『第18話:鏡像の死闘、繋がれた回路』
第17話、零の絶望への温かい応援ありがとうございました。
「……私、おじさんを壊すために、隣にいたの……?」
仕組まれた運命だと嘲笑う独裁者ガイル。
しかし、零の記憶の底に眠っていたのは、母親の命懸けの「反逆の願い」でした。
兄・皇のデータ、母の祈り、そして零の涙。
全てのピースが揃い、孤独王はついに「完璧な予言」を打ち砕きます。
目の前に立つ漆黒の機体――それは皇の戦闘データを移植された、感情なき殺戮人形だった。
おじさんの「目」が、その機体の予備動作を捉える。だが、それはおじさん自身の視界と完全に同期しており、鏡合わせのように互いの動きを封じ込めていた。
「……皮肉だな。兄上の影を、今度は俺自身が『計算』で殺さねばならんとは」
おじさんの脳細胞が、限界を超えた熱を発する。
黒い機体の剣筋は、一寸の狂いもなくおじさんの急所を貫こうとする。だが、おじさんはその刃を、あえて避けない。
「……おじさん、危ない!!」
零の叫びが響く中、おじさんの肩を漆黒の刃が貫いた。
だが、おじさんは苦悶の表情すら見せず、血に濡れた手で機体の腕を掴んだ。
「……捕まえたぞ、兄上。……いいや、ガイル。貴様の作ったプログラムは完璧だ。だが、貴様は……この男の『本質』を見落としている」
おじさんは、機体を通じて王都のメインサーバーへ逆ハッキングを仕掛ける。
同時に、零が静かに瞳を閉じた。彼女は自分の中に眠る、母の「歪められた記憶」のさらに奥底へと潜っていく。
「……見つけた。お母さんが、わざとノイズを混ぜて隠してた、本当の記録……!」
零の『完全記憶』が、ガイルの知らない深層データを掘り起こす。
モニターに映し出されたのは、冷徹な科学者としてではなく、赤ん坊の零を抱いて泣いている母親の姿だった。
『ごめんね、零。あなたをこの地獄から救う方程式は、私には解けなかった。……だから、いつか出会う「最強の脳」に託す。……二人が出会うこと、それが私が出した唯一の反逆よ』
「……お母さん……っ!!」
零の叫びが、おじさんの演算に爆発的なエネルギーを与える。
おじさんは、漆黒の機体の奥底に眠る「皇の意志」に語りかけた。
「……兄上。もう、人形のフリをする必要はない。……俺と一緒に、この腐った箱(国)を壊そう」
瞬間、漆黒の機体の瞳が紅く発光し、そして――静かに消えた。
機体はガイルの制御を離れ、逆に玉座を守る防衛障壁へとその刃を突き立てた。
「な、……何だと!? プログラムが上書きされたというのか!? ありえん……『心』などという不確かな変数が、私の完璧な数式を越えるはずが……!」
ガイルが椅子から転げ落ちる。
おじさんは血を吐きながらも、零の元へと歩み寄った。
残り時間は、あと600秒。
「……計算、終了だ。ガイル。……貴様の敗因は、俺たちの『絆』を、ただのバグとして切り捨てたことだ」
崩壊を始める管制タワー。
おじさんは、涙を拭った零を抱き寄せ、震える手で最後の方程式を、空中に描き出した。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
母親が実は二人の味方だったという展開、執筆しながら自分でも熱くなりました。
おじさんと零が出会ったのは偶然ではなく、一人の母親が残した「未来への賭け」だったのですね。
皇の機体と共に戦うシーンは、まさに兄弟の共闘。
ついに独裁者ガイルを追い詰めましたが、おじさんの命の灯火は残りわずか10分。
次回、第19話。
「数式の果てに、君と笑う」。
ついに決着。そして、孤独王が零に残す「最後の贈り物」とは。
「……第19話:数式の果てに、君と笑う」
あと2話。最高のフィナーレに向けて、全力で書き上げます!




