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兵団子の夜

短めですが、更新します。

ごめんなさい。もう眠くてたまらないので、マイナー神の感想返信は明日に必ず!

「はふうっ!はふうっ!……はああっ!!」

「くっ……くひぃっ!」

「股を絞めろ!!三角鞍を限界まで挟むのだ!我慢すればするほど、堕ちた時はたまらんぞお!!」


三角鞍の変態長、七里頼周しちりよりちかの檄が飛ぶ。

希美率いる柴田軍は、北陸道から和田川沿いを上流に向けて爆進している。

もう少しで師走だ。

道中の道には雪が薄く積もって随分冷え込んでいるが、変態武士集団の熱気は、それを凌駕して、湯気となって喘ぎ声と共に山中に霧散した。


「それにしても、ももちん、なんでお前まで、三角鞍に?」


希美はなんとなく三角鞍隊が気になって、怖いもの見たさでつい振り返り、よく見る顔が三角鞍隊に紛れているのに気付いた。伊賀忍者の百地正永である。

同じ忍者のタラちゃんやイクラちゃんなら、日も明るいのにド派手な忍者服で元気に並走しているのに、百地正永だけ三角鞍とはどうした事か。まさかのまぞ忍だったのか。

希美は、思わず馬の足を緩めて、百地正永の隣に並び、三角鞍に乗っている理由を尋ねたのである。


正永は、苦悶と恍惚の混ざった表情で答えた。


「ふぐうっ!ふむふうっ!んぐううっ」


希美は、並走しながら馬を寄せ、そっと正永の木玉ぐつわを外してやった。


「三角鞍にぃっ!乗っているとほおっ!三角隊の方があっ!大きくなるってへへええ!!」

「あー、なるほど。そういえば、PC筋鍛えると大きくなるって聞いた事があるわ」


希美は納得した。そして再度馬を寄せて、外した木玉ぐつわを装着させてやる。

正永は嬉しそうに笑んだ瞬間、気が抜けたのか股の力が緩まり、ずるりと腰が落ちた。


「━━━ッグアアーー!☆☆☆」


しかし、PC筋を鍛えるのに、木玉ぐつわを装着する必要はないのだが。

希美は、首を傾げながらも、(まあ、知らなくていいような気がするな!)と全ての疑問を放り投げ、馬を前へ進めた。




さて、神保氏の居城である増山城は、和田川の上流、山深い土地にある。

武田の軍勢は、そこへ押し寄せた。

武田信玄は和田川を挟んだ城下町に押し寄せ、非戦闘員だろうが関係なく蹂躙して城中に追いたてると、そこに布陣した。

増山城は、名に聞こえた堅牢な名城である。まずは城下の住人を大量に抱えこませ、城内の糧食をどんどん消費させるちょっとした嫌がらせである。

このまま囲んで、飢えて戦う力のなくなった所に降伏勧告の使者などを出してもよいし、どうしようもなくなってへろへろのまま一か八かで攻めてきた所を攻め返して滅ぼしてもよい。

信玄は、そう絵図面を描いたのだ。


だがここで問題なのは、神保氏と同盟を結んだという加賀柴田家の動きである。

歩き巫女からの情報によると、加賀は能登の仕置きと、伊勢にいる柴田勝家への救援に兵を割いているため、こちらにすぐ攻めてくる事はないようだ。

信玄は安心して、神保氏の増山城を囲んだ。

とはいえ、悠長にしていている間に周辺国が落ち着き、加賀から兵を出されてもこちらに割かれても困る。

早めに増山城を落として、後手に回った希美を誘い込み、こちらに有利に話をつけたいものだと、信玄は考えていたのである。


ところが気が付けば、背後を突かれるように、上杉輝虎率いる軍勢がサクッと布陣。

不倶戴天の敵、またはトムとジ○リーな二人である。

仲良く一戦喧嘩した。

後はそのまま増山城の眼前で、武田軍は、神保氏と上杉軍に挟まれる形で、布陣しているというわけだ。


形勢逆転である。

武田軍は、動きを止めた。逃げるにしろ、下手に動くと大損害を被る上に、命を落としかねない。

相手は、あの上杉輝虎なのだ。


そんな状態を打破するための軍議を行っていた時の事だ。

使者がやって来た。

三角の鞍に乗った使者が。

使者は、荒い息の下で言った。


柴田勝家のぞみが会談を望んでいる、と。


現状打開の好機。柴田勝家ともようやく会える。

武田信玄は、一も二もなく、これを了承したのである。




一方、上杉軍と加賀衆の陣幕に到着した希美は、輝虎やえろ兵衛達と合流した。

そして、武田信玄との会談を提案した。


「ゴンさん、あの糞坊主を避けておったのではないのか?」


輝虎に言われて、希美は頷いた。


「確かにな。でも、背に腹はかえられん。戦を決めるのは我々上の人間だが

実際すり減らすのは、兵達だからな。避けられる戦いなら、私は避ける。避けられないなら、全力で潰す」


輝虎が、配下の犠牲を振り返っているのか、苦い表情を浮かべている。

希美は、遠く、武田の陣営の方角を臨んで呟いた。


「全ては、話し合い次第だ。既に武田には使者を出した。会談そのものを拒むなら、全力で潰す。それに信玄には、確かめておきたいこともあるしな」



城下町の方角から、煮炊きのための白い煙が上がり始めた。

煙は上空で薄く広がり、雪雲と一体となって、また地上に帰ってくる。

ちらちら、ちらちらと。


白いものが舞い落ちる。

越後と同様、北陸の冬も厳しい。戦が長引けば、寒さで死ぬ兵も出るだろう。

希美は自軍に凍死者が出ぬよう、火を炊き、寄り集まって抱き合いながら眠るように、兵達に命じた。


兵達は深々と冷えるその夜、きつく抱き合い、人肌で暖め合った。

その中で、熱々のBLが生まれたかどうかは、ご想像にお任せしようと思う。

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