避暑地カルトス③
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
ボートを堪能し、そろそろ戻ろうと岸に近いた時、何やらボート乗り場が騒がしいのに気がついた。
「ソフィア様、フードを被りましょう」
「その方がいいね」
少し離れた湖の上からボート乗り場を窺うと、何やら大人の男性と少女が揉めているようだ。
「あれ?あれってもしかしてクロエじゃない?」
「クロエ?クロエとはどなたですか?」
ガブリエルは聞き返した。
「私がトリスタンの街で一緒に誘拐されてた貴族の子だよ」
「ああ、あの時の少女ですか。確かにそのようですね」
ん?あの時はまだガブリエルに会ってなかったはずだ。
「何で知ってるの?」
「ソフィア様のことは天界よりずっと見ておりましたので」
え?プライベートなし?
女神様はともかく天使たちにまで見られてるってこと?
「いえ、見ていたのは女神フォンテーヌと私だけです。普通の天使には下界の様子は女神の許可なく見られないので」
ううむ、喜んでいいのか。
「ともかくボート乗り場に行ってみよう」
ボート乗り場に戻ってくると、黒髪の少女の方はやはりクロエだった。
何やら貴族っぽい青年と言い合っているようだ。
「うるさい!俺が貸切と言ったら、今からこの湖は俺たちだけのものだ」
よくみると貴族男性は派手目な女性を連れている。
「だ、か、ら〜、湖は誰のものでもないし、あなたにこの国でそんなことをする権利もないわけ」
ボートを管理していた係員も周りの人達も戸惑っている。
「そんな口を聞いていいのか。俺の父上はランベール王国の子爵だぞ」
ああ、貴族の馬鹿息子か…そんな空気が周りに流れた。
「クロエ〜!クロエじゃない?」
私はボートからクロエに向かって手を振った。
「え?ソフィア?ソフィアなの?」
私はガブリエルとボートを降りた。
「クロエ!こんなところで会えるなんて」
「ソフィア!それはこっちのセリフよ!こんなところで会えるなんて嬉しいわ!」
クロエは私に駆け寄って、手を取った。
「おいお前、まだ話の途中じゃないのか」
こっちに近づいてくる子爵の馬鹿息子にガブリエルが近づいた。
「ソフィア様とご友人の再会に無粋ですね」
ガブリエルは馬鹿息子の目を覗き込んだ。
「あなたはボートに乗りたくない…ですよね」
馬鹿息子はぼんやりした様子でガブリエルの言葉を繰り返した。
「俺はボートに乗りたくない…」
馬鹿息子は連れの女性に向かって言った。
「俺はボートに乗りたくなくなった。行くぞ!」
そう言うとボート乗り場から立ち去った。
「え?何よ。急にどこ行くの?」
連れの女性が慌ててついていく。
「何だったの、一体…」
クロエがポカンと見送る。
「ガブリエル、何やったの?」
ガブリエルだけに聞こえるようにこっそり問いただす。
「ソフィア様のせっかくのご友人との再会に水を差すようだったので、精神系魔法をちょっと…」
ちょっとって何だ。
まあ、場が収まったのなら今回はいいけど。
読んでいただきましてありがとうございました。
感想のお返事返せないことが多いですが、必ず読んでます。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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