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おから料理審査会告知

 この日、各領地から集められたコック達は全員見事におから料理をマスターする事に成功した。


 早めにマスターしたものは、その料理を元にアレンジを考えている。


 そうするように、私が望んだ事でもある。


 私はこの世界にある材料や調味料には詳しくないから、プロのコックに任せた方がより良いおから料理が出来るのではないかと思ったの。


 深夜十一時を回った頃、ひと段落付けて、各々談笑に花を咲かせていた。


「皆さん、お疲れ様でした。皆さんが精力的に取り組んでくれたお陰で、予想以上に早く講習を終える事が出来ました。本当にありがとうございます」


 そう言って深々と頭を下げると、皆から拍手が湧いた。


「いやぁ、本当に楽しかったです。こちらこそ、ありがとうございました」

「アスカさんにも出会えたし、新しい料理も覚えられたし、良い事尽くめだったよ」


「俺も、俺もそう思う!」

「お前はアスカさん目当てだろ」


 どがっと笑いが起きる。


 毎朝一緒にご飯を食べたお陰で、皆の結束も固まったようでみんな仲がいい。


 でもこのまま綺麗に終わらせるつもりは、残念ながら私にはなかった。


 全ては国民の為、国の為、私の為……おっと。


「領主達がこの城に集結するまで、まだ一週間ほどあります。そこで、皆さんには新たに課題を与えたいと思います」


 私がそう言うと、しん、とした沈黙が流れる。


 課題、と聞いて嫌がっている訳ではなかった。


 皆その目には力が籠り、挑むような目つきへと変わっている。


 どんな課題が来ても必ずクリアしてやるという気概が窺えるようだった。


「おから料理審査会を開催します。


 私が教えた基本的なおからを使って、オリジナル料理を考案して下さい。団子とハンバーグを利用しても構いません。


 審査基準は、味付け、見た目、コスト、この3つとなります。コストとは、その料理にかけた材料費の事。 


 元々おから料理は貧窮している国民の為に考案した物。余りにも高値の材料を使用しては、手が届かなくなる。その理由からです」


 皆が頷いた。おから料理を考案した原点を忘れてはいけない。その事を良く理解してくれているようで、私は嬉しくなった。


 更に私は言葉を続ける。


「そして、それとは別に、今度は高い材料費を利用したおから料理を考案して下さい。つまり、審査に出す料理は低コストの物と、高コストの物の二種類となります」


「高コストのおから料理は何の為に作るんですか?」


 良い質問ね、若者君。


「まだ先の話になりますが、私はこのユーラにおから料理のお店を出店する予定でいます。その際に、上位三名のメニューを店に出したいと思っています」


 ざわっ! にわかにその場が騒めき出す。


 アスカさんが、店を出すのか!?


 そこに、俺達が考えた料理が並ぶって?


 すんげぇ!夢みたいだ!!


 互いに目をキラキラさせて、興奮している。


「その為に皆さんのお力をお借りしたく思います。審査会はこれから5日後に開催する事とします。


 詳しい詳細はまた後ほどお伝えします。


 また、御当主様の許可も得て、城下町内にある食事処の厨房を借りる事も出来ました。それらの厨房を活用し、お互いに切磋琢磨してより良い料理を生み出して下さい。楽しみにしています」


 私はそう言って、にっこりと笑った。


 翌日から、コック達の姿を城内で見かける事は殆どなくなった。


 朝には相変わらず私のテーブルには、山のような料理が並ぶので、朝は厨房に押しかけているのだろう。


 でも、朝食を取り終わると、嘘のようにコック達は姿を消した。


 この審査会の開催を思い付いた時、真っ先に問題だと思ったのは場所。


 城内の厨房はキッシュ達が仕事の為に使う。


 その為考え付いたのが、シャッター街と化した城下町だった。建物も内装もそのまま残っているゴーストタウンを利用しない手はない。


 そこでその空き店舗の利用をユリウスに頼んでみたらあっさりと許可が下りた。


 ま、断る理由もないわよね。


 審査委員として騎士達の協力を得る事も決まっている。


 お腹を空かせた騎士達はきっと綺麗に平らげてくれるに違いない。


「予にも参加しろと?」


 謁見の間。またしてもそこに私はいた。


 部屋とこの謁見の間を往復するだけで良いダイエットになるんじゃないかと思う。体重計ないから分かんないけど。


「はい。良ければ、ですけど。


 今回の審査会は、安価な材料を使ったおから料理と、高額な材料を使った高コストの料理が出ます。御当主様には、高コストの料理の審査に協力して貰えれば、と思っています。


 高コストの物は、日頃より舌の肥えた人間が審査するのが一番良いですから。忙しいようでしたら、無理に……」


「よかろう。そこまで言うのであれば、参加しよう」


 言葉も終らぬうちに返事が来て、若干引きながらも、私は笑顔を作る。


 そこまで言うならって大した事言ってないわよ、私。実は誘われるの待ってたんじゃないの、この人。


 その顔は、やや不機嫌そうで、やっと誘ったなとでも言いたそうである。


「ありがとうございます。時間の許す限りで良いですから。それと、せっかく城内に大臣閣僚の皆様もいらっしゃっている訳ですし、時間をずらしながらでも、参加して頂けるようにして下さると、より審査にも信用性が増すと思うんです。


 もちろん、高コスト限定の審査に付いて頂きます」


「法案も纏まり、伝令も走った後ですから、大臣達にも多少の余裕は出来たでしょう。宜しいと思いますが」


 珍しく私の意見を援護するライザー。

 もしかして、あなたも参加したいんじゃ?


「そうだな。問題なかろう。大臣達にも通達しておこう。しかし、以前から話に聞いている、そのおから料理とやらを、私は未だ食していないのだが」


 肘掛に寄りかかりながら、頬に掌を付き、ユリウスはちらりと私に意味ありげな視線を向けたのだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] ユリウス様も食べたいんだwww この辺の心理描写がさすがですなぁ
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