表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
240/249

第二回柴武会談中編

先日、池上彰氏の講演会「ニュースから見る世界情勢」に行ってきたかいがありました。(笑)

「天下を掠め取るつもりだろ?」



希美のその言葉を聞いた信玄が、戦国武将『武田信玄』としての顔を希美に見せた。

その笑みは海千山千の猛者の凄みがあり、畏怖すら感じさせる。

希美は、日頃『節操無しのBLハーレムサンドイッチ武将』と馬鹿にしていた信玄の思いもよらぬ老獪な迫力に、ギャップ萌えで思わずキュンと内股になってしまったほどだ。


そんな希美の心の内をよそに、信玄は希美に体を向け、ひたと視線を合わせながら聞いた。


「何故わかった?」

「うーん、せっかく海も手に入れて国が豊かになってるのに、まだ必死こいて越中攻めしてんのとか、やたらに私に恋文送ってきていかにも加賀に来ようとしてる感じとか、色々腑に落ちない点があったけど、一番は信玄の『眼』だね」

「『眼』、だと?」


信玄は興味深そうに希美の話を促す。

希美も信玄の問いかけに頷いて話を続けた。


「私はこれまで、多くの(えろに)目覚めた人を見てきた。彼らは私を神として崇めたり、敬ったりしてくれる。その眼は、振り切れそうな欲棒ゲージがたまにうっかり暴発しながらも、えろに生きがいを見出だして満たされているんだ。そこが逆になんかちょっとヤバいというか、怖いんだよな……。でもお前、えろ教徒騙ってるけど、眼が違うんだよ」


信玄がすかさず腰の武器に手をやり、セクハラ発言をかます。

「ふっ、欲棒の暴発ならいつもしておるがな」

「湯の中で入欲剤暴発させたら、越中攻めで手薄になってる武田領に攻め込むから」

希美は真顔で釘を刺してから、話を戻した。


「それにな、えろではない武将も、うちと友好的な関係になれば、よほどの理由がない限り自国を守り発展させるのに力を注ぐ。なんせえろ教徒もボランティアで行ってるし、友好国になれば柴田家との貿易が始まるから次第に豊かになっていくからなあ。まあ、守る戦いは強いられるかもしれんがな」

「なるほど、のぞみがわしの領に田畑を作り、蚕を育てさせて絹糸の取引を行うは、それで産み出される富に満足させて自領を拡げさせぬためか」

「まあそれもある。でもそれだけじゃないよ。友好国にしろ属国にしろ、国力の格差がない方がお互いのためになる。特に織田領が拡がれば、格差が豊かな土地に流民を呼び込みかねんし、新たな火種になるかもしれん。EUの二の舞は御免だからな」

「いいゆう?」



EU、欧州連合は、度々戦火に巻き込まれがちなヨーロッパ諸国が、戦争にならぬためにどうすればいいかと考えて、「じゃあ国境なくしちゃえばいいんじゃね?」と始まった。で、人やものの流通をガバガバにした結果、貧乏な国の人間が大量に金持ち国に出稼ぎ殺到。

貨幣価値が違うから、金持ち国で少し稼げば自国に豪邸が建ってしまうのだ。

そうして、金持ち国の人間は職を奪われ、自分達の税金で賄われるサービスも我が物顔で享受する余所者達に、金持ち国国民の不満が爆発。

金持ち国国内で、余所者排斥主義の過激派がテロるわ、国が割れるわ、大混乱になったのである。(急な世界情勢ぶっこみ)



「お主が何を言っておるかよくわからんが、わしが戦を続けるのが、お主に不審を持たせたというわけか」

「貧乏が嫌で戦してるって言ってた奴が、豊かになりつつあるのに戦続けてんだ。お前がヒャッハー武将か、他に理由があるのか、どっちかだろ」

「わしがその、『ひゃっはあ』とやらかもしれんぞ?」

「どっちにしろ、そんな奴が隣国とか、御免被るね」

「『ひゃっはあ』とは一体なんなんじゃ……」


モヒカンでトゲのついた服を着て、「汚物は消毒だあ」と喚きながら弱者を虐殺して喜ぶようなサイコパスである。


「まあ、信玄はサイコパスって感じじゃないからな。お前のそのギラついた眼な、ベンチャー企業の社長の眼だよ。自信に満ち溢れてて、天下盗ってやるって、そういう絡んだら面倒臭い眼をしてる」


「ハッ、織田の小僧とて似たようなものではないか」と信玄が尊大に鼻で笑うのを、希望は嫌そうに返した。

「だから、だよ。お前はいつかうちの殿とぶつかりかねん。それこそお前が越中手に入れたら、私に会いに来るとか言って、加賀に居着いて私を取り込んでさ、その内好機を見計らってうちの殿を追い落とすか殺すかして、一発逆転狙いそうだわ」


信玄が目を見開いた。

そして、少し緊張を孕んだ怖い顔で口の端を上げた。


「なるほど、えろの神、御仏の加護持ちよ。予知か、いや、わしの心を読んだか。そこまでわかっておったとはな」

「……お、おう。まあなっ。ほら、私にはまるっとお見通しだから……」


(全部当たってたー!私、すげーーー!!!)


予想はしていたが、こうまで予想通りだとどうにも嬉しくなり、内心興奮状態の希美である。

だが、信長を害されるとあれば、信玄にこのまま越中を攻略されるわけにはいかない。

こういう男は、甘くしていると反省しない。

貿易停止などの経済制裁は、さらに反発されて先々希望の方にも影響が出そうだ。

ならばお仕置きのためにも一戦して完膚なきまでに叩きのめし、マウントを取るしかない。


(合戦だと死ぬ奴が出そうだし、武田家中の者の立ち会いの元、タイマンで行くか……?)


希美はザバリと立ち上がると、信玄を見下ろして宣言した。


「信玄よ。お前がうちの殿を害するつもりなら、私はお前を止めねばならん。私はお前に果たし合いを申し込む!」


「果たし合いだと!?」

目を剥く信玄に希美が告げる。

「ああ、いや、私はお前の命を取るつもりはない。だが、お前を捩じ伏せるつもりだ。お前も私を捩じ伏せてみろ。どうせ私は死なんから、思う存分やれ。そうだな、お前の意識を失わせたら私の勝ち。私に尻か膝を地につかせたら、お前の勝ちだ。今後は勝った者に従う。どうだ?」


「命を取らぬ果たし合い……」


信玄の目の前で、希美の勝家おじさんが無防備に晒されている。

手を伸ばせば簡単に握り潰せそうな距離感だ。

信玄は無害そうにぶら下がる勝家おじさんを睨みながら思考した。


(果たし合い。捩じ伏せて果たす……。なるほど、()()いうことか!尻を地につかせるとは、のぞみを捩じ伏せわしが上に乗る『受け』の形。膝をつかせるは、わしが後ろから乗る『攻め』の形。のぞみがわしを捩じ伏せた場合は、受け攻めどちらにしろ、わしの意識を飛ばしたがのぞみの勝ち!そういう事かあっ!!)


違う。断じて違う。

だがサンドイッチ武将の信玄の頭には、それしかなかった。


それにしても、この果たし合い、どう転んでも地獄しかない。



信玄は、挑戦的な笑みを浮かべてザバリと立ち上がった。


「その果たし合い、受けた!わしもその道では猛虎と呼ばれた男。やりようによっては、お主の腰を砕き、地につかせる事もできよう」


そうなれば、えろの神を、いや柴田権六という男を己れに従わせる事ができる。

この男と共に歩む覇道、それはずいぶん面白かろう、と信玄はほくそ笑んだ。

信玄は野心家ではあるが、希美を欲したのは決して野心からだけではなかったようだった。


だが、これは信玄にとって、大博打である。

負ければ大名たる己れが他国の武将に従う事になる。命じられれば、上杉同様、武田家が丸ごと柴田家に取り込まれる事になるだろう。

単純な力比べなら、希美の勝ちだ。勝負にもならない。しかし、信玄はえろに自信があった。希美はえろの神ではあるが、自身でえろを実行しない。その事を、信玄はわかっていた。

だからこそ、信玄は密かに、実技では希美に勝てるかもしれぬという自負があった。

つまり、えろという得意の道で、頭と技を使う勝負なら、こちらにも分があると信玄は判断したのである。


(わしを殺さぬ甘い男よ。わしとて、お主の眼を見れば、わしに害意があるかどうかはわかる。この乱世で、唯一信の置けるわしの友かもしれぬな。織田の小僧なんぞには勿体ないわ)


天下ものぞみも、全てを自分のものにして見せる。

そう決意して対峙する信玄に、希美は事も無げに言った。



「ああ、そうだ。一応お前の家臣達立ち会いのもとにした方が、武田の家臣達にも結果に納得してもらえるだろう。果たし合いは、できるだけ多くの武田家家臣の前でヤろう」



家臣みんなに見られながら、だとおおおお!!?」


やっぱり、えろの道では希美に敵わない。

ヤる気スイッチを押された信玄の軍配団扇は、いつでも出陣可能な状態となった。

※ここの所のお風呂回にことよせて


昨日、ストレス発散に一人カラオケで四時間、休みなしぶっ続けで歌い続けてきたのですが、四時間もぶっ続けだと、予約履歴を途切れさせぬために子どもの頃以来の懐かしのアニソンとかも入れてしまうわけです。

大昔、古本屋に置いてあった二次創作本きっかけで、鎧伝サムライトルーパーというアニメにめちゃめちゃはまりましてね。

そのオープニングソング『サムライハート』に歌詞が、すぐ脱がされる希美を彷彿とさせることに気付いてしまいました。

なるほど、具足を脱いで肌をさらそう、と……。(歌詞はのせられないので、意訳です)

いやー、知将のルーツはここにあったのかもしれませんね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ