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現在、ピッコマ様にて『公爵さまは女がお嫌い!』のWEBTOONが始まっております!
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カロルとレオポールがそんな会話を交わしている時、ティアナは寝室のベランダで一人涼んでいた。風が髪の毛を膨らませて、頬を緩やかに撫でていく。こうやって夜の時間を過ごすのはティアナの日課になりつつあった。避けられ始めたあの日からヴァレッドとは一緒に寝ていない。彼がこちらに来なくなったのだ。一度どこで寝ているのかと尋ねたら、『執務室のソファだ』という回答をもらった。ヴァレッドが言うには、仕事が忙しいからそこで寝るのが一番効率的なのだそうだ。でもそれはきっと嘘だろう。人のことを信じやすいティアナでもそれぐらいはなんとなくわかっていた。
ヴァレッドはもうこの寝室にはやってこない。こうやって夜風に当たっていても前のようにカーディガンを持ってきてくれたりはしない。
そうわかってはいるのに、こうやって夜風に当たることをティアナはやめられないでいた。毎晩毎晩、期待しながら夜風に当たって身体を冷やしては、十二時の鐘がなると同時に、今日も来てくれなかったと落ち込みながら布団にはいる日々。
だから、今日もこうやって風に当たりながらもティアナはどこか諦めていた。
なのに――
「風邪を引くぞ」
そう声をかけられて、ティアナは振り返った。そこにはヴァレッドの姿がある。湯浴みを終えてきたようで彼の髪の毛はしっとりと濡れそぼっていた。
久しぶりに寝室へ来てくれた彼に、ティアナは嬉しさで声を弾ませた。
「ヴァレッド様!」
微笑んだティアナの顔に、ヴァレッドの口元にも笑みが浮かぶ。しかし、その表情はやっぱりどこか浮かなかった。落ち込んでいる、というのが一番しっくりと来るような表情だったが、瞳の奥にはある種の決意のようなものも見え隠れした。
「温かいミルクでも持ってきたんだが、少し、話をしないか?」
「話、ですか?」
「眠たいのならまた別の日にするが」
「いいえ。大丈夫です」
そう答えて、何の話なんだろうと、一瞬固まった。ヴァレッドの表情からいって、あまりいい話ではないのかもしれない。それでも、彼の表情を見て、逃げられる話ではないのだろうなという結論にも至る。
ティアナはヴァレッドに促されるようにベッドの縁に腰掛けた。ヴァレッドはあらかじめ用意していたのだろう、サイドテーブルに置いてあったホットミルクをティアナに渡した。冷えた肩にいつぞやと同じようにかけてくれたカーディガンが温かい。
ティアナはヴァレッドが持ってきてくれたホットミルクを一口舐める。すると、身体の芯が弛緩して、全身の筋肉がゆっくりと柔らかくなっていく。
ヴァレッドはそんなティアナを見て微笑んだ後、自分のカップに口をつけた。
「ヴァレッド様のは?」
聞いたのは、ヴァレッドの手元にあるカップのなかの色がティアナのものと違ったからだ。ティアナのカップの中は乳白色だが、ヴァレッドのカップの中は濃い赤紫色をしている。
「これはホットワインだ。――飲んでみるか?」
「ありがとうございます」
ミルクのカップと交換するように手渡され、ティアナはお礼を言った。そうしておずおずと口をつけて、目を見張った。
「お、美味しいですわ!」
「少し癖の強いぶどうジュースみたいなものだからな。アルコールは飛ばしてあるし、ティアナがいいならそっちを飲むか?」
「いいえ。アルコールが飛ばしてあるといっても、なんだか少し酔ってしまいそうですから。私はミルクで」
ヴァレッドはアルコールは飛んでいると言ったが、それでもゼロというわけではないだろう。この程度のアルコールでも、カップ一杯ほど飲めば、ティアナはきっと酔ってしまう。
二人は再びカップを交換した。
「それで、あの、お話とは何でしょうか?」
率直にそう聞いてしまったのは、これ以上ヤキモキしたくないからだった。彼がこれから話すことがティアナのいいことではない以上、早く聞いて心を楽にしたかった。
「そう、だな……」
ヴァレッドはそう言い淀んだあと、カップの中のワインを再び煽った。そうしてうつむきながらじっと言葉を探したあと、ティアナの方を見ることなく音を落とした。
「俺は、君と結婚できてよかったと思っている」
「へ?」
告げられた言葉は予想していたものとは違った。
ティアナが目を瞬かせていると、彼はそのまま更に続ける。
「最初の印象は決して良いものではなかったが、君はいつも俺の予想の上を行く。一緒にいて楽しかった。君には感謝してもしきれない」
「ヴァレッド様……」
「こんなにずっと一緒にいても不快にならなかった女性は君が初めてなんだ。君のような女性には、もうこれ以上出会えないと思う」
うぬぼれでなければ、それは愛の告白のように聞こえた。ティアナだって以前よりはそういうことに強くなっているのだ。恋愛小説を見て、彼への気持ちを知って、彼の視線にこもる熱を正しく理解できるようになった。だから、以前のように勘違いすることなく、ティアナは彼の言葉を言葉通りの意味で受け止めることができた。
だからやっぱりそれは、愛の告白だった。
「何度も言ってるから、君にきちんと伝わるかわからないが、俺は君が好きだ。……だから、ティアナ。離縁しよう」
その言葉に、優しい視線に、ティアナは大きく目を見開いた。唇を開くが、なにも音が出いてこない。それぐらい驚きが勝ってしまっていた。もうなにをどういったらいいのかわからない。好きだと言われた事実が胸の真ん中を射抜いているのに、その言葉と同じ温度で放たれた『離縁』が手足の先をじわじわ冷たくしていく。
「理由を、伺ってもいいですか?」
そう言った自分の声は思った以上に震えていた。ミルクの入ったカップを持つ手もわずかに震えている。
「理由、か」
「私がなにか、してしまったのでしょうか?」
「君がなにかをしてしまったということは絶対にない! ……理由は、俺だ」
「ヴァレッド様が?」
ヴァレッドはサイドテーブルに自分のワインを置いた。ティアナの震える手を見たのか、彼女のカップも手にとってサイドテーブルに置く。
「落ち着いて聞いて欲しい。俺は、ドミニエル家の子供ではない」
「え?」
「俺は、アンドニ・ドミニエルの子供ではないんだ」
言っている意味が分からなくて、ティアナはしばらく目を瞬かせた。
「俺を産んだ人が、妾だったのは知ってるな?」
「はい。ドナ様に子供ができなくて、仕方なくお妾にした方だというのは、知っています」
「俺を産んだあの人は、ドミニエルの屋敷に来た時、もう妊娠していたそうなんだ。そして、父と母はそれをわかった上で、俺を実の子供として育てた」
告げられた驚愕の事実に、ティアナの声は上ずった。
「本当、なのですか?」
「あぁ、ジスが俺を取り上げた産婆に確認してきたそうだ。俺が生まれた日と、あの人が屋敷に来た日がどう計算しても合わない。屋敷に来たときにもう妊娠していなければ、俺がその週数で生まれてくることはないそうだ。その後俺を診察した医師も同じような結論に至ったというから確実だな。二人の口を黙らせたのは当時のドミニエル公爵だった」
ティアナは言葉を発することができなかった。なにを言えばいいのかもわからない。
「俺も、うすうすは気がついていたんだ。父と俺はどうやっても共通点がない。髪の色も、目の色も、容姿も、何一つ似ていないんだ」
「アンドニ様には確かめたのですか?」
ヴァレッドは無言で頷いた。
「しばらくごまかすようになにか言っていたが、最終的には認めたよ。俺を実の息子として育てるのは、俺を産んだあの人からの提案だったそうだ。父も元々あの人にあまり好感を持っていなかったらしいからな。だから、これ幸いにと提案を呑んだそうだ」
「それじゃ、脅迫文に書いてあった『ヴァレッド様の秘密』って」
「十中八九、これのことだろうな。どういう経緯か知らないが、俺の出生の秘密を握られてしまったらしい」
ヴァレッドは重苦しい息を吐いた。
「このことはいずれエリックにも知られてしまう。そうなった場合、俺はドミニエル公爵ではなくなるだろう」
「でも! 子供ができな方は親戚筋から子供をもらってくることもありますし――」
「親戚の息子を養子に取る事はあっても、どこの馬の骨とも知らぬやつに爵位を任せるようなやつはいない。それより何より、国を騙していた罪は大きいからな」
「罪って……」
「エリックはさすがにこんなことで相手を罰することはしない。子供だった俺に何が解るとも思えないだろうからな。しかし、爵位の剥奪はもうどうやっても避けられない。別に俺だけならそれでも構わないが、このまま君と婚姻関係を続けていたら、君にだって迷惑がかかってしまう。だから――」
「離縁ですか?」
ヴァレッドはティアナの方を見ずに深く頷いた。
ティアナはそんなヴァレッドの横顔をしばらく見つめた後、ゆっくりと逡巡をする。そして、首をかしげた。まるで、よくわからないというように。
「私に迷惑、ですか?」
「あぁ」
「もしかして、ヴァレッド様とこのまま婚姻関係を続けていたら、私になにか罰が下るのでしょうか?」
「そんなわけ無いだろう!」
「なら、なにが迷惑なのですか?」
ティアナは心底わからないというような顔でそう聞いた。さすがのヴァレッドもこの質問は予想外だったのか困惑に眉を寄せている。
「ヴァレッド様が貴族でなくなったとして、それで私に迷惑がかかるなんてことありませんわ!」
「君はまたそんな――」
「むしろ私、ちょっとワクワクしてきましたもの!」
ティアナの明るい声に「ワクワク?」と、ヴァレッドはどこかいつもの調子を取り戻したように怪訝な声を出した。ティアナもティアナで、先程までの切なさなんてとうに忘れたような満面の笑みを浮かべている。
「ヴァレッド様、私、お花屋さんがいいですわ! 得意の刺繍を生かして、針子や意匠屋になってもいいかもしれないですわね!」
「君は何を――」
「私は、ドミニエル家に嫁ぎました。でも、結婚したのはほかならぬヴァレッド様とですわ! 私はヴァレッド様とだから一緒にいたいのです」
ティアナはヴァレッドの手を握る。彼の告白に勇気をもらったからか、そこからの言葉はなんのつかえもなく溢れ出てきた。
「私、最近気が付きましたの。私、ヴァレド様の事が大好きですわ。この気持ちはきっとお父様がお母様に向けるような、お母様がお父様に向けるような、そんな『好き』だと思うんです!」
「は?」
「もし、私のこの気持ちがご迷惑でないのなら、ヴァレッド様が平民になっても私と一緒にいてくださいませんか?」
「君は――」
ヴァレッドは、しばらく声を発せられないでいた。やっとの思いで絞り出したというような言葉にもティアナは軽やかに返す
「君は、その言葉の意味がわかってるのか?」
「意味とは? 私はただ、ヴァレッド様と一緒にいたいだけなのですが」
ヴァレッドは思わずといった感じで両手で顔を覆った。
そして、長い長い沈黙の後、まるで降参だというようにこう呟いた。
「本当に君の前だと格好がつかない……」
「え? そんな事ありませんわ! ヴァレッド様はいつも格好いいです。格好をつけてなくても格好がいいだなんて、ヴァレッド様は本当に素敵な――」
また斜め上のことを言い出した彼女を黙らせたかったのかもしれない。ヴァレッドはぎゅっとティアナを抱きしめてきた。彼の胸板に溺れつつ、ティアナはしばらく固まった後、背中に手を回した。そうしていると頭の上に、優しい声が落ちてくる。
「今更、撤回しないでくれよ」
「撤回? なにをですか?」
「君が言ったんだからな? 一緒にいてくれる、と」
「撤回なんかしませんわ。ヴァレッド様がそばにいてもいいと言ってくださるのならば、私はずっとここにいますわ」
「そばに、いてほしい」
涙声というわけでもないのに、その声はどこかかすれていた。ティアナはまるで一つになろうとするようにヴァレッドの身体をさらにギュッと抱きしめる。
「嬉しいですわ! ふふふ、ありがとうございます」
「なんで君が礼を言うんだ」
「だって嬉しいんですもの。今まで生きてきて、こんなに嬉しいこと初めてですわ。ヴァレッド様はいつも私のことを幸せにしてくださいますね」
「だからなんで、君は俺のセリフを全部取るんだ」
しばらく頭にも触れてこなかった彼の大きな手が、ティアナの頬に触れた。
「君と出会えてよかった」
「うふふ」
「どうかしたか?」
「今度は私のセリフを取られてしまいました」
ティアナがおかしそうに笑うと、ヴァレッドもつられたように肩を震わせた。
「あぁ、やっとわかった気がする。これが愛おしいという気持ちなんだな」
染み入るようにそう言われ、ティアナは嬉しさにヴァレッドの胸に顔を埋めた。
二人はベッドの上に寝転がりながら、天井を仰いでいた。明かりもつけていない室内は暗く、月明かりだけが室内の床を滑る。
ティアナは楽しそうに頬を引き上げた。
「楽しみですわね」
「平民になるのかが?」
「えぇ。お家ってきっと今のお屋敷よりも小さいですわよね? そうしたら、今まで以上にヴァレッド様と一緒にいれるじゃないですか!」
ティアナの言葉にヴァレッドは一瞬虚をつかれたような表情になる。
「もしかして、寂しい思いでもさせていたか?」
「実は、少しだけ」
こちらを向いたヴァレッドに応えるようにティアナも彼の方を向く。少しを表すように指で何かをつまむような仕草をすると、ヴァレッドは少し困ったような顔で「すまなかった」と口にした。
「あと、私少し夢がありまして」
「夢?」
「いずれ私達の間に子供ができたときに、家の中が子供たちの声でいっぱいになればいいな、と。今のお屋敷では子供を何人産めばいいのかわかりませんから」
「は?」
「それとも、今から頑張ればたくさん子供がもうけられるんでしょうか? でもさすがに、私も十人は産めないと思うんです」
本気で悩みだしたティアナに、ヴァレッドは思わずといった感じでふきだした。
どうして笑われたのかわからないティアナは目をパチクリとしながらヴァレッドの方を見る。
「子供か、そうだな、子供。君との子供なら、可愛いだろうな」
「本当ですか? もしかして、儀式をしてくださる気になりましたか?」
「儀式? あぁ、そんな話もしたな」
数ヶ月前、子供が欲しいといい出した彼女に、ヴァレッドは『儀式をすると子供ができる』というようなことをいった。きっとそのことを思い出しているのだろう、彼の目は何かを思い出すかのように優しく伏せられる。
ヴァレッドはしばらく何かを考えた後、天井を見つめたまま、ティアナにこんな提案をした。
「儀式、するか?」
「本当ですか!?」
「いや、その、そうだな。君が途中で嫌がらなければ……」
「嫌がる?」
「女性には、負担があるものだと聞いたことがある」
こちらを向くヴァレッドの頬が赤い。一方、どんな儀式をするのかわからないティアナは無邪気に子供を作る機会が設けられたことに喜んでいた。
「負担、ですか? 女性の方に負担があるのでしたら、男性の方にもなにかあるのでは?」
「男性の方は、その、あまりない、らしい……」
ヴァレッドの言葉は歯切れが悪い。その態度でティアナは不安になった。もしかしてヴァレッドは子供がほしい自分のために無理をしているのではないかと。身体には負担がなくても、心には負担がかかるのかもしれない。そう言えば、ヴァレッドは前に言っていたのだ。『心の準備がいる』と。
「ヴァレッド様は、大丈夫なのですか?」
「大丈夫、というのは?」
「いえ、前に作りたいと私が言った時、『心の準備がいる』と仰っていましたので……」
「嫌だってことはない。むしろ、今は、その……」
ヴァレッドはそこで言葉を切り、そばにあるティアナの手をギュッと掴んだ。
「俺は君と、その、儀式とやらをしたいと思っている」
「本当ですか!」
「……あぁ」
「本当の本当にご無理はされていませんか?」
「無理とかは、その、してはない。……させるかもしれないが」
「わ! 私、嬉しいです!」
嬉しそうな声でそう言われ、ヴァレッドはバツが悪そうな顔になった。
「なんだか、君を騙しているような気がする……」
「え?」
「いや、騙しているつもりはないんだが、なんというか、その……」
ティアナが言葉の意味を測りかねていると、ヴァレッドが不意にこちらを向いてきた。
いつになく真剣な目で見つめられ、ちょっと呼吸が止まってしまいそうになる。
「一つだけ覚えていてほしい。俺は君を傷つけるつもりはない。だから、君が嫌だと思ったら、すぐに言ってくれ」
「私、ヴァレッド様にされて嫌なことはありませんわ!」
「……本当だな?」
確認するようにそう言われて、さすがのティアナも少し怯んでしまった。これから自分はなにをされてしまうのだろうか。ヴァレッドがティアナに酷いことはしないとわかっていても、こうも確認されると不安になってくる。
それでも――
「私、ヴァレッド様のことが大好きですわ」
彼の頭を抱え込んで、不安をすべて感情で覆い隠した。だってきっとこの気持ちに勝つような不安なんてなにもない。
「俺も君が大好きだ」
応えるようにそう言わると同時に、耳の縁にヴァレッドの大きな手がかかった。そのまま後頭部に手がまわり、優しく頭を引き寄せられる。唇が重なる直前に目を瞑れたのは、今までしてきた『おやすみのキス』のおかげだろう。
いつもより長く唇が合わさって、ゆっくりと離れた。それと同時に、寝台に押し倒される。こちらを見上げてくるヴァレッドに、ティアナの真相は大きく一つ高鳴って、幸福感が胸を占拠した。彼に向かってゆっくりと両手を伸ばすと、彼はそれを頬で受けて、まるで愛おしそうにすり寄ってきた。手が自然に、まるでそうすることが最初から決まっていたかのように彼の首の後ろに回る。その分だけヴァレッドはティアナに身を寄せ、体はぴっとりとくっついた。
「ヴァレッド様」
「……なんだ?」
今まで誰も聞いたことがないような甘い声。眼の前の彼は小首をかしげた。
「なんか、お腹に硬いものが当たるのですが、懐から出しておかなくても大丈夫ですか?」
「……」
「……」
二人はしばし顔を見合わせる。
ヴァレッドの頬は徐々に赤みを帯びてきて、とうとう真っ赤になってしまった。しかし、ティアナはどうしてヴァレッドがそんなに赤くなったのかはわからない。
「あ、もしかして、今からの儀式で使うものなのですか?」
「…………いや、まぁ、そうだな。そう、なんだが、あの……」
ヴァレッドは見ていられないとばかりにティアナから顔をそらした。
「君は本当に、どうして、そう、なんだ……」
ヴァレッドがそう低く呻いて、二人の最初の夜は始まった。




