避暑地カルトス①
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
次の日、私達はアルバーンを立ち、新たな街へ向け出発した。
「ソフィアとガブさんは次の街カルトスについて言っておくことがある」
馬車の中で父が私とガブリエルに向かって改まって言った。
「リジーさんは知っていると思うが、次の街カルトスは貴族の保養地として有名な街だ」
ふんふん、それで?
「我が国は貴族制はとっていないが、他国には貴族という特権階級の者たちがいるんだ。その人たちからすると、我々は庶民ということで、下に扱われることもある」
貴族か…面倒そうだな。
「ソフィア様を下に扱う愚か者がおりましたら、即刻始末してしまいましょう」
ガブリエルが物騒なことを言い出した。
「待て待て、始末は最後の手段だ」
最後の手段って…父よ。
「貴族たちは面倒ではあるが、我がロイド商会の得意客だ。特に避暑地に来て財布の紐が緩んでいる貴族はカルトスの街に結構なお金を落としていってくれる」
つまり何が言いたいのか。
「そこで、外見が目立つソフィアとガブさんが貴族に目をつけられないようにしたいと思うんだが、どうだろう」
「そうね、ガブさんもソフィアちゃんも貴族が好きそうな外見だもんね。見つかったら絡んでくるやつもいそうね」
リジーさんもそういうなら、そうなのだろう。
「とりあえず、カルトスに入ったらこれを着て欲しい」
父は私とガブリエルにフードのついた地味なグレーのマントを手渡した。
「これで少しでも目立たないといいが」
まさかこれ、フラグじゃないよね。
その夜。
野営もすっかりなれた物で、ガブリエルも私と共に料理係となっていた。
父にわざわざ食材をもらいに行かなくてもガブリエルのインベントリに入れておけばいつでも取り出せるので魔法袋いらずである。
今日のメニューは鳥の唐揚げだ。
先日のアルバーンの街で、お鍋や調味料を手に入れたので料理の幅が広がって嬉しい。
昨日の夜下味をつけておいた鶏肉に粉をつけてそっと油の中に入れる。
ある程度揚げたら一度お皿に移して、温度を上げて二度揚げしていく。
「いい匂いですね、ソフィア様」
ガブリエルはすっかり地上の食べ物が気に入ったようだ。
さっき千切りしたキャベツに唐揚げを盛りつけて出来上がりだ。
「ガブリエル、昨日仕込んでおいたスープを出してくれる?」
「はい、これですね」
ガブリエルが熱々のスープが入った鍋を取り出す。
「ありがとう。皆を呼んでくれる?」
鍋を受け取って、スープを盛り付けながらガブリエルに頼んだ。
「かしこまりました」
ガブリエルはあっという間にみんなのところへ呼びに行った。
「今日もいい匂いだな!」
「今日のメニューはなんだい?」
「わあ今日も美味しそう!」
皆がやってきて、ガブリエルから唐揚げを、私からスープの皿を受け取る。
「ウマっ!なんだこれ、初めて食べるがうますぎる」
「外はカリッと中はジューシーで肉の旨みが溢れてくるわ」
最近皆の食レポ力が上がってきたようだ。
「ソフィア、これはなんていう料理なんだい?」
ジェイコブが尋ねる。
「これは唐揚げっていうんだよ。鶏肉に卵や調味料で下味をつけて、粉をまぶして揚げたの」
「ソフィアは料理の天才だな。いつもうまい料理をありがとう」
お父さんが嬉しそうに食べている。
こちらこそ、ありがとう。
褒められて伸びるタイプです。
「ささ、ソフィア様も冷めないうちに食べましょう」
ガブリエルが自身と私の分を用意してくれた。
サクッ。
うん、美味しい。
私が考えた料理ではないんだけど、褒められて悪い気はしない。
前世で料理をしていたのが、役に立って良かった。
明日はいよいよ新しい街だ。
なんとか平穏に終わりますように。
読んでいただきましてありがとうございました。
感想のお返事返せないことが多いですが、必ず読んでます。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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