必要な物
__よくも、あのような事をこの短時間で考え付いたものだ。
ヤマトの言葉に私はにやりと笑った。
おそらく悪代官のような顔をしていたと思う。
「短期間じゃないわ。ここに来た時からずっと考えていたのよ」
考えていたのは慈善事業の事でもなく商売の事でもない。
そこまでは流石に深く考えていなかった。
今回のは単なる流れで話を進めただけ。
__大豆の利用価値の事か?
「違うわ。どうやってお金を稼ごうかなって事よ」
私は無一文でこの世界に来てしまった。
普段使いしていた財布は私用のバックに入れたままだった。
現金もちゃんとバックパックに入れておけば良かったと後悔したところで、この世界で私の世界のお金が使えるわけもなく。
流れでこの城にお世話になってはいるけど、セノーリアにいる千年巫女に力の解放をして貰った暁には旅に出るつもりでいた。
聞いた限り、大きい国は中央のセノーリアを入れて五つもある。
どこに私を返してくれる神様がいるのか分からないし、探し回らなくてはならない。
その為にはお金がいる。
ご飯食べたり宿に泊まったり、生活必需品を揃えたり。軽く考えただけでも結構お金は使う。
だから私は千年巫女と会う準備期間である今のうちに、なんとか貯金しておきたかった。
そこで思いついた大豆商売だった。
国にも甘い汁を吸わせれば、嫌とは言わないだろうと思ったし。
これが上手く行けば、私は何もしなくてもお金を手に入れる事が出来る。
小難しい事はユリウスに丸投げしたし、あとは事が上手く運ぶように全力を尽くせばいい。
__お主は一文無しだからな。お金を稼がねば生きられぬとは、人の世は厳しいものだな。
「私の世界はもっとお金にシビアだったもの」
私のいた業界などは人気を売って顔を売って声も売って、生活も晒して売って、人気が出れば私物を売って、一声これが好きだと言えばそれが売れて、本当になんでも売っていた。
売れるものは売る。売れないものは売れるようにする商売ド根性精神がある。
だからこんなもの私は甘いと思っている。
既得利益の分配はユリウスに丸投げしてしまったし。
でも私は旅が続けられるだけのお金があれば良かったし、面倒くさいことは丸投げ万歳主義である。
__そうか。それであのような知恵が生まれたのだな。だが目的がなんであれ、あのおからとか言う食べ物を考案したのはお主の手柄に間違いない。よくやった。
すりすりとヤマトがそう言って足に擦り寄る。
「ふふ、ありがとう」
その後ヤマトを抱き抱えて、キッシュの元へ行く為に私は爺ちゃん婆ちゃんを迎えに行ったのだった。




