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別荘①

誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。

誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。


「クロエ様〜どこですか?」


はあはあと息を切らして若い男性がソフィア達がいるボート乗り場の方へ走ってきた。


「ここよ〜、ケント」


クロエが茶色の髪の男性に向かって声を上げた。


「クロエ様、お一人で一体どこまで行くんですか!そうやってトリスタンで誘拐されたのをもう忘れたんですか!」


3度誘拐された私も耳に痛い。


「うん、そうね。ごめんなさい」


どうやらクロエは従者が飲み物を買いに行った隙に1人で移動してしまったらしい。


そこで、ボート乗り場で無茶を言う馬鹿息子に遭遇し、我慢できずに首を突っ込んだところだったのだ。


私が言えた義理じゃないけど危なっかしいな。


「ソフィア様より危なっかしいですね」


あ、ガブリエルってば、言っちゃった。


「しかし無事で良かった。失礼ですがこちらは?」


ケントさんが私達を見た。


「こちらは私が誘拐された時に助けてくれたソフィアよ」


クロエが何故か胸をはって紹介してくれた。


「こちらが噂のソフィア様でしたか。私はクロエ様付きの従者でケントと申します」


「初めまして、ソフィア=ロイドです。こっちは私のボディーガード兼商人見習いのガブさんです」


「初めまして」


ガブリエルもにこにこと挨拶した。


ガブリエルは大天使の割に愛想がいい。


「ねえ、今からうちの別荘に来ない?」


「え?そんな急にお邪魔していいの?」


急にお邪魔してもほんとにいいのだろうか?


「急なお客様にはなれておりますから、ぜひ遠慮せずいらしてください」


ケントさんがそういうなら…実を言うと私もクロエともっと話がしたかった。


「では、少しだけお邪魔しようかな。いい?ガブリエル」


「はい、もちろんです。会長には私から伝えておきますね」


念話か?瞬間移動か?チートな天使の連絡方法は何か考えたくない。


クロエの家の馬車に迎えにきてもらい、私達は湖に面した立派な別荘に案内された。


「わあ、素敵なお屋敷だね」


湖のほとりに建つそのお屋敷は一枚の絵画のようだ。


「ありがとう、お祖父様の頃からの別荘で、毎年来てるんだ。今年は私とお母様が昨日着いて、お兄様は後から来るらしいの」


「ふーん、そうなんだ」


「お兄様に会えなくてもいいの…?」


クロエはびっくりした目で私を見た。


「え?なんでお兄様?クロエに会えたのが嬉しいから別荘に遊びに来たんだけど。何かまずかったなら出直すよ」


なんだろう?招待してくれたのはクロエなのに。


兄のええとなんだっけ、名前を忘れたクロエのお兄さんがいないと何か不都合でもあるのか。


「いや、むしろお兄様がいなくても来てくれるのが嬉しいんだ。どうぞどうぞ」


中に案内されると、クロエのお母さんが現れた。


「ようこそ、いらっしゃい。あなたがクロエを助けてくれた、ソフィアちゃん?」


黒髪の優しそうな美人さんだ。


「初めまして、ソフィアです」


私はフードをとって挨拶した。


「まあ、なんて可愛らしいの。その節はクロエを助けてくれてありがとう」


「いえ、私もクロエさんに助けられたので。それに実際に救助してくれたのは冒険者と警備隊の皆さんなんですよ」


ちゃんと事実も伝えねば。


「それはクロエから聞いてるわ。それでもあなたがクロエの命の恩人であることは変わらないのよ」


「そうなんですか?」


「そうですよ、ソフィア様。我々一同クロエ様が誘拐されたと聞いて生きた心地がしませんでした」


ケントが現れて、居間に案内してくれた。


まあ、普通は何度も誘拐されないもんね。




読んでいただきましてありがとうございました。

感想のお返事返せないことが多いですが、必ず読んでます。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

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