆さんものすごい速さで手が動いているのに、口も動いておしゃべりをしている。
「すごいですね、どんどん洋服が出来上がってくる」
私は初めてみた洋服作りの光景に興奮しているが、男性陣たちは相変わらず無言だ。
「2人ともさっきから一言も喋らないけどどうしたの?」
私が尋ねると、
「俺、タダで服が貰えるって言われて付いて来ちゃったけど、こんなに立派なとこだったなんて。せいぜい街の洋服店だとばかり…」
確かにシエルはバレンシア商会と言われてもピンと来ないよね。
「ガブリエル?」
ガブリエルの方を見ると、多くの女性従業員さんの熱すぎる視線に目を合わせないよう必死だった。
「ここ、怖いです」
ガブリエルにも怖いものがあったんだな。
「4階が私の住居兼作業スペースなの。どうぞくつろいでちょうだい」
私達はマーガレットさんの住居スペースのリビングに案内された。
「ウィル、お茶とお菓子をお願い。私は服を用意するから」
ソファに私達が座ると、2人とも部屋から出て行った。
「ソフィア、服とかいいからもう帰ろうぜ」
「そうですね、ここは何か良くない予感がします」
2人は何かに怯えている。
「2人共大袈裟なんだから。バレンシア商会の会長さんだよ。変なことなんてないって」
「そうかなあ」
そう話していると、ドアが開いて紅茶とお菓子が乗ったワゴンを押したウィルさんが現れた。
「お待たせしました。会長もすぐに戻ると思うので、その間紅茶とお菓子でもどうぞ」
「ありがとうございます」
私達が美味しく紅茶とお菓子をいただいていると、ガラガラと大きな音が廊下から響いてきた。
「なんだ?なんの音だ?」
シエルがそう言った直後、ドアがバンと開いて、マーガレットさんが大量の洋服がかかったキャスター付きのハンガーラックを引いて現れた。
「お待たせ〜」
そしてそれだけではなかった。
同じような大量の服がかかったハンガーラックを引いた女性が6人ほど後に続いていた。
「まあ、まずはこのくらいから始めましょうか」
え?どういう状況?
読んでいただきましてありがとうございました。
感想のお返事返せないことが多いですが、必ず読んでます。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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