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避暑地カルトス②

誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。

誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。

私達一行は次の日の昼前にはカルトスの街に到着した。


貴族がよく来るからか検問所からして立派な門構えだ。


「さあソフィアとガブさんはフードを被ってくれ」


父にそう言われて私たちはマントのフードを深く被った。


大きな門を馬車でくぐると、そこには初めてみる貴族向けの街並みが広がっていた。


全ての道が馬車で通れるようにレンガで綺麗に舗装された広い道に、店も高級店がほとんどなようだ。


この街には大きな湖があり、その湖の周りに別荘を持つことが隣国の貴族の間でステータスになりつつあるらしい。


噂によると王族の別荘もあるそうだ。


もし、女神に貴族や王族に転生させてもらってたら、また違った気持ちでこの門をくぐったのかもしれない。


つくづく商人の子で良かった。


王族なんて堅苦しそうなもの真っ平ごめんだ。


そうこうしているうちに着いたロイド商会カルトス支店は本店に負けず劣らずの立派な建物だった。


紅蓮の剣のメンバーと別れて、支店の中に入ると落ち着いた高級感のある雰囲気の中、カルトスのスタッフが出迎えてくれた。


「ようこそ会長、お待ちしておりました」


服装も挨拶も落ち着いていて、高級デパートのようだ。


「やあ、今年もよろしく頼むよ」


何故かお父さんも貴族のように見える。


「ソフィアどうする?ガブさんと湖でも見に行ってみるかい?」


「そうしようかな…」


スタッフさんによると、湖は景色が良い観光スポットで、ボートにも乗れるらしい。


「へー、行ってみたいな。ガブさん、一緒に行ってくれる?」


「もちろんです、ソフィア様」


そして私とガブさんはフードを深く被って、湖へ散策に出かけた。


湖までは店の馬車で送ってもらった。


森の道を抜けると視界が急に広がり、湖が見えてくると水面がキラキラ光ってとても美しい景色が広がっていた。


「わあっ!すごく綺麗!青く澄んでるね」


「そうですね、天気も良く美しい景色ですね」


私とガブさんは湖のほとりに立ちその素晴らしい景色にしばらく見惚れた。


湖の周りには釣りをする人や散策する人、開けた場所ではピクニックする人達がちらほら見える。


「ガブリエル!あそこにボートがあるよ。乗ってみたいな」


私はガブリエルの手を引っ張って、湖に浮かぶボートを指差した。


「はい、ソフィア様。乗ってみましょう」


ボート乗り場までやってくるとカップルや家族連れがそれぞれボートに乗って楽しそうにしていた。


「ボートに乗りたいのですがこちらでよろしいでしょうか」


ガブリエルがボート乗り場の係員に話しかける。


「はい、お2人ですね。大銅貨1枚になります」


ガブリエルは父から持たされた財布からお金を払った。


ちなみにこの国の通貨は銅貨10で大銅貨1枚、大銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で大銀貨1枚とこの先金貨、大金貨、聖金貨と続く。


銅貨1枚でりんご1つくらいだとすると、2人で千円くらいか。


まあ貴族が多いこの街にしては良心的かな。


「ソフィア様、揺れますのでお気をつけてください」


私とガブリエルはボートに乗り込んだ。


2から4人乗りのボートらしいが、思ったよりしっかりしている。


「ではボートを漕ぎますね」


ボートは湖の上を滑るように進んでいった。


「もうフードを取っても良さそうですね」


私とガブリエルはフードを取って穏やかな風と湖からの景色を楽しんだ。


「すごい綺麗ねえ。ここが人気の保養地なのがわかるわ」


「そうですね。たまには街から離れて自然の中に来たくなるのでしょうね」


「今日ここに来れて良かった。ガブリエル、また来ようね」


私がガブリエルに向かってそういうと、ガブリエルは一瞬固まって、少し涙目になって言った。


「はい!はい、必ず!また来ましょうね」


この街は穏やかないい街だな。


そう思っていた。


ボートで岸に戻るまでは。




読んでいただきましてありがとうございました。

感想のお返事返せないことが多いですが、必ず読んでます。

引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。

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